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ワケあり奴隷を助けていたら知らない間に一大勢力とハーレムを築いていた件  作者: 黒白鍵


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ワケあり4人目㉓

「それでは、様子を見ながら毒を投与します。オルフェさん、準備はいいですか?」


 馬車内で毒を調合し、かなり濃度を薄めてから、リベルヤ男爵に毒を投与する準備が整い、これからの処置における重要人物であるオルフェさんに声掛けをすれば、少し不安げではあるものの、彼女は小さく頷く。

 拒否反応や、思いがけない副作用が出た際には、彼女の処置が大事ですからね。

 圧を感じさせてしまうかもしれませんが、気を引き締めなくてはいけません。

 それは毒の投与調整をする私にも言える事ですが。

 ちなみに、毒の調合風景は誰も覗きには来ませんでした。

 まあ、当然ですね。


「周囲は絶対に守る。安心して」


「おう、あたしらに任せろ」


 医療行為の役に立たないとわかっているからか、カナエさんとジェーンさんのお二方は、武器を握っての周辺警戒へ。

 変に近くであれこれ騒がれても気が散りますし、ちょうどいいですね。


「お願いします。それでは、始めますよ」


 お二方を見送ってから、精製して薄めた毒をリベルヤ男爵の口へ。

 見た目は無色透明の液体で、匂いもありませんが、原液だと数滴で人間は死に至ります。

 今回はかなり薄めているので、1口飲んだ程度では死にはしないはずですが、薬に体質が合わない事があるように、毒も体質によって効き目が弱かったり強かったりするので、細かい変化を見落とさないようにしないといけません。


「……ちなみに、どういった効果の毒なんですか?」


 恐る恐る、といった様子でシスターオルフェから、毒について質問が。

 確かに、気にはなりますよね。

 まあ、製法が知られなければ効能くらいは大丈夫でしょう。


「端的に言えば、身体の魔力器官の流れを閉塞させ、止めてしまう毒ですね。体内の魔力が枯渇した状態が続けば、身体機能が狂い、そのまま死に至ります。そして、この毒は成分が検出されませんので、証拠は一切残りません」


「……それって、ものすごく苦しいんじゃないですか?」


 リベルヤ男爵の喉が動いたの確認しつつ、シスターオルフェの表情を見れば、彼女は青い表情でこちらを見ていますね。

 私にとっては毒なんて身近なものなので、今さら恐れるようなものでもないのですが。


「起きているなら、確かに体調に異変が起きますね。ですが、眠っている間に効力を発揮した場合、眠るように死ぬんです。そして、翌朝に冷たくなっている、というわけです。死後すぐに発見されると、魔力閉塞による異常がバレてしまいますが、大抵は発見される頃には証拠になり得る魔力は抜けていますし、それ以外の症状は残りません。まして、身体に毒の成分が残りませんので、そうなると、心臓などの病気で急死した、と判断されます」


「そんな恐ろしい毒があるんですね」


「そうですね。どのくらいの人がこの毒の存在を知るのかわかりませんが、師匠から製法だけは絶対に知られてはいけない、とキツく言われています。当然ですが」


 証拠の残らない毒なんて出回れば、要人暗殺をやり放題ですし。

 師匠が作り出したものかどうかは知りませんが、相当に危ない代物なのは間違いありません。

 今回のリベルヤ男爵の件も、恐らくは無茶な魔術の行使により、魔力器官がズタズタになったせいで傷が塞がらないのでしょう。

 一時的にでも、毒で魔力器官を閉塞させて機能を停止、あるいは鈍らせる事で、自己修復を促せるのではないか、という狙いですね。


「……今の所は、特に変化はありませんね」


「この毒は効き始めるまでに少し時間がかかります。体質にもよりますが、おおよそ30分から1時間程度でしょうか。効果が現れるまでは油断できませんよ」


 とはいえ、仮に狙いが上手くいったとして、早急に専門の治療を受けさせるのは必須と言えますし、リベルヤ男爵の容体が安定し次第、すぐにリアムルドへ戻った方がいいでしょう。

 どの道王都に戻るのであれば、そのまま城の医務官に見せれば早いでしょうか。

 私も報告に行かねばなりませんし、リベルヤ男爵と師匠や陛下との関係性を鑑みれば、すぐに対応してくれる事でしょうしね。




……

………




「……出血が、少し弱まったのではないでしょうか?」


 リベルヤ男爵に毒を投与してから、およそ40分程度。

 効力が現れ始めたのか、時折滲む血を拭っていたシスターオルフェが、変化を感じ取ったようです。

 私もじっと観察していましたが、確かに拭った後の出血の勢いが弱まっていますね。

 この分であれば、もう少し投与しても良さそうです。

 そして、効果がある事がわかった以上、この場に留まる意味もありません。


「シスターオルフェ、合図を上げてお二方を呼び戻しましょう。効果が見えましたから、このまま対症療法で現状を維持しながら、リアムルドへ戻って専門の治療を受けさせた方がいいです」


「確かにそうですね。まだ量の調整をする余地はありますが、これだけハッキリと効果が出るのなら、現状維持で動く事も可能でしょう。炸裂火球(さくれつかきゅう)


 シスターオルフェが爆発する火の球を真上に投げ、それが爆発すると、程なくしてジェーンさんとカナエさんが戻ってきました。

 何事か、と焦っている様子ではありましたが、こちらの様子を見て危ない状況ではないとすぐに理解してくれたようですね。


「リアムルドへ戻りましょう」


「って事は、上手くいったんだな?」


「現状より悪化する事は無くなった、という程度ですが。早急に国に戻り、専門の治療を施す必要があります」


「わかった。それなら急ごう。御者はあたしらでやる。ハイトの事は2人に任せるぜ」


 ジェーンさんは即断即決、という形ですぐに移動準備に取り掛かってくれました。

 カナエさんも特に何も言わずに動いてくれているので、すぐに動き出せるでしょう。

 リベルヤ男爵……国へ戻るまで、絶対に耐えて下さいね。

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