出会いIII
どうしてこうなっているんだ
俺は気がついたらはよくわからない王宮らしきところにいてそしてなぜか王の前に突っ立っている。
フードも被らず吸血鬼の特徴である牙は口を閉じているから隠れているが他の黒い髪や赤い目を晒しながら。そしてここまで俺を連れてきてくれたデラも端で跪かされている。
本当にやばい
バレているのだろうか
仮に吸血鬼である事がバレても王である事にはバレていないのではとか考えている。
だが絶対にそんな事はないと言うことを俺は知っている。なぜなら今目の前で偉そうに座っている王とその横にいる護衛らしき奴には見覚えがあるからだ。なんなら護衛の奴とは戦ったことすらある。
俺の背中に一筋の冷汗が流れていく。
時は1時間ほど前まで遡る
フードが取れてしまって馬が近くまできて頭が陰になったとこまではハッキリと覚えている。
問題はそこからだ。
徐々に頭が覚醒し始める。
俺はあの時馬が近くまで来た時にすぐに端に寄っていれば良かったのに気が狂ったのか馬に乗っている人を見てしまったのだ。そして目が合ってしまった。そいつは知っている奴だった。人間と違い獣人と吸血鬼は寿命が長い。それをすっかり忘れていた俺は俺の顔を知っている奴なんか居ないと思い込んでしまっていた。髪は切っても顔を変える事をしなかった。それが失敗だった。目が合ったそいつは獣人でとても見覚えのある顔で顔が青ざめていくのがわかる。
すると獣人が驚きと怒りを顔に表せながら言った
「お前、生きていたのか。」
俺はどうしようもなく目を逸らすだけだった。
そして
「ついて来い」
と言われて大人しく付いていくしかなかったのだ。
これが1時間前の出来事だ
そして今目の前で王を護衛しているのがさっきの獣人だ。正直今すぐここから逃げたい。だがデラも一緒に連れてこられている為逃げる事ができない。俺はまた人質を取られてしまい手も足も出ないのだ。ただ突っ立っている事しかできない。情けない。
そしてついに王が声を掛けてきた
「お前は吸血鬼の王ジェイ・ツェペシュか」
俺は沈黙を貫いた。
そしてまた聞いて来たが俺はまた無視をした。
双方が無言を貫いているとデラが口を開いた。
「あの....私はもう帰ってもよろしいでしょうか?
熱を出した娘が家で1人で苦しんでいるのですが」
すると王はデラの存在を思い出したかのように返事をした。
「うむ、また後ほど話を聞くやもしれんがそれでもいいか?」
「はい、大丈夫、失礼します」
「ジェイくんまた会えるといいね」
と言ってデラは帰って行った。
一方ジェイはそれどころではなかった。
デラが解放されたと言うことは人質でないのか?
一体何を考えているんだ...
あーこう言うのを考えるのは得意じゃ無いんだもういっそのこと直接聞いてやろう
「おい一体なんの用なんだ俺は何もしていないしするつもりもないぞ」
すると王と護衛は驚いた声で
『なんだと』
と言ってのけるから失礼な奴らだなと思った。
「大体昔に争っていたのはそっちが喧嘩を吹っかけて仲間達を殺したからだろう。住処を守る為だなんだ言っていたが俺たちからは手を出してはいないし縄張りを広げるつもりもなかったのだ。つまりお前たちが喧嘩を吹っかけて来なかったら吸血鬼族は平穏に暮らせていたはずんだぞ。」
とため息を吐きながら教えてやった
「ならなんの為に此処にきたのだ」
「俺は400年前致命傷をおい長い間眠っていた。そして3日程前に目が覚めたら手紙が置いてあった、それがこれだ読んでみるといい。」
俺はそう言って手紙を渡した。大切な手紙だから投げたく無いが近づきたくなかったため護衛向かってる投げてやった。難なく取りやがるからちょっとムカついた。
数分経って手紙を読み終えたのが2人とも顔を上げた。すると護衛の方が
「なるほどそう言う事が。だから人質がすんなり手に入るわ簡単に侵入できるわで楽だったわけだ。全てそちらの作戦だったと言う事。」
「そゆこと。まぁ俺は知らなかったけど!!」
すると王がやっと口を開いた
「ならお主は何をしにこの国に来たのじゃ?」
「手紙にも書いて合った通り仲間達の最後の願いが生きていて欲しいだったからな。仕方なく森をぶらぶらしてたらデラにあった。で色々話を聞いて学院が面白いそうだったんで受けてみようかなと思って来たんだ。別に変な理由じゃ無いだろ?だからそろそろ解放してくれよ。学院について何にも知らないから今から色々調べたいんだ。」
ちなみにさっきから護衛の方とか言っているが名前を覚えていないんだ。戦っただけでなんならすんげー雑魚だったから名前なんて覚えてねーんだよなー
すると護衛が
「なるほどな」
なんて言うから何偉そぶってんだよ雑魚の癖にとか思ったことは秘密だ。すると今度は王が口を開いた。ちなみに王の名前ももちろん知らん!デラが言ってた気がする気がするけど適当に聞き流してたから
「獣間学院にかなら情報を集めるまでもないぞ試験は明日だ。そして試験内容は実技だけだ。吸血鬼の王なのだから実技だけなら余裕であろう?頭脳も必要だがそれはおいおいでもなんとかなるからな」
なら今日はもう夕方だし休もうと思っていると、良く考えたら休むとこなんかないぞ金もないしデラのどこにでもいくか?いや家の場所知らねーしななんて考えていると。護衛が
「お前学院に入学するまで休むとこがあるのか?」
とグッドタイミングで聞いてくるから自信満々に
「ない!」
と答えた。
「なら俺の家で暫くは休むといい。部屋は余るほどあるしな」
とグッドな提案をしてくれたので乗ることにした。どうせ少しの間だけだしな
「ありがとう!世話になるよ!」
「なら少し待っていろ準備をしてくるから一緒に向かおう」
「おう」
会話を見守っていた王がいきなり口を開いた
「ジェイよ吸血鬼の王である事は誰にもバレるでないぞ。他の国にバレでもしたら戦争を仕掛けられかねん。お前の力は強すぎるだからお前を求めて戦争になるやもしれんしな」
と言うのでおー怖とか思いながら適当に返事をしておいた。
数分後護衛が戻って来たので家に向けて出発した。
歩いていくのだと思っていたら馬車が迎えに来てくれていたのですげーなとか思いながら中に乗り込んだ。