入学試験III
「お前!まさか魔獣か!?」
まったくわからなかったので適当に魔獣とでも言ってみる
「そんなわけないでしょ!失礼ね。気づかないなら仕方ないわね。改めて自己紹介をさせて貰うわね私の名前はメイ・クリェイ」
「メイ....クリェイ... クリェイ!お前デラの娘か!?」
「ええそうよ」
「なるほど確かに言われて見れば似ているような気がするな」
「そうでしょ」
良く分かったなと思っているとメイが
「お父さんからあなたの事を聞いていたの。一緒に薬草を集めてくれたんでしょう?ありがとう!一緒の所の試験を受けるって聞いて直接お礼を言いたくてあなたの事沢山聞いたの!」
「そうだったのか。こちらこそ君のお父さんが居なかったら今でもあの森をさまよっていたと思うからこっちこそお礼を言わないといけなかったのだが言う事ができなくて困ってたんだ。直接お礼を言いに行きたいけど行けそうにないから代わりに伝えておいてくれ」
なぜ直接伝える事ができないかと言うと監視されてるからだ。気付いたのは馬車を降りた後からだ。この調子だと試験が終わった後に出掛けるのは難しそうだな。残念だなと思っているとメイが明るく笑って
「わかった!伝えておくね!」
と言った。その後に小さな声で
「これだけ見張られてると確かに無理かもね」
と言った。
俺は驚いた。気付いたのかと。監視されていると言っても誰でもわかる程気配を消すのが下手な奴ではない。どちらかと言うととても上手い方だ。気配を消すのは闇魔法なので俺の得意魔法だ。だから気づいた。
「お前闇魔法を使えるのか?」
「ええ、少しだけね」
と微笑んだ。
「所で試験の番号はいくつなの?」
「俺は175番だ」
「えっほんと!私は174番!一緒の組だね!」
「ああそうだな」
とたわいも無い話をしていると俺たちの組が呼ばれた
「行こ!絶対に受からなくちゃ!」
「ああ頑張ろう!」
一緒にコロシアムに入って行くと中は組と組の間には仕切りがあり奥には人形みたいなものが立っていた。
あらかたあそこの人形に魔法を当てるのだろうと考えていると試験官がやって来た。
「今から試験を始める!
まずあの奥にある人形に魔法を当てて貰う。得点は使える属性の種類と威力で決まる!そして明日得点の近いもの同士で実践をする。実践の詳しい詳細は明日説明する!では始める」
「173番!」
「はい!」
と番号を呼ばれて行く。
今の人はどれくらいの威力の魔法を使うのだろうとドキドキしているといきなり詠唱を始めた
「え?」
俺は驚いた400年前は詠唱なんか使わないくても魔法を使う事ができたのに今ではあんなダサい詠唱をしないと魔法を使えないのか
俺はダサい詠唱というよりも詠唱を使わないと魔法を使えなくなるほど人の力が弱くなっていることにびっくりしてまたがったりもした。学院に入れば自分と同じぐらいの力の人がいて一緒に戦ったりして楽しめると思っていたのに詠唱なんかを使っていたら相手にもならない。そう思ってがっかりしているとメイが
「いきなり声を出してどうしたの?」
と聞いてきたので思った事をそのまま聞いてみた
「メイも詠唱をしないと魔法を使えないのか?」
するとメイは驚いた顔をして
「ジェイくんは詠唱なしで魔法を使えるの!?」
と聞いてくる。質問を質問で返してどうするんだと思うながら
「当たり前だろ」
と答えたら
「魔法は基本みんな使えるわ。でもそれは詠唱をしたらの話。詠唱をしなければ貴族以外の子は魔法を使えないわ。あなたの貴族だったの?」
なるほど確かに400年前を思い出してみると争いをしていた人族は一部だけで顔もほとんど変わらなかったなと思った。ではあの時争いに出ていた者たちが今貴族と呼ばれている者たちの先祖というわけか。
メイの貴族なのかという質問にはどう答えるべきなのか迷う。
吸血鬼の王なのだから人の貴族と言うものにも平民もいうものにも当てはまらない...だが貴族では無いと言えばあの詠唱をしなくてはならない。詠唱がダサいというのは置いて置いてもし詠唱に決まりがあるのだとすれば俺はまったくわからない。下手な詠唱をして怪しまれるのは困る。ただでさえフードを深くかぶり怪しい格好をしているのにこれ以上怪しまれる訳にはいかない。そう考えた俺は貴族と名乗る事にした。何か問題があれば王に適当に身分をもらおう。一応吸血鬼の王だそれぐらいはしてくれるだろうと思った。
「ああ。貴族だ、だが身分を隠しているから深掘りはするな」
とこちらから話を振ったのに悪いが少し圧を掛けたせてもらった
するとメイは少し怖がりながらも
「わかった」
と言ってくれた。
すると丁度メイの番号である174番が呼ばれた。
メイは自分の頬を軽く叩き気持ちを入れ替えていた
俺はメイがどんな魔法を使うのか興味があったから見てみる事にした。
俺は驚いた
基本詠唱をする魔法は詠唱なしの魔法と比べると圧倒的に威力が弱くなる。
だがメイの魔法の威力は詠唱なしの魔法と同じぐらいの威力を持っていた。
そしてメイよりも前の人達を見ていて思ったが詠唱もそうだが使える魔法の種類が多くても2つだった。
それはメイも同じだった。威力は前の者に比べると強いが種類は水と風の2つだけだった。なるほど試験の回転が速いのは多くても2つの魔法しか使わないからなのかと思った。まぁ何組も一変にやるっていうのもあるだろうが。一変にできるのも魔法の威力が弱いから人形同士に余りスペースを空けなくて良いからだろう。などと考えているとメイの番が終わったのか俺の番号である175番が呼ばれた