32.じいじ、孫に教えられる
「ドクダケでわしを殺すつもりだったのか?」
『にゃにゃにゃ!』
ポンは必死に首を横に振っている。
どうやらわしを殺すつもりはないらしい。
じゃあ、あの行動はなんだったのだろうか。
アルミラージのこともあり、少しだけ同じワールドボスであるポンを警戒している。
ハルキと違って、ポンはわしには冷たいからな。
「んー、たぶん食べたら起きると思ったんじゃないのかな?」
『にゃー!』
ポンが大きく頭を振っているところを見ると、それが正解なんだろう。
だが、ロックバンドのように頭を大きく振っていると飛んでいかないか心配になる。
「わかった! わかった!」
すぐにポンを許すと、ジーッとテーブルに置いてある刺身と澄まし汁をみていた。
きっとわしが許さないと食べられないと思ったのだろう。
現金なやつだ。
「じゃあ――」
「じいじ、いただきますをしないとダメだよ!」
わしは箸に手を伸ばそうとしたら止められた。
「あっ……ああ」
娘はしっかりとハルキを教育しているようだ。
ちゃんとご飯を食べる前にお礼を伝えるのは必要だからな。
ただ、わしの顔を見てニヤニヤと笑うポンがムカついてくる。
今はHGのこともあるからな。
食べることに専念しよう。
「手を合わせて……」
「「いただきます!」」
『にゃー!』
ポンも一緒になって手を合わせていた。
さすがワールドボスは普通のキャラとは違う。
まずは澄まし汁を一口飲む。
「んー、うまいけどやっぱり物足りないよな」
お金があればもう少し調味料を追加で買うことができただろう。
醤油や味噌があるだけで、料理の幅は広がる。
「でも食べやすくて美味しいよ?」
ハルキはわしが気にしないように励ましてくれる。
刺身も塩をかけて食べているが、さっぱりして食べやすいと言えば食べやすいだろう。
体が大きくなる時期だから、しっかり米を食べさせてあげたい。
いや、ゲームの中だから関係ないか……。
『にゃにゃ!』
猫舌のポンはゆっくりと澄まし汁を飲んでいたが、熱くないと分かればお椀を抱きかかえていた。
相変わらず食欲旺盛というのか、取られたくない気持ちが強いんだな。
「ポンも食べられるならよかったな」
おやつをあげていた時も思ったが、いくら中身がそこまで悪い物じゃなくても、澄まし汁をそんなに一気に飲んでいいのか気になってしまう。
HGの必要性を感じたことで改めて、色々計画しないといけないことが増えたな。
「そういえば、ウサギの見た目をしたワールドボスに会ったぞ」
「ウサギ!」
『にゃ!?』
ハルキは嬉しそうに立ち上がった。
きっとグルメテイマーとして気になるのだろう。
だが、一つだけ言えることと言えば――。
「あいつはやめた方がいい」
『にゃー!』
わしと同時にポンも鳴いていた。
どうやらポンもアルミラージのことは知っているのだろう。
あんな騙すような形でじいじ狩りしてくるウサギは碌なやつじゃないからな。
「ポンが一匹じゃ寂しいかなって思ったけど……」
『にゃ……』
ハルキはポンのことを思っての行動だったのだろう。
たしかにわしらがログアウトしたら、ポンは一匹で過ごすことになる。
他にテイムしている魔物がいれば良いとハルキは思ったようだ。
そんな優しいハルキの頬をポンはペロリと舐める。
「へへ、くすぐったい」
『にゃー!』
まるでポンは気にしないでって言っているようだ。
「テイムしなくても、この間もらったおやつをあげたらどうだ? 持っていても使わないだろ?」
「あっ、そうだね!」
この間ハルキは小さなメダルと交換した、ウサギのおやつをもらっていたからな。
何か視線を感じたと思い、ポンを見ると余計なことを言うなと、ずっとわしを睨んでいた。
「ポン、どうしたんだ?」
『にゃ!』
ポンはプイッと背を向けた。
どうやらわしはまだポンに嫌われているようだ。
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