出会いII
外に向かい歩いていると出口の近くまで来たのだろう明るくなって来た。
「もうすぐだ」
出口に向かい歩いていく
「眩しい、ようやく外に出られたか」
洞窟の外は森の中だった。木々の間から日光が差し込んでいる。
森のなかをしばらく歩いていると叫び声が聞こえた。
「うわゎ〜〜 助けてくれー」
初めは無視をしようと思っていたのだが人間たちは助け合いと言うのを好んでいると言う話を聞いたことがあるなと思い助けてみる事にした。恩を売っておけば後で役に立つかもしれない。少し急足になりながら声が聞こえた方へ歩いていく。
そこには見たこともない獣に襲われている人間がいた。
あの獣は何だと思いながら風の魔法を使い獣の首を切ってみる。そしてしばらく動かないのを見て死んでいるのを確認し座り込み震えているおじさんに話しかけてみる。
「おい、あんた大丈夫か?」
おじさんは震えた声で
「あっああ、大丈夫だありがとう」
取り敢えずこのおじさんに話を聞いてみようと思い話を続けてみる
「あんたこんなところで何してるんだ?」
「ああ実は娘が病気になったのだがあいにく医者に見せる金がなくてね。薬を作るのに必要な薬草をとりに来たのだ」
「そういうあなたはなぜこんな森の中にいるのですか?見たところ若そうで私の娘と同じ15歳くらいに見えるのだが。もしかして獣間学院を受けにきたのか?」
男は15歳?俺は100歳は超えているし獣間学院というのも全く知らないがと思いながらとりあえず話を適当に合わせておこうと思い
「ああそうだ」
と返事をする。するとおじさんは目を光らせ
「やはりそうか!実は私の娘も獣間学院を受ける予定なんだ!この辺は道がややこしいから街まで案内しよう。」
「いいのか?」
好都合だと思い男はその誘いに乗る事にした。
「なーに助けてもらったお礼だ。気にするな。」
おじさんについて行き薬草をとりながらいろんな話を聞かせてもらった。あの争いからもう400年経っていることや。その戦のことを獣間人の逆襲ということや。それを気に人間と獣人は和睦したということも。さっきの獣は魔獣というもので獣間人の逆襲で吸血鬼が滅んでから次々と出没するようになったのだとか。獣間学院は受ければ学費は全額免除そして食事も出るため一切お金が掛からないんだとか。その代わり落ちれば多額のお金を払わなくてはいけないため皆この時期はピリピリしているのだとか。
しばらく話を聞いているとおじさんが
「そういえば名前を言っていなかったな。私はデラ・クリェイだ。あなたの名前は?」
「俺の名前はジェイ・ツェペシュだ」
その名前を聞いた瞬間デラは目を見開いた。
何だろうと思っているとデラが驚いた声で
「お前吸血鬼の王と同じ名前なのか」
と聞いて来たためやばいと思った。まさか吸血鬼の王の名前が広まっているとは思わなかったのだ。ジェイは急いで言い訳を考えなるべく平然にいったのだ
「ああ俺は親に嫌われていたから」
それを聞いてデラは悲しそうに顔を歪めて
「そうかかわいそうに。名前を偽ることは禁止されているし何より名前は魂に刻み込まれるから偽ってもすぐに分かってしまうからな」
そう名前を偽るというのは魂に抗うということだ。魂に抗えば肉体に激痛が走るそれはもう我慢ができないほどに。
「ああそうだな」
そうして少し気まずい雰囲気の中森を抜けて歩いていくと街が見えた。門まで行くと身分証のようなものを皆が見せているのが目に入った。
俺はまずいと思った。そう身分を証明するものなど持っていないのだ。どうしたものかと考え一か八かデラに聞いてみた
「デラ」
「俺身分を証明する物なんて持っていないんだが入れるか?」
するとデラは少し驚いてからいった
「大丈夫身分証を持っていないものはそんなに珍しくないから持っていないといえば色々と検査をしてから作ってもらうことができるよ」
俺は少し安心した。でも1つ引っかかったものがあるそれは検査だ
「検査って何するんだ?」
「簡単なものだよ」
「まず名前を言って魔力検査をするそしてこの街に来た理由を言えばいい」
それを聞いて心の底から安心した。仲間からのお願いである生きるためには王であることがバレるわけのはいかないからな。
そして安心して門に行こうとした時にいきなり皆が跪き真ん中の道を開けている一体何事だろうと思っているといきなりデラに服を引っ張られフードが脱げてしまう。どうやらデラは突っ立っている俺を心配してはしに連れて行こうとしてくてたみたいだ。だが今はその親切が裏と出たようだった。タイミング悪く皆が道を開けようとしていたお方が近くまで来てしまっていたようだ。顔に馬の影が被り暗くなった。