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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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24.じいじ、反抗期の孫に驚く

「じいじ、これで全部?」

「ああ、これだけあれば大丈夫じゃな」


 わしはインベントリを見て、買った荷物を確認する。

 コカトリスの肉、カツオノイドの鰹節、スライムのスライムゼリーがあれば問題はなさそうだ。

 スライムゼリーはペースト状にするゼラチンのようなものだ。

 プレイヤーはゼリーとかを作る時に使っているらしい。

 材料だけで合計約4000Gなくなった。

 なんと鰹節が1500Gもしたからな。


「あとは調理場を借りればいいってラブショ――」

「調理場!?」


 ハルキの言葉に耳を疑った。


「調理場を借りる……?」

「うん! 調理場はレンタルスペースってところにあるらしいよ」


 その場でわしは崩れ落ちる。

 わしの持っている全財産は4000Gだった。

 そして材料に使ったお金も約4000Gになる。


「ハルキよ……調理場を借りるお金がないのじゃ」


 コカトリスの肉に火を通さないといけないため、調理場が必要なことを忘れていた。

 わしもついに認知症になってしまったようだ。


「じいじ……僕のお金も使って!」


 優しいハルキはこんなわしのために、インベントリからお金を取り出した。

 ハルキの手に握られた銅貨数枚。

 合わせても100Gあるかどうか(・・・)だ。

 銅貨だけにどうか……。

 それはさておき、三つの材料で4000Gも使ったこの町に、100Gで借りられる調理場はないだろう。


「ハルキ、ごめんな。これじゃあ、足りないな……」


 やはりここは見栄を張らずにラブショターンにお金を借りるべきだろう。

 わしはフレンドからラブショターンに声をかけることにした。


「なっ……ログアウトだと!?」

「ねぇ……じいじ?」


 ラブショターンの名前は黒く表示されており、隣にはログアウトと書かれていた。

 あとわしの知っている人は、鬼畜ドS兄ちゃんに似ているシゲしかいない。


「いやー、あいつに頼るのはな……」

「じいじー!」


 ブラックリストに入れたやつに声をかけるのも気が引ける。

 試しにブラックリストから外してみるが、やはりシゲも名前が黒く表示されていた。


「まぁ、平日の昼頃だと大体仕事か学校――」

「おい、くそじじい!」


 隣から聞こえる声にわしは驚いた。

 まさか……ハルキがわしのことを「くそじじい!」って呼ぶなんて……。


「じいじ、僕を無視――」

「ハルキ、成長したんだな!」


 孫の成長にわしはギュッと抱きしめる。

 ハルキにも反抗期ぐらいは来るだろう。

 わしのことを「くそじじい」と言えたのはその証だ。


「へへへ」


 だが、ハルキはわしに抱きしめられて嬉しそうに笑っていた。

 反抗期でも孫はやっぱり可愛い。


「呼ばれているのに気づかなくてすまないな」

「じいじだから許す!」


 どうやらわしは許されちゃったようだ。

 ああ、ハルキよ……。今日も可愛いな……。


「じいじ、聞いて! ポンと会った家にキッチンがあったよ!」

「ほんとか!」

「うん!」


 満面な笑みでハルキは頷く。

 わしはポンと戦うことに集中して、家に入らなかったが、ハルキは家の中に隠れていた。

 その時にキッチンがあるのを見ていたのだろう。


「よし、今すぐに隠れの家に向かうか!」

「おおー!」


 わしらは隠れの家に向かうことにした。

 だが、肝心なことを忘れていた。


「じいじ、ポンが手伝ってくれないと戻れないね……」

「ああ、そうだったな……」


 町を出た瞬間、サラマンダーがギロリと睨んでいた。

 今の実力では外に出ることすらできないからな。


『にゃー』


 そんなことはポンにはお構いなし。

 後ろでそっぽ向いて鳴いている。


「ポン、手伝ってくれないかな?」

『にぇー』


 めんどくさいのか、ポンは足で体を掻きながら嫌そうな顔をしていた。


「こら、ポン助! お前のためにおやつを作るんだぞ!」

『にゃああああああああ!』


 ポンを説得してみるが行く気もないようだ。

 終いにはわしを襲おうと飛びついてくる。


「このポン助めー!」


 飛びついてきた隙間を狙って撫でるつもりが、逃げられてしまった。


「ポンは僕たちのことが嫌いなんだね……」

「にゃ!?」


 ハルキの言葉を聞いてポンはその場で一時停止した。

 どうしようかとハルキの周囲を歩き回ってる。


「ほら、ハルキが泣いちゃうぞ」

『にゃにゃ……』


 どうすればいいのかわからず、ポンは狼狽えていた。

 突然、ポンの足元が輝きだす。


――ポン!


 音が鳴るとともにポンが大きくなった。


『にゃー!』


 ポンは自分の体をハルキにスリスリする。

 ハルキを慰めようとしているのだろう。

 だが、元の大きさに戻った場所がダメだった。

 だってここはまだ町の入り口だからな。


「ベヒモスが現れたぞー!」

「今日こそもふもふするぞー!」

『にゃに!?』


 ワールドボスであるベヒモスを知らないプレイヤーはいない。

 ポンが目に入ると、遠くからも人が集まってくる。


「ポン、今すぐ逃げるぞ!」

『にゃ!』


 ポンはハルキを背中に乗せてわしを咥えた。

 相変わらずわしの定位置はここなんだな……。

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