表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/214

幕間 ワケあり1.2人目

短いですが、後の展開に繋がる補完部分になります。


「……にわかには信じ難いな」


 リアムルド城内・王の執務室にて、部下からの報告を受けるウィズリアル国王は、わかりやすく顔をしかめた。


「とはいえ、オーゴのやつならやりかねんか……」


 王家の遠戚でもあった、オーゴ・ダレイス公爵のしでかした事を聞き、あの男なら、と思い直しながら、ウィズリアル国王は無意識に顎へと手をやり、一旦考えを纏める。


「被害状況は?」


「恐らく冒険者であろう少年が、魔物と化したダレイス公爵を抑え、戦っていましたので、兵士と民間人への被害はゼロです。死刑囚は魔物と化したダレイス公爵に吸収され、全員が死亡したものと思われます」


 一般人に現場を任せ、避難したという報告を聞いて、ウィズリアル国王は静かに、それでいて大きく息を吸い込む。


「バカ者! なぜ兵士が戦わずに逃げておる!?」


 王からの叱責に、報告を行っていた男はビクリと身体を震わせた。


「現場はダレイス公爵の魔物化により、パニックが起きておりました。処刑場の警備という事で、部隊長クラスの指揮官が不在だったため、統率を取れる者がおらず……」


「なぜそのような人員配置が行われておる!?」


「ダレイス公爵に連なる者を検挙した影響で、兵士だけでなく、各部署で深刻な人手不足が発生しております」


 何を問おうとも、返ってくる答えが悉くしょうもないもので、ウィズリアル国王は溜め息を吐く。


「……もう良い。報告は書類に纏めておけ」


 これ以上の問答をしても仕方がない、と判断し、部下を下がらせると、再びウィズリアル国王から大きな溜め息が漏れる。


「まさか、ここまで内を蝕んでいたとはな。気付かぬ余もだが、なぜ他のヤツらはこのような状況になっても危機感が無いのか……」


 ただ病巣部分を取り除いただけで、国としての能力が著しく低下していた。

 それだけ深くに病巣があった、という事なのだが、信頼できる部下が少なすぎる。


「この際、贅沢は言ってられんな」


 いくばくかの逡巡の後、覚悟を決めた表情のウィズリアル国王は、執務室を出て、玉座の間へ向かう。


「どうかさなれましたか?」


 執務室付近の警護に当たっていた、クスティデル近衛騎士団長が、国王の姿を見て声をかける。

 特別出かける予定は無かったはずだ。


「決めたぞ。余はこの機会に国の大改革を行う。しばらく大変だとは思うが、付き合ってもらうぞ」


「御意に」


 この直後、後の世に語り継がれる、改革の大号令が行われるのだが、その事をまだ誰も知らない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ