表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

転生!(魚)

作者: kanoko

流氷を見てたら思いついたお話


『これからステキな異世界ライフを送ってねー!さあ、転生!

アッ、!!やだ、間違えちゃったわ。

まあ、良いっかー』


え?

異世界?転生?

間違えたって何?!

何間違えたのー!!



ウジャウジャウジャウジャ

気付いた時には大量の魚たちにまみれていた。

うわ、気持ち悪い。

パニックになって叫び声をあげようとしたが、何故か声が出ない。

私、一体どうしちゃったの?

うーーーーん???


そして突然思い出した。

異世界、転生、間違えた?!

女神様ー!!


間違えたって何よ!

間違えたって、よりにもよって私今、SAKANA

フィッシュ、お魚さんじゃんかよー!!


周りの兄弟姉妹と思われる魚たちを見ると、煮干しでよく見たカタクチイワシっぽい。

目がギョロンとしてワチャワチャと泳いでいる。

鏡なんて無いけど、私の姿形もこの魚なんだろうなとわかった。

はあ、魚かよ。


前世は高校の教室にいて、気が付けば女神様の前だった。

素敵な異世界ライフ、、、

とりあえず大きな魚に食べられ無いように逃げ回りますか!





うー、寒い。

何とかかんとかやっとこさ生き延びてきた。

冬になったのか氷が漂ってくるようになった。

と思ったら氷の間にとじこめられた。

眠い。

このまま異世界お魚ライフ終わるのかなぁ。

何の為に転生したのか分からない人生(魚)だったけど、女神様の間違いだったのだから仕方ない。

楽しみのひとつも無い日々だったけど、まあ良いか。


もし又生まれ変わるならば、前世の記憶は無い方が良いかなあ。


このまま眠るように逝くのも悪く無い。

サラバ、お魚ライフ。





「あら、目が覚めた?」

「……」

キレイなお姉さんが喋っている。

そして、私にも人間の手があった。

今までのお魚ライフは、夢、、、?


「どうかした?」

「お魚、夢?」

「ああ、進化したのよ。」

へ?シンカ?

「あなたは魔珠珸魚の稚魚だったの。

育つ事が出来れば人魚に進化するのよ。」


マジュゴンウオ、、、?

まあ、そんな事もあるのか。

さすが異世界。


「え?人魚?」


慌てて下半身を確認する。

あ、立派な尾ビレが、、、

そっか、やっぱりお魚ライフじゃん。


改めて周りを見回すと、人工的に建てられた建築物の中のようだった。

両手が使える分、文明的になったんだろうか。

よし、素敵な人魚ライフ送るぞー!



人魚仲間もいて、食事も美味しくて中々楽しい日々だった。


時々嵐もやって来て海の中も荒れる事もあるけど。




そんなある日、友達になった娘が言った。

「昨日の嵐で難破船を見つけたの。

人間が沢山乗ってたんだけど、王子様一人しか助けられなかったわ。

とてもハンサムな王子様でね。

ああ、私又会いたいわ。

魔女様に人間になるお薬もらおうかしら。」


王子様?魔女様?

人間になるお薬?!

それって、人魚姫のお話?


「や、ちょっと待って!

王子様があなたの事が分からなかったら泡になって死んでしまうんじゃないの?!

そんなのダメだよ!」


「やだ、それは大昔のおとぎ話よ。

人魚の人数が減らないようにってワザと怖いお話にして若者に広めたのよ。

今は気軽に人間に変身して買い物とか行ってるわよ。

人間界観光ツアーとかあるのよ。」


観光ツアー?


「えー!

人間界行ってみたい!」

それからお金を貯めるべく、せっせと働いた。



人間界のお金に換金よし。

ガイドブックよし、安心安全人間変身薬よし。

服装も人間用、靴もバッチリ。

ツアーガイドさんに連れられて人間の街までやって来た。

一週間コースに申し込んだので、宿も予約済みで、後は自由行動。

さて、どこに行こうかなー?


あ、屋台、串焼き!

異世界と言えば魔物肉の串焼きよ!


「おいしい!これは角ウサギ?」

「ぷ、くくく。残念、羽ウサギだよ」

だれ?

ちょっとワイルドなお兄さんが笑ってる。


「君、屋台は初めて?

角ウサギはあまりおいしくないんだ」

「あら、そうなの。

じゃ、ワイバーンはいるの?」

「いるけど、高級だから貴族ぐらいしか食べられないかな。」

「ふうん。

あなたのオススメはどれなの?」

「向こうで売ってるクッキーなんかどうかな?

日持ちするし、甘くて女性に人気だよ。」


クッキー!チョコレート!プリン!

いっぱいオススメされてとても幸せな時間を過ごした。

もう夜になるので帰らなきゃ。


「君、名前は?

俺はブラン。冒険者なんだ」


「名前、、、ジュン。旅行者なの。」

「ジュン、明日も又会いたい。」

「いいわ。その代わり、色々案内してね」


明日の約束をして別れた

名前、そんなの今まで無かったから自分で今名づけた。

マジュゴンウオからとって、ジュン。

やっと私は私になった気がした。


楽しい日々はすぐに過ぎてしまう。

もう、海に帰らなきゃいけない日。

ブランは又会おうと言ってくれた。

会いに行くとも言ってくれたけど、人魚だなんて教えなかった。

人間が人魚になるお薬もあるのかどうか知らないけど、私が人間じゃないなんて知られたくなかった。


又、お金を貯めてツアーに参加しよう。

ああ、もう早ブランに会いたくなってる。

海辺で人魚に戻ろうとするのに、涙がポロポロと流れ落ちて人魚姫のお話を思い出す。

泡になっても良いから、彼の側にいたい。

これが恋情なのか。

涙をぬぐってお金を稼ぐぞ!と決意を固める。

さあ、いざ、人魚の世界へ!


「あらあら、あなた人間になってますね。

もう、人魚にはなれませんよ。」

「へ?」

「名づけしたんですね。

人間変身薬の注意事項を説明したの聞いてなかったんですか?

人魚は名づけると人間から戻れなくなるんです。

もう海には戻れませんよ」


私を置いて皆海に帰って行った。





「えへ、帰れなくなっちゃった」

そう伝える私をブランはぎゅーっと抱きしめた。


転生(魚→人魚→人間)





読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ