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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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12.じいじ、おじいさんも川に洗濯に行くぞ

 わしは唯一の武器?である装具を脱いで、サラマンダーに投げつけた。


――ダメージ100


 ポンの時には50しか与えられなかったダメージが倍になっている。

 あの見た目だと、物理防御が高そうだが、ポンよりは弱いようだ。

 このまま隠しの家の範囲内に隠れて――。


「うわぁー! 場所が違うじゃないか!」


 前みたいに装具を投げて隠れれば良いと思ったが、今回ばかりはそうもいかないようだ。

 ああ、これが認知症……いや、老いってやつだろう。


 今の一撃で敵視され、攻撃対象がわしに変わったようだ。

 いわゆるヘイト値がわしの方がハルキよりも高いってことだな。


「じいじ!」

『にひゃ』


 ハルキは必死にわしを庇おうするが、距離もあるため、ハルキの足の速さでは無理だろう。

 それにしても、ポンが笑っているような気がする。

 あいつこの状況を楽しんでいるな……。


『グワアアアアア!』


 さっきまでわしに優しかったサラマンダーは、もうここにはいない。


――ダメージ150 


 とりあえず、戻ってきた装具をもう一度投げてみたが、今度はクリティカルヒットしたようだ。

 だが、サラマンダーのHPは思ったよりも多いのだろう。


『グアアアアアアアアア!』


 さらに怒らせてしまっただけのようだ。


「わしは美味しくないぞ。ほら、お腹もブヨブヨで脂肪しか……」


【魔物情報】


好物 脂身が多い魔獣

ドロップ品 火属性の魔石(B級)、サラマンダーの鱗、サラマンダーの爪、灼熱の牙、サラマンダーの血、火龍の涙、紅蓮の心核


 まさか知恵袋の2ページ目があるとは思わなかった。

 ドロップ品がたくさんあるのは、この中でランダムにでてくるのだろう。

 名前からして後ろの方は、ドロップ率が低そうだな。

 しかし、それよりも気になることがあった。


「好物、脂身が多い魔獣……」


 わしは脂身が多い魔獣という認識だろうか。

 たしかに腹の脂肪を見た瞬間、ハルキの時よりも目元が輝いているような気がした。


『グアアアアアアアアア!』


 大きく開いた口の中には、歯がびっしりと生えている。

 絶対痛いんだろうなと思いながらも、恐怖感を少なくするために目を閉じる。


――ドーン!


 食べられると思った瞬間、突然大きな音が聞こえてきた。

 目を開けるとそこには知らない男が立っていた。

 わしらとは装備が異なり、かっこいい青の鎧に大きな大剣を持っている。

 それに真っ黒な黒髪が目立つ。

 わしは……ほぼ抜け落ちているからな……。


「おじいさん大丈夫ですか?」


 チラッと見える白い歯が少しむかつくが、今は助けてもらった立場として文句も言えない。


「助けていただきありがとうございます」

「あれ……松永さんに似て――」

「じいじ!」


 すぐにハルキがわしの元に駆け寄ってきた。

 どうやらわしのことが心配に……いや、視線は目の前の男に向いている。

 このゲームでも可愛い孫が男に奪われてしまった。


 わしは警戒してハルキの姿を隠すが、それを避けるかのようにハルキも顔を出す。

 ああ、これは完璧に目の前の男に釘付けになっている。


「ははは!」


 そんなハルキを見て、男は腹を抱えて笑っていた。

 わしらを見てどこが楽しかったのか……。

 やっぱりこの男も鬼畜ドS兄ちゃんのように、気に食わないな。


「君たちみたいな低レベルが、こんな高レベル帯にどうやってきたんだ?」


 男はわしの装備を見て、大体のレベルを把握したのだろう。

 縛りプレイをしていなければ、初期装備でサラマンダーの前に出てこないもんな。


「川から流れてきた」

「ん? 桃太郎ってこと?」


 男はわしらを桃太郎にでもしたいのだろうか。


「どんぶらこどんぶらこと、少年とおじいさんが川から流れてきました」

「くくく……桃太郎とおじいさんが流れてくるって……。川へ洗濯に行ったおじいさんが流されちゃってるよ」

「おじいさんは川に洗濯にいかないよ……?」


 ハルキよ、ナイスツッコミだ。

 笑っていた男もその場で気づいたのか笑うのをやめた。


「んー、今の時代は男性も洗濯するから、川に洗濯に行ってもいいじゃないかな?」


 うん、男もどこか抜けているようだ。

 たしかに昔と違って、共働きが増えて、家事も分けていることが多いからな。

 わしはシングルファザーだったから、全てできるスーパーじいじだからな。

 どうだ、ハルキよ。じいじはすごい――。


「そっかー! そういう話も面白いね」


 ハルキはわしのことなんて気にすることもなく、楽しそうに男と話していた。

 だが、桃太郎のおじいさんは認知症だから家で留守番していたはずだぞ!

 そもそも大きな桃を持って帰れるほどの力があるおばあさんもすごいが、桃から生まれた子ども育てるなんて認知症じゃなきゃしないからな。

 わしなら児童相談所に連絡するぞ。


「そういえば、どこに向かってたんだ?」

「町に帰ろうかと思ってる!」

「なら一緒に行こうか!」

「いいの!?」

「ああ!」


 どこか保護者のわしを無視して話が進んでいるような気がするぞ……。


【シゲがパーティーに加わった!】


 なっ……勝手にパーティーに入ってきやがったぞ!

お読み頂き、ありがとうございます。

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