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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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21.じいじ、死ぬ

 翌日、言われた時間にログインをすると目の前には目に涙を溜めたハルキの姿があった。


「ハルキ、どうし――」

「うわーん、じいじが生きてるー」


 まるでわしが死んでいたかのような素ぶりに戸惑う。

 それになぜか顔が痛いが、ログインするまでに何かあったのだろうか。

 近くにいたポンを見ると、ベッドから飛び降りて部屋の隅にいる。

 ジーッと見つめるが、視線を合わせようとしない。

 それよりもまずはハルキを慰めるのが先だな。


「ほら、わしはピンピンだぞ!」


 わしは立ち上がって背筋を伸ばす。

 現実の体とは違って、まっすぐ伸びた体にわしもびっくりした。

 やっぱりゲームの中の体と現実の体が違って、まだまだ慣れないな。


「ほんとだ! 冷たくて真っ白だったから、じいじが死んだのかと思った」


 きっとログアウトしている時は活動停止しているのだろう。

 そのため、死体のような見た目になっていてもおかしくない。


「ハルキはじいじが死んだら悲し――」

「むー! そんなこと言わないで!」


――ダメージ1

――ダメージ1

――ダメージ1


 ポカポカと叩いてくるが、ハルキの反応を見て嬉しくなる。

 わしが死んだ時に悲しんでくれる人が一人でもいるって思うと、生きてきてよかったと思える。


「ははは、冗談だ。じいじが動かなくて寂しかったのか?」

「違うもん!」


 ムスッとしたハルキも可愛らしい。

 心配してくれていたんだと、ハルキの優しさが身に染みてしみじみとなる。

 ……まったく、孫というのは反則じゃ!

 じいじは孫には敵わないからな。

 それにしても軽く叩いただけで、ダメージになるのはわしが弱いのが関係しているのか?


「よし、今日も頑張って稼がないといけないな」


 昨日はログアウトするのに6000Gかかることを知った。

 ラブショターンを頼らないように、どうにかお金を稼ぐ方法を考えないといけない。

 それに人に頼っているところばかり、孫には見せたくないからな。


「んっ……なんだこれ!」


 わしはチラッと鏡が目に入ると、顔にできた傷に驚いた。

 顔全体に大きなひっかき傷ができていたのだ。

 わしが周囲を見渡すと、ポンはゆっくりとハルキに近づいていく。

 きっとハルキのところに行けば、何もされないと思ったのだろうか。

 だが、小さくなったベヒモスなんて、その辺にいるネコと同じだ。


「このやろー!」


 わしはポンに向かって飛びついた。


『にゃはあ!』


 だが、ポンは振り返ると、ニヤリと笑った。

 そのまま大きく飛び上がり、窓際に移動していく。

 もちろん飛び込んだわしがどうなるかなんて、考えなくてもわかるだろう。


――ドーン!


 大きな音を立てて、わしは床にダイブしていた。


――ダメージ5


「じいじ……」


 思ったよりも大ダメージを受けたようだ。


「はっ!? 骨折していないか?」


 すぐに立ち上がって痛みがないか確認する。

 83歳にもなれば、転倒したら骨折してしまう。

 老人界隈では骨粗鬆症が流行っているからな。

 ただ、ゲームの世界だけあって、転倒しても骨折にはならないようだ。


「じいじ、大丈夫?」


 ハルキはわしに薬草を渡してきた。


「ああ、ハルキは優しいな」


 HPが1になり、勝手にピンチ状態になっていたからな。


「じいじ、お願いがあるんだけどいい?」

「ハルキの願いだ。全部聞いてあげよう!」


 きっとお金のためにアイテム拾いをして欲しいのだろう。


【お願いごと】


詳細 ネコのおやつを手に入れる


「なんじゃと!?」


 目の前に表示されている言葉に驚いてしまった。

 こんなお願いごとをされると思わなかったからな。

 ポンを見ると窓際にずっと座っている。

 昨日はハルキにベッタリしていたのに、何かあったのか?


「おやつをあげないと、テイム解消になっちゃうんだって……」


 あの素っ気ない態度には理由があったのか。

 ネコはツンデレって言うもんな。

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