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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり10人目⑳

「さて、先日はいきなりバイレンド傭兵団が現れて肝を冷やされたが、からくりがわかったぞ」


 バイレンド傭兵団を叩き潰した翌日。

 俺を含む各国代表者は、改めて会議場となっている、教国政庁の1室にある円卓で向かい合う。

 内容としては、捕らえた傭兵団の身柄をどう扱うか、今後の動きについての確認が主な所だ。

 そして、開口一番に、帝国のソリド将軍が口を開く。


「リベルヤ伯爵がバイレンド傭兵団を叩き潰した後、奴らが現れた付近を兵たちに探らせたのだが、なんと国境からの抜け穴が掘られておったわ。恐らくは、地属性の優秀な魔術師がいたのであろうな。兵たちを潜り込ませてみれば、国境の崖の下まで繋がっていたそうだ」


「それはまた、随分と長い距離を掘り進んできたものです。ですが、我々は見事に虚を突かれました。彼らがサンクリド近郊ではなく、もっと目立たない場所に出てきたのなら、発見は難しかったでしょう」


 連合国のヴァルキア代表が言うように、警戒の強かった場所に奴らが出てきてくれたからこそ、早期に発見できて先手を取れた。

 これについては、地の利を取られてさえいなければ、野戦で俺たちを破る事ができる、という驕りがバイレンド傭兵団側にあったのが要因の一つではある。

 これが、慎重に発見されないような場所に出てから、サンクリドに夜襲でもかけられたとすれば、たまったものではなかっただろう。

 まず間違いなく現地の教国民にも被害は出ただろうし、3大国連合側も被害ゼロとはいかなかったはず。


「目下の問題は、バイレンド傭兵団の連中をどう扱うかですね。一応生かして捕らえられた連中は捕虜として捕縛していますが、果たしてどうすべきか」


 カナエやジェーンが勢い余って殺した相手も多くいるが、それでも穴を潜ってきたバイレンド傭兵団の全てを捕らえる事ができたのは、これも幸運が味方したに過ぎない。

 とはいえ、現状は武器を取り上げた上で纏めてふんじばってあるものの、そのまま放置できるはずもないので、どう対処すべきかはここで最低限決めてしまいたい所だな。

 仮に生かしておくにしても、食費やら何やらはかかってしまうし。

 現状で俺が考え得る手段としては2つか。

 1つは、見せしめとして全員を処刑し、本拠地のバイレンド傭兵団の本隊へ全員の首を送り返すというもの。

 もう1つは、本隊へ使者を送って対話のテーブルに付けるというものだ。

 どちらも利があるが、果たしてどういう判断になるかね。


「帝国としては、捕らえた傭兵団はそのまま国境から送り返せばいいと考えている」


 捕らえた連中をそのまま送り返す、という3つ目の意見が出てきて、俺は思わずソリド将軍の顔を見つめてしまう。

 言い出した本人は真剣な表情なので、冗談などではなく、本気でそう思っているようだ。


「その心は?」


「奴らはたった100人からなる貴殿の手勢に完膚無きまでに叩き潰された。総数ではほとんど倍くらいの差があったにも関わらずだ。ましてや、開戦から1時間も経たずにな。仮に無事奴らが本拠地に逃げおおせたとしても、今までのように大きな顔はできんであろう。逆に、今回の教国に攻め入る依頼を総大将に却下するよう進言する可能性も高い」


 なるほど。

 確かに言われてみれば、今回捕らえた傭兵団の連中は、その殆どがカナエとジェーンの圧倒的暴力に蹂躙され、浮足立った所をリシアの堅実で隙の無い用兵で適切に処理されている。

 特にカナエと対峙した奴らは、心に傷を負っていてもおかしくはないか。

 実際、俺も戦場でカナエみたいな人間重機が出てきたらビビるわ。


「仮に生かしておくにしろ、処刑するにしろ、費用は嵩む。であれば、これが1番簡単に済む上に今後へ活かせると思うが、貴殿らはどう考える?」


 しっかりと今後を見据えてのソリド将軍の方針に、俺は自分の考えが浅かったと思い知らされた。

 やはり、年齢という経験則を持つ歴戦の将軍だけあるな。


「使者を送って少しばかりの金銭を回収しようかと思っていましたが……向こうが応じなかった事を考えると、ソリド将軍の意見を採るのが良いでしょうね」


 どうやら、ヴァルキア代表は交渉して金銭を得る方の意見だったらしいけど、事ここに至ってはソリド将軍の方針が1番丸いだろう。

 ちなみに俺は全員処刑派でした。

 流れ的にもう趨勢は決してるから言わないけどね!


「私もそれでいいかと。ただ、もう少し国境付近の警備は強める必要がありますね。今回のような奇策を取れらると後手に回ってしまいますし」


 似たような奇策で虚を突かれると、兵士たちの士気にも関わるので、可能であれば水際で対処してしまいたい。

 とはいえ、国境周りを全警戒するのは人員的に不可能。

 現状ではもうじき旧教国派の連中も炙り出せる所まで来ているから、新たに人員を動かすのは厳しい。


「今いる人員に警戒を促すしかあるまいな。旧教国派の炙り出しも終わりが近い。現状では人員を動かす余裕などありはせぬ」


 やはりというべきか、その解答に落ち着くよな。

 現状、連合国と帝国の兵を合わせて50人で国境の警備に当たって貰っているが、カバーできる範囲は限られる。

 他所から人員を動かせない以上、先日のように穴を掘るような奇策を用いられる可能性がある、と周知してより密に警戒をしてもらう他無いだろう。

 旧教国派の炙り出しさえ終わってしまえば、国境は一気に警戒を強められるし、そもそも依頼主である旧教国派が捕らえられてしまえば、バイレンド傭兵団も依頼主を失うわけで。

 いっそ、範囲が絞り込めているのだから、すぐにでも旧教国派を捕らえてしまって、一気に事態を収束させるべきか。


「明日にでも、残りの範囲から旧教国派を炙り出しましょう。ソリド将軍には、その間に捕らえた捕虜たちを国境から送り返してもらい、そのまま警戒に当たってもらうのが良いかと」


 ヴァルキア代表は俺と同じ意見に行き着いたらしく、一番数の多い帝国兵に捕虜の移送を任せ、そのまま一時的に国境の警備を強化。

 そうして帝国が国境を睨んでいる間に、連合国と王国の人員で絞り込んだ範囲を攻めよう、というわけだ。

 これにはソリド将軍も否やは無かったようで、無言で頷く。


「では、明日は決戦になるな。リベルヤ伯爵、今日のうちにこちらで捕虜を預かっておこう。後で兵士たちを向かわせる」


「わかりました。こちらもすぐに移送できるよう準備を進めておきます」


 諸々の話が纏まった所で、会議は解散となった。

 代表者は各々が自らの拠点に戻り、明日に向けての準備となる。

 もう1ヵ月近い教国の動乱も、ようやく終止符が打たれる事だろう。

 むしろ、そうなるべきだと考えつつ、俺は各所に指示を回して明日の準備に取り掛かるのだった。

次回、いよいよ旧教国勢との決戦。

今回の動乱は、どのような結末を迎えるのか?

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