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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり8人目⑲

人によっては少し胸糞要素があるかも?

念のため注意書きしておきます。

「こちらが本日お連れした、厳選した奴隷たちでございます。よろしければ、触り心地なども確かめて頂けますよ?」


 そう言ってフラウド氏は、客間に入ってきて整列した奴隷の中から、おもむろに一番近くの奴隷の胸を軽く揉む。

 奴隷の女性は、暗い表情でそれを受け入れるだけだ。

 ああ、見ているだけで気分が悪い。

 連れて来られた奴隷の女性たちの顔をそれぞれ見比べていると、けっこうな数の見知った顔を見つけられた。

 リリスさんを始め、あの日に一夜の夢で夜を共にした女性たちだ。

 あの時と変わらず、みんな素晴らしい美貌と蠱惑的な肉体だが、その表情は完全に無であった。

 みんな明るくて、相手を楽しませる事をモットーにしていたはずの彼女らが、一体何をしたらこんな廃人のようになってしまうのか。


「特におススメなのは、こいつですね。今回連れてきた奴隷の中でも一際美しく、夜伽の具合もいい。それでいて耐久性もあります」


 耐久性、だと?

 コイツ、彼女らを道具のようにしか見てないな。

 奴隷であっても、人権は保障されているはずだし、過度な暴力や洗脳のような教育は奴隷法で禁じられているはず。

 ああ、本当に胸クソが悪い。

 他人を食い物にする、人外の所業だ。


「エスメラルダ」


「何かしら?」


 もう、聞くに堪えないと思った所で、隣に控えているエスメラルダを呼ぶ。

 彼女は、すぐに返事をしたが、俺の意を汲んで動きはしない。

 否、俺がどこまでの判断をするか、見極めようとしている。


「コイツを憲兵団に証拠と一緒に突き出せ。人員は警備兵を使っていい。それと、コイツの下にいる奴隷を全員うちで引き取る。拠点含めて探って、全員確保だ」


「仰せのままに。当主様」


 俺の決定に異を唱える事無く、すぐに動いたエスメラルダの行動は迅速だった。

 まずは血魔術を駆使してフラウド氏――いや、フラウドの身柄を確保し、使用人を客間に呼ぶと、言伝と共に彼を使用人に預ける。

 使用人は、一人の男を軽々と客間から運び出していく。

 きっと、この後はそのまま警備兵に引き渡されて、警備兵たちが憲兵団の詰め所に連れて行くのだろう。

 それから、自らの側近を呼び出すと、リリスさんたち以外の奴隷を回収に向かわせる。

 その様子を見守りながら、俺はリリスさんに鑑定をかけていた。


―――――――――


リリス・ヴェルクイン


26歳


種族:夢魔族

身長:167センチ

体重:57キロ

状態:催眠

生命力:25

精神力:30

持久力:50

体力:12

筋力:10

技術:50

信念:5

魔力:25

神秘:35

運:2


特殊技能

・武器熟練:鞭・短剣

・夜伽の女王

・夢魔女王の契約

・献身

・統率

・管理

・家事


―――――――――


 思いの他、リリスさんに戦闘力がある事が驚きだったが、それ以上に気になったのは、催眠状態にある、という事。

 まず間違い無く、フラウドが何かしたのだろう。

 大方、言う事を聞きやすくするなどのものなのだろうが、魔術的な催眠か薬物定な催眠かで対応が異なる。

 とりあえずは、エスメラルダの部下が他の奴隷も連れて来るのを待つかね。




……

………




「姫様、命じられた奴隷たちの捜索と救出、恙無く終了いたしました」


「ご苦労様。そのまま休んでいいわよ」


 たっぷり1時間程度の時間をかけて、エスメラルダの部下たちが残るフラウド管理下の奴隷たちを救出し、客間に連れて来ていた。

 最終的には総勢50人にも及ぶ奴隷の数で、その全てが若い女性であり、夜伽用の奴隷とされていたようだ。


「さて、それじゃ魔術で解呪をかけてみるか。これで効果が無かったら薬の準備だ」


 全員がベビードール姿で、人前に出せない姿だったため、使用人に命じてとりあえずベッド用のシーツを被せてマントのようにしつつ、一か所に集めて解呪の魔術を使用する。

 これで効果が無かったら使われた薬品を調べ出してから、対応する薬を用意しなければならなかったのだが、幸いにも、魔術は効力を発揮し、すぐに女性たちは正気に戻った。

 当然、いきなり知らない場所にいるものだから、半ばパニックが起こりかけたが、何人かは冷静な人もいて、手分けして声掛けをした結果、思いの他早めに収束。

 どうにか全員が落ち着きを取り戻した所で、一団を代表するようにリリスさんが俺の方に歩み出てくる。


「お久し振りね。あの夜以来かしら」


 久しぶり、と挨拶をしてきたリリスさんの表情は、以前に見た、凛としていながらも愛嬌のあるものだった。


「ああ、覚えていてくれたんですね」


 まあ、俺も色々と忘れられない一夜だったのだから、相手もそうだったのかもしれない。


「ええ。忘れられるわけが無いじゃない。ワタシにとっても、あの夜は特別だったんだから……」


 少しだけ頬を赤く染め、リリスさんは熱っぽい目線で俺を見る。

 はて、そんなに熱を上げられるような事があったか、と首を傾げていると、急にエスメラルダが俺の前に出た。


「エスメラルダ?」


「この女、誘惑の魔眼を使ったわ。ハイト、異常はない?」


 少しだけ焦ったような雰囲気のエスメラルダだったが、俺は全くもって正常。

 問題ない、と声をかけると、すぐに彼女は俺の横に戻った。


「ごめんなさいね。魔眼を使うつもりは無かったの。でも、あの日から、ワタシはアナタに惹かれてもうたまらないのよ。あのいけ好かない男に、奴隷になんてされなければ、アナタの元に来ていたはずなのに……」


 奴隷になんてされなければ、と言うリリスさんは、心底悔しそうな表情で大きな溜息を一つ。

 うーん、そんなに慕われるような要素、俺にあったか?


「良かったら、事情を話してもらえませんか?」


「いいわよ。聞いてもらえるのなら、ワタシもありがたいから」


「ああ、それよりも先に着る物を用意しないと。みんな、彼女たちに簡単でいいから着るものを」


 事情を聞き出そうと試みれば、特に隠すでもなく話してくれそうで、精神状態も病んでいる様子は無いので、俺は使用人たちに命じて簡単な服を用意させ、それから希望者に飲み物と軽食を配った。

 とはいえ、外見には気を遣われていたのか、全員が栄養状態に問題無さそうで、健康体であり、念のためにオルフェさんを呼んで色々と診断してもらったけど、彼女からも問題無しと診断されたので、とりあえずは一安心だ。


「それじゃあ、あなたが貴族になったくらいから話そうかしら。それから私たちの状況が動き始めたから」


 即席で準備された貫頭衣に身を包み、リリスさんはこれまであった事を語り始めるのだった。

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