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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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36.じいじ、お願いごとに困る

「今日は町に行って調味料でも買いに行くぞ!」

「そうなの? 今さっき町に行かなくてもよくなったよ!」


 早速、町に行こうとしたら、ハルキが町に行かなくても良いと言ってきた。


「わしが来る前に一人でおつかいに行ってきたのか?」

「違うよ! 遊んでたらゴマがくれたの!」


 ハルキはインベントリから色々と取り出していく。

 どうやらゴマは魚を捕まえるだけではなく、他のものも採取できるようだ。

 わしがハルキとゴマが遊んでいたところを見る時も、ハルキはゴマに捕まっていた。

 ひょっとしたら、鬼ごっこする時はお礼として、相手に何かを渡して遊んでいるのかもしれない。


「胡椒に岩塩……それに大豆か?」

「うん! 醤油と味噌って大豆からできるんだよ!」


【お願いごと】


 詳細 醤油か味噌を作ること


 やはりハルキからのお願いごとが出てきてしまった。

 わしでも醤油と味噌が大豆からできているのは知っている。

 だが、いくらなんでも、一から作ったら時間と手間がかかってしまう。

 それに調べてみると、麹が必要不可欠のようだ。


「スライムゼリーのような麹の役割をするものがあるのか……?」


 まずは麹の代わりになるものが必要だが、検索しても中々ヒットしない。

 そもそもゲームの中で、醤油や味噌を作ろうとする人がいないのかもしれない。


「んー、やっぱり作るのは難しいかもしれないな……」

「そっか……」


 ハルキは味噌や醤油が作れないことを知り、落ち込んでしまった。


『キィー!』


 そんなハルキの味方をしているのか、ゴマはわしの足に角を刺そうとしている。

 それは確実に殺人事件になるやつだからな?


「麹がなければ……魚醤(ぎょしょう)ならできないか?」

「魚醤?」


 魚醤に麹は必要なく、魚の内臓にある酵素や細菌を発酵させて作るはず……。

 すぐにネットで調べると、魚と塩があればできると書いてあった。

 幸いなことに元々隠しの家に塩はたくさんあるからな。


「まずは魚を捕まえにいこうか!」

「うん!」


 ゴマがいれば魚はすぐに用意できるだろう。


「ゴマが……じいじ狩りはしないぞ?」


 ゴマに頼もうとしたが、今にも角を持って追いかけようとしていた。


『キェー! チッ!』


 終いには舌打ちをされてしまった。

 このままじゃ、わしは命がいくつあっても足りないな。


「そういえば、ポンはどうしたんだ?」

「ポンは外で寝てるよ?」


 いつもはハルキにベッタリしているポンが、今日はやけに静かだと思ったが寝ているらしい。

 日向ぼっこしているのかと思い、外に出ると溶けていた。

 正確に言えば、溶けているのかと思うほど寝転んでいる。


『キィー!』

『にゃああああああああ!』


 ただ、ゴマが近づくと勢いよく、ポンはわしらの方に走ってきた。

 まさか――。


「ポンはゴマが怖いのか?」

『にゃ……にゃー』


 そんなことないと言いたげな顔をしているが、ゴマが近づくたびに、わしの服に爪を立てて登ってくる。

 ハルキにしないのは、わしには爪を立てて良いと思っているからだろう。

 そっちがその気ならこっちだって――。


「ゴマ、こっちにおいで!」

『キュー!』


 ゴマを呼ぶと嬉しそうに走ってきた。

 ただ、手に角を握るのを忘れていない。


『にゃ!?』


 ポンはわしがゴマを呼んで驚いているようだ。

 いつもはわしを見てポンはニヤリと笑うが、今度はわしがニヤリとやり返す。


『にゃああああああ!』


――ダメージ9


 ポンはわしをひっかくと、大きく飛んでハルキのところへ戻ってしまった。

 ああ、やりすぎてしまったようだな。


『キィー!』

「イタタタ……ゴマ、ポンはあっち……」


 声が聞こえたと思い目を向けると、今にも角を刺してきそうなゴマが目の前にいた。


「わしのHPは1しか……」


 わしはゴマを呼んでしまったことを忘れていた。

 このままじゃゲームオーバーに……。


「おい……ゴマやめろ……」


 ゴマに止まるように声をかけたが、口元はニヤリと笑っていた。

 確実にグサリとする気だろう。


「にげろおおおおおお!」


 わしはその場から逃げるように川に向かった。

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