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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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26.じいじ、孫とクッキング!

「おー、コテージみたいな造りなんだな」


 隠しの家はしっかりと水回りも整備されており、ハルキが言った通りに中にはキッチンがあった。

 誰か住んでるのかと思ったけど、使った形跡はないな

 それになんと言っても――。


「うわぁ、ベッドまであるよ!」


 ポンのおやつを作る目的で戻ってきたのに、まさかベッドがあるとは思っていなかった。

 まぁ、コテージのような作りになっていることを知ってから、まさかとは思ったけどな。

 わしはハルキの横を勢いよく通り過ぎ、思わず飛び込んでしまう。


【ログアウトしますか?】


「うおおおおお!」


 目の前に現れた表記にわしは立ち上がり叫ぶ。

 正直、ログアウト問題が一番困っていたからな。

 勝手にデスゲームになるこのゲームはかなりのクソゲーだ。


「じいじ、ベッドで暴れちゃダメってママに怒られるよ!」

「ああ、すまないね」


 そういえば、わしも旅行に行った時に、娘に同じように怒ったことがあった。

 ああ、ついに認知症に足を突っ込んでしまったのだろうか。


『にゃあああー』


 そんなこともお構いなくポンは鳴き叫ぶ。

 はやくおやつを作れとキッチンを叩いている。


「じいじ、ポンが怒ってるよ」

「ああ、すまないね」


 わしはさっきから謝ってばかりだな。

 キッチンに向かうと、その後ろからハルキとポンがひっそりと付いてくる。


「まずはコカトリスの肉を茹でるところからだな。んっ? そんなところでどうしたんだ?」


 柱の影からハルキとポンがジーッと見つめていた。

 ちゃんとわしが作れるのか心配しているのだろう。

 これでも一人で娘を育てたシングルファザーだから、料理はできるぞ。

 残念ながらネコのおやつは作ったことないけどな……。


「じいじ、僕もやっていいかな?」


 ハルキはいつも娘のお手伝いをしているのだろうか。

 火の扱いは少し間違えると火傷になるからな……。

 勝手に教えて娘に怒られたりしたら――。


「じいじー」

『にゃー』


 ポンまで甘え声出すとは……やれやれ、全く甘え上手だな。

 現実世界で料理をしたら火傷をするが、ゲームだから練習するにはちょうどいいのかもしれない。

 それにハルキはグルメテイマーだからな。


「よし、ママには内緒だぞ!」


 ハルキと一緒にポンのおやつを作ることにした。


「ポンは応援だけな」

『にゃ!?』


 ポンが手伝うと、抜け毛が入るかもしれない。

 ふと窓に映った自分の姿を見ると、わしには毛が抜けるほど生えていなかった。


「じいじ?」

「ああ、まずはお湯を沸かそうか」


 気を取り直して、鍋に水を入れて火にかける。


「火傷しないように気をつけるんだぞ!」

「うん!」


 ハルキは嬉しそうにお鍋の中を覗いていた。

 グツグツと音を立てながら、沸騰するのに興味津々のようだ。


「ゆっくりとコカトリスの肉を入れるんだぞ」


 一口サイズに切られているコカトリスの肉をゆっくりと鍋の中に入れる。


「アチッ!」

「大丈夫か!?」

「うん! 火傷はしてないよ!」


 コカトリスの肉をゆっくりと入れたはずが、お湯が飛んでしまったのだろう。

 あとは火が通るまでゆっくりと待つ。


「全体が白くなっても、中は火が通ってないからな」


 火が通ったと思っていても、生の状態だったってよくある話だ。

 わしも昔、サラダチキン作って腹壊したことがある。

 あの時は二日寝込んだな。

 もし、ワールドボスであるポンが腹痛で暴れ出したら、町は簡単に破壊されるだろう。

 その責任はテイムしたハルキにもくるかもしれない。


「えーっと、火が通ったら中身を取り出して、茹で汁で鰹節を弱火で煮出すのか」


 検索したレシピ通りに作るが、本当にゲームの世界でもできるのだろうか。

 心配になりながらも、順番通りに作っていく。


「じいじ、お肉はどうするの?」

「今度はすり潰して……ないぞ!」


 やはりゲームの世界にはフードプロセッサーは存在していなかった。

 代わりにみつけたすり鉢とすりこぎ棒で細かく潰していく。

 わしはその間に煮出し汁にゼラチンの代わりになるスライムゼリーを入れる。


 あとは潰したコカトリスの肉にスライムゼリーを溶かした煮出し汁を少しずつ混ぜ合わせれば完成らしい。


「これ美味しいのかな……?」

『にゃあー』


 ペースト状になったポンのおやつは、見た目からして美味しそうに感じない。

 わしも飲み込みが悪くなった時に、あのドロドロしたご飯を食べたことがあったが、もう食べたくはないな。


「ポンなら食べるんじゃ――」

『にゃああああああ!』


 襲い掛かろうとするポンをわしは掴むと、そのまま口元にできたばかりのおやつを近づける。


『にゃ……にゃにゃ?』


 初めは顔を背けていたポンだが、匂いを嗅ぐと一口ペロリと舐めた。


 その後は――。


『にゃあああああああん♡』


 どうやらポンのおやつは美味しくできたようだ。

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