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元ゲーマーのじいじ、気ままなスローライフを始めました〜じいじはもふもふ達の世話係です〜  作者: k-ing☆書籍発売中


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11.じいじ、久しぶりに前転する

 帰り道がわからないわしらは、とりあえず来た道である川を登っていくことにした。

 だが、何かに阻まれて向こうにはいけないことが判明した。

 きっとバクか川に流された時だけ起きるシステムがあるのだろう。

 その結果、森の中を駆け巡って移動することになった。


「あー、森の景色っていいよな」

「じいじ……」


 よく考えてみれば、わしは久しぶりに森に来ていることを思い出した。

 将来はこんな森や山の中で、ポツンと生活するのも悪くないと思っていたっけ……。


「あっちに寄って行かないか?」

「行かないよ!」

『にゃあ!』


 どうやらハルキとポンに怒られてしまったようだ。

 寄り道はいけないってことだろう。

 さっきも休憩中に森を探索していたら、慌ててハルキとポンが迎えに来てくれた。

 迷子になってはいないし、どこにいるのかしっかりわかっているのに、どうやら心配性なんだろう。


「また川に流されれればいいか」

「じいじ……ほんとに大丈夫?」

『にゃ……』


 川に流されれば、知らない場所に行ける可能性があることを知った。

 元ゲーマーとしては流されない選択はないんだけどな……。

 昔はバグを利用してゲームをする〝グリッチプレイ〟は当たり前に存在していた。

 グリッチプレイで他のプレイヤーより、クールタイムを短くしてPvPしていた時は楽しかったな。


「ははは」

「じいじ、一人で笑ってる……」

『にゃはぁー』


 その後もポンに咥えられながら、森の景色を堪能していると、遠くの方に町が見えてきた。


「じいじ、そろそろ着くよ」

「なぁ、ハルキよ。このまま行ったら、びっくりされないか?」

「なんでー?」


 ハルキは誰の背中の上に乗っているのか気にならないのだろうか。

 絶対にこのまま行ったら、驚かれると認知症に足を突っ込んでるわしでもわかるぞ。


「ポンってワールドボスだよな? しかも、ベヒモスって強敵じゃないのか?」

「『はぁ!?』」

「おい、口を開けるなよ!」


 どうやら飼い主のハルキだけではなく、当の本人……いや、本猫のポンですら忘れていたようだ。

 ポンはすぐにわしを咥えたため、間一髪のところで地面に落ちなくて済んだ。

 これでわしが認知症ではないと証明できただろう。


「じいじ、どうしよう……」

「こういう時って小さくなる機能とかないのか?」

『にゃあ!』


 突然、ポンの体が光り輝く。

 まさかこのタイミングで小さくなるつもりじゃ……。


「「うわあああああ!」」


 わしとハルキはその場から落ちていく。

 ハルキは尻餅を着く程度だが、わしに至ってはそのまま顔面から落ちていくぞ?

 さっきはどうにかなったが、小さくなっているポンにはそれができない。

 必死に体勢を整えて、受け身を取る準備をする。


「おっ……とぉととと!」


 そのまま前転して転がるように受け身をとる。

 前転するなんて何十年ぶりだろうか。

 本当に最近のゲームはリハビリにも良さそうだな。

 まぁ、実際にリハビリで前転したら、鬼畜ドS兄ちゃんに怒られそうだ。


「じいじ、あぶない!」


――ダメージ9


「痛っ……」


 わしの頭上にはダメージ9と表示されている。

 休憩した時の薬草を使っておいてよかった。

 また運良くHPが1だけ残ったようだ。


「いやいや、ぶつかってすまな……」


 何かにぶつかったのか、その場で勢いが止まった。

 ハルキが注意してくれたが、あまりの楽しさに無意識に5回追加して前転していた。

 わしが顔を上げると、そこには大きなゴツゴツした岩のようなものがいた。


『グウウウウウ!』

「ふぇ!?」


 唸り声が聞こえたら明らかに岩ではないことに気づいた。

 まるでワニ皮のようなゴツゴツとした肌触り――。


【魔物情報】


名前 サラマンダー

詳細 頑丈な鱗と岩を噛み砕く歯を持っている魔物。火属性ブレスを吹く。

属性 火属性


 知恵袋が発動して、魔物の詳細がわかった。

 どうやら目の前にいるトカゲは爬虫類のような見た目をした魔物の中でも有名なサラマンダーのようだ。

 今にもわしも食べようと大きく口を開いている。


「じいじはまだ死ね(・・)ないぞ!」


 死なないのではく、死ぬ気がないからな。

 わしは後転して逃げる。

 なんとかしないと本当に死ぬ。


「ポンは戦えないのか!」

「小さくなったら、しばらくは戦えないみたい!」


 ポンに助けを求めるが、それもできないらしい。

 どうやら小さくなったら、大きくなるのにクールタイムがあるようだ。

 今はハルキの腕に普通のマンチカンのように抱きかかえられている。


『にひぁ』


 わしと目が合うと、どこか顔が笑っているような気がした。


「じゃ、テイムは――」

「僕……爬虫類は苦手なの……」


 どうやらわしは詰んだようだ。


『グワアアアアア!』


 サラマンダーはわしを食べようと、再び大きく口を開けた。


「こんなじいさんの肉と骨を食っても美味しくないぞ!」

『グァ!?』


 サラマンダーは口を閉じて、わしとハルキを交互に見比べる。

 魔物のくせに獲物を選ぶなんて贅沢だな。


『グワァ!』


 サラマンダーはわしを見て、頷いたあとに嬉しそうにハルキの方に走っていく。

 ああ、これで助かった――。


「じいし、助けて!」


 えっ、そっちにいくのか!?

 このままじゃハルキが助からないじゃないか!


【お願いごと】


詳細 サラマンダーを倒す。


 おいおい、待てよ。

 そこは「助けて」じゃなくて「逃げよう」だろうが!


「シニアもできるゲームって話じゃなかったのか!? これ、完全に死にゲーじゃ!」


 どうやらハルキを助けるのではなく、サラマンダーを倒さないといけないようだ。

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