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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり8人目⑬

今回はセファリシアとデート会続き?

です。

「今回はお気に召す物があればいいんだがな」


 そう言って、再びブライアンさんが装備を持ってきた。

 先ほどと違い、大きな物が少ないので1回で全てを持って来れたようだ。


「すまないな。私の戦術が独特なばかりに」


「なーに、客の要望に応えてこその職人ってモンよ。さ、見てくれや」


 まずは一番大きな物から見ていこう。


―――――――――


吸収と開放の盾剣(じゅんけん)


長めの直剣に、鞘も兼ねる大きめのカイトシールドが一対となった武器。

扱いには高いレベルの筋力・技量を要求し、また一般的な剣と盾に比べて重い。

盾は敵からの攻撃を防いだ際に、少量ながら魔力を回復する効果があり、剣は戦技(アーツ)を強化する効果がある。

戦技を主体とする戦士のために作られた武器だが、性能の高さと扱いの難しさが同居する上、その生産コストの高さから、数組しか生産されずに廃盤となった。

この武器を生み出した職人は、後に意欲作ではあるが失敗作だったとの言葉を残している。


―――――――――


天空の鎧


天を舞う最上位の翼竜素材と白魔銀(ミスリル)を掛け合わせた、天空白魔銀(スカイミスリル)という希少合金を用いて制作された鎧。

頑丈さに比してとんでもなく軽く、高い属性耐性も併せ持つものの、背中側はほとんど守られていないのが弱点。

高い防御性能と引き換えに、装備者の術の威力を落としてしまう。

本来は全身を覆う板金鎧となるはずだったが、予算の都合で背中側の装甲を削られてしまった。

空だって飛べる頑丈な鎧、というキャッチコピーで売り出された1点ものの鎧だが、背中側の守りがガラ空きという欠点から、駄作の烙印を押され、製作者は失意のまま亡くなったという。


―――――――――


天鳥の額当て


神話上の鳥をモチーフにした額当て。

額から前頭部にかけてを守るもので、守る場所を限定する代わりに軽さと頑丈さを両立している。

吉兆を運ぶと言われる天鳥の力が発現しているのか、僅かながら装備者の運気を高める効果がある。

天鳥は、金色の後光を纏った4枚の翼を持つ鳥として描かれ、神話上で幸福の象徴とされている。

防具には不必要な、精緻な細工によって作られたこの額当ては、防具として高い性能を持ちながら、美術品としても高い価値を持つ。


―――――――――


不屈者のブーツ


魔術金属と革を用いて作られた、悪路でも地面を踏みしめられるよう作られたブーツ。

高い接地性を持ち、泥道でもしっかりと踏ん張る事ができる。

接地性以外に特殊な効果は持たないが、堅実な防御性能を持つ。

装備者が不屈の意思を持つ限り、倒れる事はない。

そんな評判から、多くの人に愛されるロングセラー商品となった逸話がある。


―――――――――


守護の翼当て


天翼族の翼を守るために作られた防具。

翼の一部を金属製の防具で守る事により、飛行中に翼を攻撃されて墜落する事を防ぐ他、翼そのものを簡易の盾として扱う事も可能。

魔術金属で作られており、重量軽減の効果が付与されている。

天翼族にしか意味が無い事から、広く普及する事は無かったが、後に細工を入れたりする事によって、装備者の身分を示したりするようになった。

翼を撃たれて二度と空を舞う事ができなくなった天翼族の男が、同じ思いをする同族を増やさぬように、と願いを込めて生み出した防具。


―――――――――


「いいんじゃないか? どれもリシア向きだ」


「ありがたい事にな。だが、これだけの装備となると、値段も相当なものではないか?」


 自分に合う装備の数々を見て、嬉しそうな反面、値段を気にしている様子のリシアだったが、ここまで来たら値段なんて気にしていてもしょうがない。


「……これで足りない分は俺当てに小切手出してくれ」


 何も言わずに金貨500枚分となる白金貨50枚をブライアンさんに手渡し、足りない分は俺のポケットマネーから出すと耳打ちする。


「……まいどあり。だが、貰いすぎだな」


「……だったらさ、こうしてみるのはどうだ?」


 そう言って、白金貨1枚を戻してきたので、俺が一つ閃いた事を耳打ちしてみれば、ブライアンさんは戻そうとした白金貨1枚を素早く回収。

 よしよし、これで予算的には問題無しだな。


「そんじゃ、調整は昼までにやっとくから、また取りに来い」


「了解。そんじゃまた後でな」


 俺とブライアンさんはいい顔でがっちりと握手を交わす。

 その様子を見て、俺たちの間でのやり取りを知らないリシアが怪訝な顔をしているが、ここは知らぬが仏ってね。


「装備はここで着けていくか?」


「そうだな。せっかくだからそうしよう」


 怪訝な顔をしていたリシアの意志を逸らすべく、新しい装備に着替えてはどうかと提案してみれば、リシアの興味は新しい装備の方に移ったので、俺は武器を除く装備を彼女に持たせ、ショップの一角にある試着室にリシアを案内。

 彼女が中に入ったのを見計らって、吸収と開放の盾剣と、試作型剣槍をブライアンさんに渡しておく。


「久々に腕が鳴るってもんだ」


「頼むから、失敗だけはしないでくれよ?」


 俺の心配を他所に、ブライアンさんは不敵に笑う。

 まあ、何だかんだで彼の腕は信頼しているので、心配はあまりいらないのだが。

 とはいえ、たまにやり過ぎる事もあるので、そういう意味では心配だったりもするのだが。


「待たせた。どう、だろうか?」


 俺とブライアンさんがやり取りをしていると、装備を着替えたリシアが試着室から出てくる。

 その姿を見て、俺はしばしの間、言葉を失った。

 凛とした美しさに、荘厳さが合わさって、とても成人したての16歳とは思えない。


「すごく似合うし、強そうだ。俺はこんな美人を嫁に迎えられるんだな」


 ストレートにリシアを褒めてみたら、湯沸し器のようにボッと彼女の顔が真っ赤に染まる。


「あ、ありがとう……その、喜んでもらえて嬉しいんだが……あんまりいきなり刺激の強い言葉を投げないでくれないか?」


 顔を赤くしながら背中の翼を動かして、顔を半分隠しつつ、てれてれとこちらを見てくるリシア。

 うん、可愛い。


「武器は少し調整がいるって言ってたから、先に少し早いが昼メシにしよう。冒険者食堂のメシも、体験したいだろ?」


 今日のデートの目的が冒険者の活動を2人でする、だったので、リシアは俺の提案に乗ってくれて、俺たちは一度ギルドショップを後にする。

 それから2人で冒険者食堂に入り、ボリュームたっぷりの冒険者メシに舌鼓を打つ。

 豪快な料理が多いのと、量がかなり多いので、侯爵令嬢であるリシアは大丈夫だろうか、なんて心配をしていたのだが、旺盛な食欲でもって、リシアはぺろりと1人前(普通の食事換算だと2.5人分くらい)を平らげて見せた。


「冒険者の食事というのは、こうも豪快なのだな。味も量もちょうど良くて、貴族らしい食事などよりよほどいい」


 最初こそ、侯爵令嬢らしく上品に食べていたが、俺や周囲の冒険者たちが豪快に食べているのを見て、リシアも豪快に食べていたのが印象的だ。

 どうやら貴族的な食事よりも肌に合ったようで、とてもご機嫌な様子。


「そんじゃ、武器の受け取りに行く前に、今日中に戻れる簡単そうな依頼を見繕っておこう」


 さすがに泊りがけの依頼は受ける時間が無いので、近隣の魔物退治などの簡単な依頼にを受けようと思い、受注カウンターの方に向かうと、俺に気付いたイケオジ受付が、こちらに早足で向かって来るのが見えた。

 おんやあ?

 これは緊急事態の香りがするねえ……。


「ハイト様、ちょうどいい所に。王都近郊の沼地で、正体不明の魔生物の目撃情報がありました。B級冒険者たちがボロボロになって帰ってきたので、危険性と緊急性が高いと判断し、あなた様に依頼を出したく。S級のお2人は不在、フィティルや他のA級冒険者たちも今朝発ったばかりでして……」


 なるほど、他の高位冒険者たちは不在、と。

 うーん、まあ、王都近郊での調査なら、日帰りでも大丈夫かな?

 いざとなったら応援としてカナエたちを呼び出せば大丈夫だろう、と判断し、俺はイケオジ受付からの緊急依頼を受諾したのだった。

 ちなみに、今日登録したばかりのリシアは、俺の連れなら問題無いでしょうとすんなり同行が認められていたりする。

 ビバ信用。

今回でイチャイチャタイムは終了です。

次回から平常運転に戻ります。

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