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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり8人目㉘

新しい感想を頂きました!

ありがとうございます!


ワケあり8人目がもう少しで終わるので、終わったら登場人物一覧でも作ろうかと思います。

結構登場人物も増えてきましたし。

「リベルヤ伯爵様、到着をお待ちしておりました」


 おおよそ予定通り、昼頃にラウンズへと到着した所、街の入口には既に代官が待っており、俺たちを出迎えてくれた。


「私はこの地の代官を務めております、オンブラ・ティテートと申します。爵位は準男爵でございます」


「ご丁寧にどうも。それでは、案内をお願いしますね」


 代官のオンブラ・ティテート氏。

 何だか噛みそうな苗字だが、準男爵との事。

 パッと見はどこにでもいる平凡な青年、といった様相で、年齢は20代前半といった所だろうか。

 まだ若くして元公爵領の代官を任されているという事は、かなり優秀なのだろう。

 そんな彼の案内で、領都ラウンズを進んでいく。

 新しい領主が来る事は既に領民たちの知る所なのか、道行く領民たちは興味深そうに俺たちの様子を伺っている。


「ママー、あのお馬しゃん角が3つあるー」


「そうだね、3つあるね」


 そして何より、暫定新種の魔生物であるヴァルツは物珍しいのか、特に小さな子供たちから注目度が高い。

 注目されているヴァルツも、いつもよりドヤァ、としている感じもしなくはないだろうか。

 そんな感じで街を進んでいくと、交易都市というだけあって、道幅がかなり広い。

 王都のメインストリートくらいの道幅が当たり前で、特に中央部の大通りっぽい場所は大型の馬車3台が横並びになっても余裕があるくらいには道幅がある。

 そして、物の出入りが活発だからか、領民たちの活気も王都に比べて高く感じた。

 これが、俺の治める事になる領地か。

 正確には、ラウンズ以外にもいくつかの村や街があるのだが、ここが一番大きいわけで。

 規模の大きさから、住民も多いだろうし、色々とやりたい事が浮かんでくるな。


「こちらが領主邸……元シヴィリアン公爵家の屋敷でございます」


 ティテート準男爵の案内で、これから俺たちが住む事になる元シヴィリアン公爵邸に到着すると、その大きさと規模に驚く。

 俺の生家も公爵家だが、ただ貴族としての威容を見せつけるためだけのそれとは全く違う、質実剛健な洗練された屋敷に、同じ公爵家でもこんなに違うのかと思ってしまう。


「あの日から変わっていませんね……私の生まれた家のままです」


 元々この地で生まれ育ったシャルも思う所があったのか、色々な感情の籠もった声を上げている。


「リベルヤ伯爵様方、ようこそいらっしゃいました。馬車はこちらでお預かりしますので、屋敷内へどうぞ」


 恐らくは、家令のような役割であろう老紳士が、方々へと指示を出し、俺たちを屋敷内に招き入れてくれた。

 ここで幹部の一部と使用人たちとは一旦別れ、正妻と側妻であるシャルとリシア、側付きであるエスメラルダのみが一緒にいる状態だ。


「既に昼食をご用意しております。移動の疲れもあるでしょうし、まずは腹ごしらえと参りましょう。引継ぎの事はそれからでも遅くはないでしょう。使用人の方々も別室で昼食を摂られますので」


「お気遣い、痛み入ります」


 お礼を述べつつも、カナエの大食に耐えるだけの量が準備されているだろうか、と別方向の心配が出てきたが、今は脇に置いておく。

 それからはある種の会食となり、ティテート準男爵と当たり障りなく会話をしながら、昼食を摂る。

 話していて思ったのは、彼はソツ無く仕事をこなすタイプのように見えた、というくらいだろうか。

 とにかく無難で、平均少し上くらい、といった印象だ。

 昼食を終えてからは、執務室へと移動し、本格的に引継ぎ業務の開始である。


「すごいな……わかりやすく整理した上で、100年前の記録まで残ってる」


 大きな執務室には、多くの本棚があったが、そこにはジャンルや年代ごとにキチンと整理された、領地の運営記録が残されていた。

 適当な1冊を手に取り、パラパラとページを捲ると、その内容が恐ろしく精査された上で綺麗に纏められており、歴代シヴィリアン公爵の丁寧さと几帳面さがよくわかる作りとなっている。


「では、本日はここまでと致しましょう。続きはまた明日に。それでは、私は失礼させて頂きますね」


 夕食を終えた所で、ティテート準男爵は帰宅すると言って帰っていった。

 聞けば、住居そのものはラウンズにあるらしいのだが、屋敷に住み込みで働いていたわけではなかったそうな。


「それではまた明日からよろしくお願いしますね」


 正門の所までティテート準男爵を見送り、執務室へと戻る。

 すると、そこにはシャルとリシア、エスメラルダとリリスの4人が揃っていたので、俺は執務机の椅子に腰かけてから口を開く。


「で、どうだった? 初日だけど、何かわかった事があれば報告してくれ」


 領主()目線だとわからない事もあるだろうと思い、それぞれの分野のスペシャリストを集めたわけだが、果たしてどんな意見が飛び出すやら。


「ではまずは私からいきましょうか。直近の記録を私が離れていた期間分確認しましたが、特に不正やミスは無かったですね。優秀な代官かと思います」


 代官の仕事ぶりについて確認してくれたシャルの報告を聞いて、俺はひとまず胸を撫で下ろす。

 これで不正に手を染めているような悪代官だった場合、いきなり大捕り物になる所だったよ。


「じゃあ次は私かしら。とりあえず先行潜入させた部下からの報告も併せて、裏の要素はこの屋敷には無いと言っていいわ。賄賂や汚職も無かったようだし、しっかりと運営されているわね」


 続くエスメラルダの報告に、またしても安堵する。

 元よりシヴィリアン公爵そのものは、清廉潔白が服を着て歩いているような存在だったが、その使用人たちも含めて一族郎党が処刑されているため、後任がそうであるかはまた別問題。

 しかし、エスメラルダの調査で問題が出なかったという事は、信用していいだろう。


「それでは次は私だな。警備兵や領軍の規模はおよそ100人。練度はうちに比べるべくもないが、領民たちと軋轢を生まず、上手く運営していたようだ。領民側からも頼りにされているようだし、こちらも手を入れる部分は少ないだろうな」


 治安維持や屋敷の警備を行っている領軍も、問題無しというリシアの報告だったが、練度の部分においては鍛え直してやろう、という意識が見える辺り、既に色々と訓練メニューを考えていそうだ。

 それ以外は特に手を入れる必要も無さそうとの事なので、あとはうちの流儀に合わせてもらうくらいか。

 こっち方面はリシアに任せておけばいいだろうし、心配はいらないかな。


「じゃあ、最後にワタシね。使用人たちはほぼ掌握したけど、一部の人間関係はあまり良くないわ。配置転換なり何なりで動かしたりする必要はあるでしょう。けど、こっちもおおよそ問題は無いと言っていいわね」


 リリスの方もほぼほぼ問題無し、と。

 総括として、当面は警備兵も使用人も、連れてきた精鋭たちにうちのやり方を浸透させてもらって、それで残る人と残らない人を選別してもらう形になるか。

 俺やシャルの仕事としては、新しく契約書を用意するのと、今までここを運営していた面々の勧誘、あとは領地運営のやり方を覚える、かな。

 まあ、シャルに関しては諸々既に理解している状態だろうから、主に俺が教えてもらう形になるだろう。

 領地運営そのものに関しては現状維持で充分に収益は上がっているし、問題も起きていないので直近で大きく変える必要は無さそうだ。

 うーむ、これから忙しくなるな、と内心で気合いを入れつつ、俺は新たな領地運営にとりかかるのだった。

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