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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり8人目㉔

前回の契約関連の描写は、運営に怒られないラインを見極めて描いたつもりですが、もしかすると怒られるかもしれないので、そうなったら大きく改稿します。

今の時点で怒られていないので問題無いとは思うのですが、一応告知は出しておきます。

「それで、具体的には契約って何ですか?」


 気になっていた事について問い質してみよう、とリリスさんに声をかければ、彼女はこちらを不満そうに睨む。

 はて、何か怒らせるような事をしただろうか、と自身の記憶を探る。


「……契約までしたのに、ワタシはそんなに遠い存在なのかしら?」


 リリスさんが口を尖らせながら発した言葉によって、彼女が抱いている不満を理解した。

 単純に、敬語はいらんという話のようだ。

 そういえば、契約の直前に、普段通りの話し方になってたような気がしないでもない。


「……わかった。リリス、契約について話してくれ」


 口調を普段通りに変えると、不満げな表情だったリリスは表情を綻ばせる。

 個人的には、色々と段階をすっ飛ばしているのでイマイチ親しくなった感が薄いのだが。


「夢魔族の契約は、最終的にその命と魂を番となる相手と結びつけるものよ。本来なら、段階を通じて契約を深めていくものなんだけど、あなたは色々と規格外みたいで、すぐに最深の契約までいけてしまったわ。そうね……こうすればわかりやすいかしら?」


「痛っ」


 契約の説明をしている途中で、リリスが俺の左手の甲を引っ掻いた。

 相当な力だったようで、4本の爪痕が赤い軌跡を残し、一部はじんわりと出血している。

 いきなり何をするんだ、と思っていれば、彼女は見せつけるように自分の左手の甲を俺に見えるように翳す。

 その行為で、俺は何となく一連の行動の意味を理解し、そして契約についても理解できたと思う。


「まさしく運命共同体、って事か」


 彼女が俺の目の前にかざした左手の甲には、俺と全く同じ引っ掻き傷ができていたのだ。

 要するに、怪我も何もかも、彼女とは共有する状態に俺はなったという事である。

 恐らく、俺が命を落とす事があれば、彼女も即座に命を落とすのだろう。

 あまりにも重すぎる代償ではなかろうか。

 そんな気さえするものの、逆に必要な事かもしれないという考えも脳裏を過ぎる。

 結局の所、深い契約に至った夢魔族が一番に恐れるのは、パートナーを殺されたり、人質に取られたりする事だ。

 逆に言えば、そういった逆境を跳ね除けられるよう、お互いに強くなる必要がある、という事なのだろう。


「ふふ、理解してもらえたようで嬉しいわ」


 俺の認識は間違っていなかったようで、リリスは嬉しそうに微笑む。

 とりあえず、傷をこのままにしておくのもどうかと思ったので、枕元に置いていたルナスヴェートを掴み、無詠唱で回復魔術を使用。

 跡も残さず綺麗に回復してやると、リリスの左手の甲の傷も綺麗さっぱり消え去った。

 これ、本当にとんでもないな。

 死ぬのもそうだけど、おいそれと怪我もできないじゃんか。


「あなたは本当にすごいわね。ワタシは夢魔族としては最強格の能力があったんだけど、それを受け止めた上で、1回で最深度の契約を遂げた。これ、普通の男なら耐えられずに死んでるのよ?」


 まあ、耐えられるという確信があったから、身体と魂があなたを番と選んだのでしょうけど、と彼女は締め括った。

 なるほど、これ搾り取られて殺されてた可能性あったのか……。

 リリスの説明を聞いて、ちょっとだけ背筋が冷えた。

 ともあれ、今は成功して五体満足な上に能力が大きく底上げされているのだから、結果オーライという事で。


「なるほどな……ところで、見た目がだいぶ若返ってるけど、これは?」


 もう一つ、気になった事があったので、追加で尋ねる事にする。

 見た目が若返っているのも、契約内容に含まれているような気がするが、気になるものは気になるのだ。


「これは、あなたの深層心理が求める私の理想的な姿なのよ。夢魔族は、番として契約を結んだ相手の理想の姿となるの。髪色が変わったり、顔の造形が変わったりするような、大幅なものは無理だけれど、相手が若い方が良ければ若い姿になるし、太っている方が良ければ太る。逆もまた然りね」


 確かに、言われてみれば納得できる部分は多い。

 年齢的にはかなり離れていたし、結婚するなら年の差は多すぎない方がいい、という意識はあったような気がする。

 だからこそ、彼女は18歳くらいの見た目に若返った、という事だ。

 鑑定した時に、()で年齢が表記されていたのはこういう理由か。

 見た目は18歳で、実年齢は26歳だから。


「あなたは胸が大きいのが好きなのね。胸元がキツいわ」


 眉をハの字にして、困ったように胸元を抑えるリリスのメイド服は、確かに今にも布地が張り裂けそうなくらい、パツパツになっていた。

 露出の少ないメイド服なので、しっかりと観察しないとわかりにくいが。

 元より豊かな胸部装甲だったはずなのに、どうやら俺が深層心理で理想とする彼女の姿は、それよりもさらに大きかったらしい。

 もしかすると、他にも色々と変化がある可能性もある。


「何か不便があれば言ってくれ。業者を呼んだりするから」


 今や伯爵となったリベルヤ家だ。

 商人や業者を一方的に呼び付ける事も不可能では無くなった。

 それをする気があるかどうかはさておき、という話ではあるが。


「ありがとう。必要があればそうさせて貰うわ」


 とりあえず、色々と話は纏まった、と言っていいだろうか。

 何だか、気付けばここ数日で嫁候補が一気に増えたように思うが、気にしたら禿げる気がするな。

 さすがにまだ14歳で禿げたくはないから、細かい事は考えない事にしよう。


「そういえば、今何時だ!?」


 色々と予定もあったはず。

 そう思って、俺は寝室のカーテンを開く。

 窓からは陽光が差し込み、外はすっかり明るい。

 太陽の位置からして、朝ではあるだろうけど、契約にどのくらい時間がかかっていただろう?


「契約に丸々2日はかかったわね。一応、シャルロット様には1週間の予定を空けてもらっているから、お仕事に問題は無いはずよ」


 それってつまり、今はあの日から丸々2日後の朝、って事?

 シャルが許可を出して日程を調整しているのなら、問題は無いようにしているだろうけど、さすがに色々とヤバそうな気がする。

 そんな焦りが出てきた途端に、急激な空腹感を身体が訴えてきた。

 そりゃそうか。

 丸々2日、何も食ってないんだから。


「……とりあえず朝メシだな。全ての話はそれからだ」


 サッサと身支度を整えて、メシにしよう。

 これから頑張るにしても、食事をしないと身体がついていかない。


「それでは、お着換えをどうぞ」


 本来の仕事に戻ったのだろう。

 リリスが俺の着替えの介助を始める。

 身支度くらいは自分でできるのだが、伯爵ともなれば、いい加減に身の回りの事を使用人に任せる事も必要だ。

 それが雇用を生む事にもなるし。

 そんなわけで、俺は介助を受けて、1人の時よりも気持ち早く身支度を整え、リリスと一緒に食堂へと移動するのだった。

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面白くて1話から232話まですぐに読み進めました! 更新が待ち遠しいです!
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