表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

189/241

ワケあり7人目⑲

「気が遠くなりそうな作業だな……」


 魔力大剣刃(マナブレード)を展開した剣で怪獣を斬りまくったが、どこを斬っても妙な芯の様なものが引っ掛かり、大きなダメージにならない。

 ただ、付けた傷そのものはすぐに再生するものの、怪獣側の動きも大分鈍くなってきている。

 ダメージが積み重なっている証拠ではあるが、今のペースではヤツの動きが止まる前にこっちの魔力が尽きてしまう。

 どうにかして、何かしらの有効打を与える必要があった。


「総員、攻撃開始!」


 勇ましい掛け声と共に、怪獣の背後から矢や魔術が降り注ぐ。

 その多くはあまり通用してはしないものの、僅かながらダメージを与えている様子はある。

 何事か、と視線を動かせば、そこには援軍として速駆けしてきたアーミル侯爵軍の姿が。

 援軍そのものは嬉しい反面、一般兵程度ではヤツの餌になるのが目に見えているので、せっかく削ったダメージを回復されたくはない。


「おい! 親父さんを止めてくれ! 下手に今、ヤツに兵士を捕食でもされたら、今まで削った分が無駄になる!」


 一瞬だけ怪獣の意識が逸れたタイミングで、少しばかり後ろに下がって呼吸を整えつつ、背後のセファリシア嬢に怒鳴る。

 俺自身が動くわけにもいかないので、彼女を頼る他ないのだ。

 彼女が動きやすいよう、先ほどよりも苛烈な連続攻撃をかけて、怪獣の注意を引く。

 再び連撃で怪獣を斬り刻んでいるうち、セファリシア嬢が飛んでアーミル侯爵へ接触を図っているのが視界の隅に見えた。

 あとは下手に突撃などせず、微量でも遠距離から削ってくれればいい。


「たっぷりくれてやる。食えるモンなら食ってみやがれ」


 覚醒の翼(ライザーウィング)の余剰魔力を飛行に回し、ヤツの上を取れば、触手の鬣が俺を捕食しようと伸びてくるが、それに構わず魔力大剣刃の切っ先を怪獣の口内に向ける。

 今からその口の中に、特大の一発をくれてやるよ。


極高限界突破ハイメガオーバーリミット三重魔力砲撃(トリプルマナカノン)!」


 今の俺が出せる最大出力の魔力砲撃を3つ、並列起動させた上でそれを収束させて剣先から放つ。

 覚醒の翼状態じゃなかったら、とっくに脳みそが焼き切れているであろう、トンデモ威力の魔力砲撃。

 多分、誇張抜きでエンドレス〇ルツのウィング〇ロが機体崩壊させながら放つ、シェルターぶち抜きビームの威力超えてるんじゃないかと思う。

 とりあえず、覚醒の翼状態でも生身にダメージが来る程度には、とんでもない攻撃を無防備な口内に放り込んだわけだが。

 ちなみに、進路上の触手の鬣は三重魔力砲撃で塵も残さず消し飛びました。

 あ、あと身体へのダメージは、とりあえず鼻血が出たのと胃の方から血が少し上がってきたくらいなので、まだまだ大丈夫。

 このくらいならせいぜい数日寝込むくらいで全然済む。


「さて……これで残り魔力は3分の1くらいか」


 およそ2分程度の三重魔力砲撃の照射を終えて、俺は一度地上に降りる。

 体力もだいぶ消費したし、いい加減にカタがついてくれるといいんだが。


「やったか!?」


 あ、フラグになるから言うまいとしていた一言を、アーミル侯爵軍の誰かが叫んだのが、覚醒の翼で強化された俺の耳に届く。

 三重魔力砲撃を全て飲み込んだ後、動きを止めた怪獣の様子を伺っていると、ヤツから急激な魔力の高まりを感じた。

 これ、マズイかも。

 そう思った瞬間には、怪獣が轟音と共に爆散。

 幸いというべきか、爆発は上方向に多くの威力が向かっていたので、俺やアーミル侯爵軍は爆風の風圧に耐える位で済んだ。

 もうもうと煙が立ち込める中、煙の内部から、高魔力の存在を感じる。

 恐らく、まだ終わっていない。


「今、俺の中に全てがある! 我が軍の兵士たちの、その力と命が!」


 ドン、と衝撃波が駆け抜け、立ち込めていた煙が一瞬で吹き飛んだ。

 爆心地であっただろう、クレーターの中心に、仁王立ちしている人影が1つ。

 能面どころか、のっぺらぼうのような凹凸の無い、つるりとした白い頭部。

 刺々しいフォルムながらも、人間と同じ形の身体。

 まさしく異形の存在であるが、声そのものはタイラン侯爵のものだ。

 これは状況からの推察になるが、先ほどの怪獣の取り込まれたタイラン侯爵の意志が、俺の三重魔力砲撃の影響で実体を得て、逆に怪獣を構成していたものを取り込んだのだろう。

 要するに、怪獣の捕食した全てを取り込んで凝縮した姿が、タイラン侯爵の意志を得た、という所だと思われる。


「俺が、俺こそが、最強だ!」


 目の無いのっぺらぼうの頭部が、俺の方に向く。

 視線など無いのに、確実に俺を見ている感覚。

 気付けば、異形の姿となったタイラン侯爵が、眼前に迫っていた。

 動きが、見えない。

 それでも、俺は直観に従って、ルナジアムを盾にするように、攻撃が来るであろう場所に滑り込ませる。

 衝撃。

 それ以外には、何も感じ取れなかったが、自分の身体が少し遅れて激しく地面を転がったのを感じる頃には、全身に激痛が走っていた。

 間違いなく、剣で防御する事には成功したが、その上で吹っ飛ばされ、受け身も取れずに激しく地面を転がったのだ。

 覚醒の翼で、身体能力以外に五感も大幅に強化されているというのに、反応すらできなかった。

 これは、非常に不味い。

 意識こそ飛ばさずに済んだものの、身体中を苛む激痛に、すぐに起き上がるのは不可能だった。


「ククッ、クハハハハ! あのクソガキが、まるで雑魚じゃないか!」


 己の力の全能感に酔っているのか、タイラン侯爵からの追撃は無かった。

 不幸中の幸いではあるが、覚醒の翼の強化中ですらこれでは、強化が切れた時点で詰みだ。

 およそ残り魔力は4分の1。

 時間にして、約2分半。

 某光の巨人よりも短い時間で、あの化け物をどうにかしないといけないとか、ハードモード通り越してもはやダン〇マストダイじゃんか。

 全く無理ゲ―がすぎる。

 けどまあ、これクリアしないと間違い無く死んじゃうからね。

 死力を尽くして頑張るしかない。


「言ってろ、雑魚野郎……」


 生まれたての小鹿のように、プルプルしながら、全身の激痛に耐えて立ち上がる。

 この時点で、残りおよそ2分。


「フハハ、そんな状態で良く吠える。じっくりと甚振ってやろう」


「ハッ、そんなん願い下げだ!」


 全力尽くして無理なら、死力を尽くす。

 無茶してダメなら、無理してでも気合いで乗り切る。

 まだ、こんな所で死んでられるか!

現在のハイトの状況→トランザムの限界時間が!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ