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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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29/58

29.じいじ、再びワールドボスに出会う

「ここは川魚の宝庫だったのか……」


 早速、滝壺に着くと川の様子を観察する。

 すると水面にはたくさんの川魚が泳いでいた。


「ヤマメにアマゴ、それにイワナもいるじゃないか!」


 わしらと同じで上流から流れてきた魚たちだろう。

 あの時は気づかなかったが、水温も冷たくて虫もたくさんいる。

 川魚が棲むには適した環境のようだ。


「それにしてもこのゲームの魚は大きいな」


 さすがに川魚であれば、手のひらサイズのイメージだ。

 だが、目の前で泳いでいるのは手のひらサイズどころか、前腕ほどもあるやつまで泳いでる。


「ちゃんと食いついてくれよ」


 これだけ環境が整っていれば、ポンのおやつにも興味を示さないかもしれない。

 わしはお裾分けしてもらったポンのおやつをばら撒き、近くに寄ってくるのを待つ。

 魚が大きければ、持ってきた包丁で刺すことができそうだ。


「これでも銛で魚を捕まえたことがあるんだからな!」


 娘と遊びに行った時に、銛で突き漁を経験した  ことがある。

 その経験を活かして――。


「おりゃあああああ!」


 わしは大きく腕を突き出す。

 この感触なら魚を一撃で突いて――。


――ダメージ1


「はぁん⁉︎」


 突然出てきたダメージ表記に戸惑う。

 まさか魚にもダメージを与えないと捕まえられないとは、普通思わないだろう。

 むしろただの包丁なんて使い物にならない。


「んっ……なんだ?」


 突然、じいじの知恵袋が発動した。


【魔物情報】


名前 イーワナ

詳細 魔食したことで変化したイワナ。得意は鋭い歯で噛み砕くこと。

属性 水属性


 鋭い歯で噛み付くのではなく、噛み砕くとは思ったよりも凶暴な魚のようだ。

 しかし、ダメージが与えられなければ捕獲は――。


「イーワナ……いーわけないだろー!」


 決してダジャレを言いたいわけではない。

 勝手に口から出てしまった。

 しかも、あまりにも雑なダジャレに魚たちも一瞬動きを止めた。


「今がチャンス――」


――グサッ!


 再び攻撃しようとしたら、隣から音が聞こえてきた。


――ダメージ500


 目の前にはダメージ表記がされていた。

 どうやらわしの魚を横取りするやつが現れたようだ。


「それはわしが……」


 視線を向けると、そこには小さなウサギが座っていた。


 ……ん? ウサギ?


 頭の中央にある角にはイワナが突き刺さってる。


【ワールドボス|ネザーランド・ドワーフ《アルミラージ》が現れた】


 まさかこんなところでワールドボスに出会うとは思わなかった。

 ポンの時にも思ったが、同じ場所に住みすぎじゃないか?

 それにしてもポンと違って、体も小さくてあまり強そうに見えない。


『グゥグゥ』

「お前……鳴くのか!?」


 突然、鳴いたことにわしはびっくりした。

 それに角に刺さったイワナ……いや、イワーナをわしに渡してきた。

 まるでわしに魚の取り方を教えてくれたような気がする。


「助かっ……うえぇぇぇ⁉︎」


 アルミラージは角を外して、魚を渡してきた。

 いや、魚をくれたことよりも、角が取り外し可能だったことの方が驚きだ。

 あまりに驚き過ぎて、腰が砕けそうになってしまった。

 これが老人によくある脊柱圧迫骨折……いや、骨が折れていないから、勘違いのようだ。


「ありがとう。これでハルキが助かりそうだ」


 わしはアルミラージにお礼を伝えて、イワーナをインベントリに片付ける。

 これでハルキのお腹を満腹にすることができるだろう。

 すぐにハルキが待つ、隠しの家に帰ることにした。

 まさかワールドボスが手伝ってくれるとはな。

 ワールドボスってぐらいだから凶悪なやつばかりかと思ったが、良いやつもいるんだな。


 少し気になり振り返ると、そこには二足で立ち上がり、手には鋭い角を持っているアルミラージがいた。

 目が合うとニヤリと笑う。

 まさか――。


『キィー!』

「うぎゃああああああ⁉︎」


 今にもわしを突き刺そうとするアルミラージが追いかけてきた。


「これこそオヤジ狩り……いや、じいじ狩りってやつか!」


 わしの寿命が少し縮んだような気がした。

 いや、83歳まで生きたら十分か。

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