出会いI
北にある洞窟の深く暗い中ある男が目を覚ました。
「何処だここは」
周りに人の気配はなく薄暗い。
とりあえず状況を把握するため記憶を遡ってみる。
400年前に起きたことが頭の中を駆け巡ってきた。
「ああ。そうか俺たちは負けたのか。みんなすまない」
せっかく俺信じて着いて来てくれてみんなを守と約束したのに守どころか逆に守られてしまった。
男は涙を流しながら過去のことを思い出していた。
どれくらい涙を流していたのだろう涙が頬で乾いていくのを感じながら少し先に淡く少し光っているのを見つけた。
なんだあれはと思いながらそこを目指して歩いていく。そこには、1通の手紙があった。男は手紙を手に取り慎重に開け読み始めた。
そして男はまた涙を流した。
その手紙とは他の吸血鬼たちが王のために書いたものだった。
手紙にはこう書いてあった
「貴方を残して先に死んでいく私たちをどうか許してください。
貴方がこの手紙を読んでいると言うことは私たちはきっともうこの世を去り私たちの計画は成功したと言うことでしょう。
王よ貴方は心優しいお方だからきっと約束を守れなかったと涙を流してくれていたでしょう。
でも良いのです。これは私たちが追うべき使命なのです。
あなたは今計画とは何だと思っているでしょう。そう計画とは人間と獣人を協力させて吸血鬼を皆殺しにさせることです。
私たちは考えていました。どうすれば貴方が悲しまないで生きていられるかを。そして分かったのですこの争いがあるから王は悲しむのだ
と。ならばこの争いを無くせば王は悲しまずに生きていられると。それからの行動は皆早かった。貴方に気づかれないように争いを止める
方法を考え情報をあつめた。そしてある事に気がついたのです。人間と獣人は吸血鬼をとても憎んでいると。だからこの計画を立てて実行
する事にしたのです。2つ種族を仲良くさせ吸血鬼をなくす事で争いが無くなることを願って。
王を貴女には悲しい思いをさせてばかりですね。ですが私たちは信じています。貴女は優しくてそして同時にとても強いということを。
これから先辛い事苦しい事は沢山あると思いますがどうか生きてください。それが私たちの最後の願いです。」
男はしばらく泣いた後手紙を大切にその場に置いた。
そして男は決心した。取り敢えず人里に行き今の世界を見てみようと。死んでいった仲間達が願ったように生きていくために。
「そうと決まればまずは身だしなみだな」
ろうそくが用意されていたので魔法を使い火を灯す。近くに湧水があったので自分の顔を写してみる。
「これはひどいな」
400年眠り続けていたので髪は伸びまくり肌は黒ずみ服には大量の血が付いていた。
「まずは髪だな」
風魔法を使い髪を短くカットしていく。
「次は身体だな、浄化魔法が使えたら便利なのだが仕方ない」
浄化魔法は光属性だ。この世界には火・水・土・風・光・闇の5つの属性がある。吸血鬼は代々闇属性を得意としている。そのため対となる光属性を使えるものは数少ない。そして俺は光属性以外の4属性を使うことができる。特に得意なのは言うまでもなく闇属性だ。
男は水魔法を使い体を洗い風魔法を使って乾かしていく。そしてろうそくと一緒に置かれていた服を着る。
「用意のいい奴らだ」
あれこれと世話をしたがる奴らのことを思い出しながら先ほど戻した手紙を大事にしまった。
吸血鬼の特徴である牙と黒い髪に赤い目を隠すようにフードを被り外に向かって歩き出した。