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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり0人目⑦

「知り合いか?」


 俺がギルバート氏に頭をぐしぐしされていると、彼のパーティーメンバーの一人であろう、細身の男がそう問うた。

 年齢のほどは30代後半……くらいに見える。

 見た目だけで言えばギルバート氏とそこまで年齢は変わらなさそうだ。

 ちなみに、俺とギルバート氏の関係が、知り合いかと問われると、ただの顔見知り、という程度ではないだろうか。


「昨日、新人講習で会っただけだが、俺の直感に引っかかる何かがあった。まさか、こんなに早く関わる事になるとは思いもしなかったがな」


 そう言って、ギルバート氏は、ガハハと笑う。

 なんというか、色々と豪快なお方だなあ。


「ギルの直感に、ねえ。良くも悪くもその直感が外れないのが怖いんだ」


 細身の男は、俺をどう扱っていいのか、といった様相でこちらを見て、それからパーティーメンバーを見回す。


「まあ、なるようにしかならないでしょ。ギルの直感にあたしたちも何だかんだと助けてもらってるんだし」


「見た感じ、結構お利口さんに見えるし、変にやんちゃな新人よりはずっといいと思うわよー?」


 残るパーティーメンバーである、女性二人が口を開く。

 どちらも装備からして後衛タイプっぽくて、片方が魔術師、もう片方が補助系とか回復担当だろうか?


「ま、顔合わせのついでだ。坊主、交流がてら一緒に昼メシといこう。もちろん、俺の奢りだ。遠慮せずに好きな物を食っていいぞ!」


 ギルバート氏の一声で、みんなギルド内食堂に移動していく。

 俺はまた戻る形になってしまったが、まあ問題はない。

 むしろ、ご飯を食べていなくて本当に良かったと思う。


「え、いいんですか?」


 とはいえ、ただ言われたまま、というのも少々図々しさがあるような気がするので、一応、自分の分くらいは自分で出せるぞアピールをしておく。


「新人が変に遠慮なんてすんな。ま、金を出すのはギルの財布からだがな」


 俺の疑問に答えてくれたのは、ギルバート氏ではなく、細身の男性だ。

 ちゃっかり自分は出さないぞ、と言っている辺り、いい性格をしている。


「いつもメシ代は俺が纏めて払ってるからな! 一人分増えた所で困窮するほど金には困っとらんぞ!」


 ガハハ、と機嫌よく呵呵大笑しているギルバート氏を先頭に、五人で座れる大きい座席につく。

 俺がまだ14歳なのもあって、一人だけ大人の輪に混ざる異物感があるが、そこは気にしたら負けだろう。


「さて、料理が来るまでに自己紹介といくか。俺は知ってるだろうが、ギルバートだ。A級冒険者で、このパーティー、【フィティル】のリーダーでもある。ポジションは前衛。改めてよろしくな!」


 全員が料理の注文を済ませたタイミングで、ギルバート氏が音頭を取って自己紹介タイムがスタート。

 まあ、何となく彼がリーダーなのだろうなと思ってはいたので、驚きは無い。


「そんじゃ次はオレか。オレはカイン。ポジションは遊撃、どっちかっつーとサポート寄りで、個人ではB級冒険者だ。ま、よろしく頼むわ」


 そう言って、ひらひらと手を振るのは、細身の男性。

 一応、能力も見ておこうか。

 俺が戦闘に加わる事もないとは思うが、万が一の際に何も知らないよりはマシだろう。


―――――――――


カイン・スパーロ

36歳

種族:人間

身長:176センチ

体重:67キロ

状態:健康

生命力:30

精神力:25

持久力:25

体力:18

筋力:14

技術:40

信念:8

魔力:6

神秘:25

運:15


特殊技能

・気配感知

・武器熟練:短剣・投擲

・罠解除

・警戒

・盗み


―――――――――


 なるほど、いわゆる斥候とか、シーフとかの役回りだな。

 特殊技能に盗み、というのが唯一懸念ポイントだが、もしかしたら過去にやってただけで、今は悪さをしていない、というのも考えられる。

 過度な警戒は必要ないだろうが、一番このパーティーで油断してはいけない人のような気がするな。


「それじゃ次はあたしね。後衛の魔術師やってるローザよ。個人ではギルと同じくA級冒険者ね。よろしく。あとはそこのカインの嫁でもあるわね」


「おい、わざわざそこまで暴露しなくていいだろ」


「だって、あたしが知らずにナンパされたら、アンタ露骨に機嫌悪くなるでしょ。それで新人ちゃんに嫌な思いさせるのも申し訳ないじゃない」


 何か急に痴話喧嘩が始まったが、残る女性二人のうち、勝気そうな方がローザさんね。

 で、カインさんの嫁、と。

 まあ、そもそも14のガキがナンパとか、時期尚早すぎると思うけれども。


―――――――――


ローザ・スパーロ

32歳

種族:人間

身長:166センチ

体重:62キロ

状態:健康

生命力:20

精神力:35

持久力:15

体力:10

筋力:8

技術:20

信念:10

魔力:40

神秘:8

運:8


特殊技能

・並列構築

・武器熟練:長杖(ワンド)

・生魔変換


―――――――――


 うん、本人の申告に嘘偽りは無いし、能力も純粋な魔術師といった感じ。

 ちゃんと名前の欄も苗字がカインさんと同じだし、結婚しているというのも間違いない。

 生魔変換、という特殊技能がピンと来ないけど、字面からして生命力を魔力に変換できるとかだろうか。

 

「最後は私ねー。私はリディアよー。ギルのお嫁さんでー、A級冒険者でー、回復と支援担当でーす」


 最後の一人であるリディアさんは、何というかマイペースそうな人だ。

 口調も間延びしていて、のんびりしているというか。

 まあ、こういう人に限って戦闘中だとか、何かしらの要素で豹変したりするんだよな。


―――――――――


リディア・ヘンリエックス

26歳

種族:人間

身長:170センチ

体重:63キロ

状態:健康

生命力:30

精神力:20

持久力:20

体力:22

筋力:20

技術:8

信念:40

魔力:8

神秘:8

運:7


特殊技能

・信力変換

・武器熟練:鎚・盾

・祝福

・献身

・夜の女王


―――――――――


 なんというか、独特な能力の人だな……。

 何となく見える方向性としては、筋肉で敵を殴れるタイプのヒーラーか。

 純粋な前衛の人ほどの耐久性はなさそうだけど、それを回復で補う感じ。

 ソ〇ル系でいう筋バサさんかな?

 あと、特殊技能の夜の女王って……多分、そういう事なんだろう。

 見た目はおっとりマイペースさん、って感じではあるけれど、確かに身体付きは夜の女王と言わんばかりの、とんでもないわがままボディである。

 ローザさんもかなりスタイルはいいのだが、隣にリディアさんがいると、申し訳ないが見劣りしてしまう。

 そして、リディアさんだけだいぶ若いな。

 ある意味、ギルバート氏は勝ち組ではないだろうか。


「それじゃあ最後は俺ですね。ハイトと言います。一応、前衛と後衛がどちらもできますが、戦線に加わる事は無いでしょうし、今回は足を引っ張らないよう精一杯努力しますので、よろしくお願いします。もし、よろしければ色々と、冒険者としての知識などをご教授頂けると嬉しいです」


 最後に部外者である俺が、当たり障りの無い挨拶で自己紹介を締める。

 とはいえ、先達の知識を色々と教わりたいのは本当だし、あとは個人的に実力者との繋がりはありがたい。

 できれば、今後も良好な関係を続けていきたいものだ。

 一応、カインさん以外は個人でもA級冒険者らしいが、カインさんは役割の関係上でランクが低いだけのような気もする。

 どうしても、裏方というのは評価をされにくい部分だし。


「ふーん、随分と流暢に丁寧な言葉を喋るんだな。別に探る意味じゃねえが、少なくともそこらの平民の出身じゃねえ感じだ」


 俺の挨拶を聞いて、カインさんが核心を突く一言を突っ込んできた。

 とはいえ、具体的な家名さえバレなければ別に貴族家出身とバレても別段の不都合はないか。

 どの道、もう家からは絶縁されてて貴族籍は無いんだし。


「ご想像通り、貴族家の次男坊でしたが、長男が家を継ぐ関係で独立せねばならないので、貴族籍を抜けてきたのです。まあ、家を追い出されたともいいますかね」


 苦笑しながら簡単な身の上話をすると、急に空気が凍った。

 ギルバート氏でさえ、どう反応していいかわからない、といった様子である。

 あれ、俺としてはそこまで深刻な話じゃないんだけど?

 もしかして世間一般では、こういう話って割かし深刻だったりする?


「アンタが余計な事言ったせいで、微妙な空気になったでしょうが!」


「ってえ! ひっぱたくこたぁねえだろ! 俺だって悪い事聞いたと思ってたんだよ!」


 そんな雰囲気に耐えかねたのか、ローザさんが、スパーン、といい音を立ててカインさんの後頭部をひっぱたく。

 どうやら話題に出した本人も、やっちまったと思っていたらしい。


「まあ、俺は気にしてませんので……あ、ちょうどご飯もきましたし、冷めないうちに頂きましょう!」


 どうこの状況を収拾したものか、と思っていた所に、ウェイターが出来上がった料理を持ってきた。

 これ幸いと、メシを食う方向に話を誘導する。


「そうだな! いい仕事には腹いっぱい食わないとな!」


 俺の意図を理解したのか、それとも単純に腹が減っていたのか、ギルバート氏が先頭切って料理に手を付ければ、他のメンバーもぽつぽつと食事に移っていく。

 ホッとしつつ、みんなが食べている料理が基本的に肉肉しいなあ、と一人物思いに耽る。

 まあ、身体が資本の冒険者稼業だ。

 しっかり食べねば身体が保たないのだろう。

 線の細いカインさんですら、分厚いステーキ肉を二枚重ねだし、他のメンバーは、もっと量がある。

 かくいう俺も成長期であるからして、結構食べる方だと思っていたが、この面子に至ってはカインさんより少し多いかな、という程度だ。

 まあ、他の冒険者を知らないので、基準がどうこうとかはわからないんだが。

 ともあれ、一度食事が始まってしまえば、雰囲気も明るいものに戻り、俺の戦闘スタイルの話だったり、得意な魔術がどうとかいう話になったりで、騒がしくも楽しい時間となっていったのだった。

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