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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり3人目⑬

「そういうわけで、最近見つかった竜人族(りゅうじんぞく)の里に向かう事になった。期限が1~2ヶ月って話だから、しばらく屋敷を空ける事になる」


 陛下との面会を終えて屋敷に戻った所で、家令さんやシャルロットたちの主だった面子を集め、今後の話し合いを行っている。

 行き先が竜人族の里、という事で、ジェーンが少し難しい顔をしているが、もしも行きたくないようなら、屋敷の方の守りを固めつつ、使用人たちの戦闘訓練に参加してもらう事にしよう。


「王命調査隊初の依頼ですね。どういった方針で動きますか?」


 俺が陛下から初めての依頼を受け取ったとあってか、シャルロットはやる気に満ちているようだ。

 とはいえ、彼女を遠征に連れて行きますか、と言われればノーなのだが。


「とりあえず俺は現地に行かないとだから確定として、シャルロットには留守の間の屋敷を頼みたい。まだそれほど政務があるわけじゃないが、俺がいない間の仕事を丸々手付かずってわけにもいかないだろうし。カナエは一緒に来てもらうとして、ジェーンはどうする?」


「行くに決まってるだろ。どうせ屋敷にいたってできる事も多くねえし」


 先ほど複雑そうな顔をしていたものの、ジェーンは一緒に行くつもりではいたらしい。

 まあ、明日にすぐ出発するってわけでもないし、心の準備をする時間はちゃんとあるか。


「わかった。それならジェーンの装備を揃え次第で出発する事にしよう。その間に馬車と荷物の準備だな」


「必要な資材や装備については、ある程度まとめておいて頂けるとありがたいです。追加で予算が必要なものがあれば、その都度相談してもらうという事でお願いしますね」


 陛下から屋敷を賜ってからというもの、すっかり我が家の会計担当になったシャルロットから、ちゃんと決算と予算の報告をするようにお達しが。

 まあ、これについては元々するつもりだったので問題ナシ。


「あ、そうだ。これ、あたしの武器の見積もりだってよ。目ぇ通しといてくれ」


 予算申請がどうので思い出したのか、ジェーンがポケットから折り畳まれた紙を取り出し、渡してきた。

 簡単な絵と、使用する素材の量や単価などの情報が記載されており、最後の方に技術料も含めた合計金額。

 それを見て、俺はしばし言葉を失う。


「……これはさすがに無いわ」


 その合計金額、なんと金貨600枚。

 防具も必要になるというのに、とっくに予算オーバーである。

 カナエの日用品と装備一式でも金貨500枚しないくらいで済んだのに。

 若干の誤差はあっても、あまり格差を付けるのもよろしくない。

 仮に俺が雇われる奴隷側だったら、初期投資の時点で露骨に差別があったら、それはもうモチベーションに響く事うけあいだ。


「とりあえず明日はブライアンさんの所に行って、ジェーンの装備調達の相談だな。見積もりについても色々離話さないとだし。シャルロット、明日の俺の予定は?」


「午前中はさらに追加で雇う使用人と、警備兵の面接を10人程度予定しています。それが終われば特に何もありませんから、自由に動いて頂いて結構ですよ」


 試しに聞いてみたら、スラスラと俺の予定が出てくる辺り、すっかりシャルロットは秘書みたいだな。

 このまま昇爵していったら、分とか秒刻みでスケジュール管理されるんだろうか?

 ……それは絶対に嫌だ。

 早めに文官とかも雇って育成し始めておいた方がいいかもしれない。


「ちなみに使用人と警備兵以外の人員はどうなってる?」


「現状は清掃を行う使用人と、警備兵を中心に集めていますが、文官の適正がある人材を何人か見つけましたので、本人の同意が得られれば文官に転向して頂く予定です。他にも料理人の適正がある人材も何人かいたので、身元の確認と人間性の調査が終わり次第、問題が無ければ雇い入れる予定ですね。人数だけなら陛下からお借りしている方々がいなくなってもギリギリ屋敷を維持できそうなところまで来ていますが、引き継ぎや育成を考えると、あと3~4ヶ月は欲しいところです。あとは休日の交代要員も加味してあと10~15人くらいは雇い入れをしたい、という所でしょうか」


 どうやら今まで雇い入れた人の名前や人数、候補に上がっている人材の全てが頭に入っているらしく、何かを見るでもなく、シャルロットはスラスラと諳んじてみせた。

 しかも俺が文官も早めに育成……なんて考えていたら、とっくにそんな所は考慮してるし、マジで有能すぎてヤベエ。

 何でこれだけ仕事できるのに、陛下からシヴィリアン公爵家の引き継ぎができるって言われた時、断ったんだろう?

 本人はサポートの方が性に合ってる、とか言ってたけど、全然メインで頭張れるレベルどころか、相当上澄みレベルで仕事できるよな。

 何ならあの日、陛下もシャルロットの事を文官として欲しそうだったし。


「……考えたら負けな気がする」


 ただ、間違いなくシャルロットがいなくなった時の事は考えておくべきだな、と俺はこの日、硬く心に刻み込んだ。

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