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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり8人目㉒

「ハイト様。私たちとの婚約のお話も、ちゃんと考えて下さいね」


 適度に失態を演じ、王女様たちから興味を失って貰おう作戦は、結果から言うと大失敗した。

 むしろ、ミスがあるのが等身大の人間らしいと好評を得てしまい、王妃様と側妃様の娘さんたちに、完全に獲物を見る目で見られるようになってしまったのである。

 なんでまた、4人とも俺に嫁ごうとするのだろうか。

 コレガワカラナイ。


「妹たちの行く先が決まりそうで、一安心ですね」


 にこにことご機嫌そうなサクス殿下。

 むしろ家族が同じ所に妹たちが嫁ぐの止めないんかーい。

 そんなツッコミを心の中でかましながら、俺は乾いた笑みを浮かべる。

 4人が4人とも、性格も嗜好も違うはずなのに、元より高かった好感度が天元突破する勢いだ。


「ハイトよ、やはりお前は余が見込んだ男よな」


 俺の心情を誰よりも理解しているであろう陛下は、してやったりという笑みを浮かべており、この茶会の目的が果たせた事を物語っている。

 傍らの王妃様と側妃様も満足げだ。


「細かい事はまた後日としようか」


「そうして下さると助かります……」


 ほぼなし崩し的に、王女様方4人との婚約は決まったようなものだろう。

 具体的な時期などを詰めるのは後回し、としてくれたのはせめてもの慈悲か。


「お前たち、ハイトを見送ってやるといい」


 今日は帰っていいぞ、と言外に陛下が告げたので、俺は席を立って一礼し、サロンを後にしようとしたのだが、子供たちに俺を見送るよう告げる。

 え、サッサと帰してくれよ。

 もう疲れたよ俺。


「ハイト様……また会える日を楽しみにしております」


 マーシャ様から両手を握られ、赤面したうるうるおめめで見上げられると、さすがにどうしていいかわからず、目線で陛下たちに助けを求めてしまう。

 が、彼らは楽しそうに笑うばかり。

 うーむ、どうしたものか。

 力尽くってわけにもいかんしな。


「んむっ!?」


「ふふ、油断大敵です。私は、ただ守られるだけのお姫様じゃありませんから」


 俺が手をこまねいている、一瞬の出来事だった。

 見事な体重移動から、俺の態勢を崩し、ちゅっと一瞬だけのキス。

 もちろん、唇同士が触れるやつである。

 そこから呆気に取られた俺が見たのは、悪戯が成功した悪ガキのような笑みを浮かべたマーシャ様。

 唇が柔らかかったなあとか、いい匂いだったなあとか、一気に大量の情報が入ってきて、完全に固まってしまう。


「ずるい」


「じゃあわたしもー」


「抜け駆けは許さんぞ!」


 俺が固まっている隙に、クワイエット様、レイジュ様、シャティ様からキスの追撃。

 みんな柔らかいけど、感触の違う唇だったなー、と現実逃避をしていると、彼女たちの後ろから陛下が大爆笑。


「ぶわっはっはっは! 血染めの月(ブラッドムーン)すら下すほどの実力を持つお前が、娘たち相手には形無しではないか!」


 珍しすぎる陛下の大爆笑に、さすがの俺も正気に戻る。

 いかんな。

 完全にペースを王女様方に持っていかれてた。


「陛下、王妃様、側妃様、娘たちになんて教育してんですか」


 嫁入り前に異性へキスするなど、王女様方からすれば大変な瑕になってしまう大不祥事なのだが、当の親たちは微笑ましい表情でこちらを見ている。

 当然、俺はなんて教育をしてんだとジト目で見ているのだが。


「心に決めた殿方はどんな手を使ってでも手に入れなさい、とだけ教えました」


「自分で意中の相手を射止める力を付けなさいと教えただけですわ」


 ほとんど同時に、王妃様と側妃様から教育方針の返答が来て、俺は思わず顔を顰める。

 そんな教育されてたら、そら肉食系女子になるわな。


「ふふ、もうお手付きにされてしまったので、私たちはハイト様に嫁ぐしかありませんね」


 すっかり呆れ返る俺を他所に、マーシャ様たちはしてやったりといった様相で。

 ホント、強かな王女様たちだよ。

 ともあれ、いい加減夜も遅くなってきたので、俺とエスメラルダは、今度こそサロンから退出し、帰りの馬車へと乗り込んだ。


「俺、シャルに殺されないか?」


 断り切れず、まさかの王女様4人衆が追加で嫁に来る事になってしまって、俺は思わず対面に座るエスメラルダに問いかけた。

 仮に王女様4人衆がうちに嫁いできたとして、場合によっては正妻のはずのシャルが追いやられる可能性だってあるのだ。


「逆に今日の話を破談にした方が、シャルロットは怒るでしょうね。前にも言っていたけど、あなたの血を多様性を持たせて遺す。それがあの子の命題よ。優秀かつ多様性のある新たな可能性を喜びこそすれ、それを怒る事なんて無いわ。それに、シャルロットなら王女様4人だって上手くコントロールするわよ。何せ、王家相手に真正面から喧嘩を吹っ掛けられるだけの手札をいくつも持っているのだから」


 そんな俺の不安なぞ知った事か、とエスメラルダはバッサリ切り捨てる。

 いや確かに、シャルはハーレム作れと言っていたけれども。


「いつか、目標は20人以上って言っていたわね。私は立場上、色々と深い所まで聞いているけれど……聞きたい?」


 どこか仄暗さすら感じるエスメラルダの雰囲気から、シャルが本気で俺のハーレムを作ろうとしている事を理解し、その続きを聞く事を断念した。

 正直、聞いて理解できるとも思えないし、聞いたらもう普通には帰って来れない気さえする。


「懸命ね。私ですら、計画を聞いた時には背筋が震えたもの」


 俺が沈黙したので、続きを聞く事を拒否したと判断したエスメラルダは、遠い目で馬車の窓から外を覗く。

 すっかり宵闇の帳が降りた王都の街並みを、馬車が進んで行く。

 貴族街は夜に騒がしい事も無いので、馬車の揺れと馬の蹄が道を進む音だけがBGMだ。


「……今日はサッサと休む事にするか」


「そうしなさい。明日から色々と動くでしょうから」


 リリスさんの事とか、帰ったら確認しようと思ってたけど、疲れたし、シャルの計画とやらに触れるとSAN値が削れそうな気がしたので、俺は何も聞かなかった事にしようと決める。

 エスメラルダもそれがいい、と同意してくれたので、俺は深く考えるのを止めるのだった。

王女様たちの猛攻フェーズは丸々カットと相成りました。

なぜなら、面白い話に組み立てられるだけの技量が作者に無かったからです。

よってハイライト記載になりましたが、これからもっと描写技量を上げていけるように頑張ります。

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