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どこの世界にもいる腐れ外道の輩ども

 「まずはティード様、非常に多くの物資をここまで運んでくださり、本当にありがとうございます」


 「いいえこちらこそ。お礼をいいたいのはこちらのほうです。発注書を見たときには陛下はもとより皇族一同、正直目を疑いましたよ。今までオキーニ商会にたいしてうだつが上がらなかった商人が非常に多く集まり、国内の経済がかなり活気づいたみたいです。失礼を承知で伺いたいのですが、今回の発注額といい、今回はオキーニ商会への依頼を避けたといい、理由を教えていただければと思うのですが」


 「ええかまいません。むしろ帝国の皇族方、ひいては勇者の方々にもお伝えしたいと思っておりましたので。事の発端はわたくしが、巷で『小さな勇者さま』と呼ばれるお方から10億ベリカと、彼が寄付した魔物の肉やそれらを売却した利益が孤児院の子供たちにさほど使われていない、いわゆるピンハネですね。その可能性がある孤児院の責任者や大体のピンハネ額が書かれた何十枚もの羊皮紙を託されたのがきっかけでした。その後、その10億ベリカを元手に、エリン教国、ゴーマン帝国、ラグール王国の孤児院に一斉調査を行った結果、金額にしておよそ数百億ベリカ相当の利益を着服していたことが判明したんです」


 「数百億ベリカですか・・・」


 「ええ。しかもですね、『小さな勇者さま』から寄付された魔物の肉やその売却益をほとんど申告せず、孤児院への予算をも横領し続け、栄養失調の子供を何人も出し続けていたんですよ。信じられますか、同じ人間として。こんなのが聖職者として善人ヅラしながら偉そうな顔をしてたんですよ!?なので疑わしき責任者を帰国させ、教国の聖女の特権である『真実の宝珠』と尋問を併用し、今の段階でも数百億ベリカ相当の横領が明るみになったんです」



 真実の宝珠、それはかつてエルフとドワーフの共同作業によって造られたというアーティファクトの一種であり、現在ではその製造法が失われている。宝珠に触れている相手にYES/NO形式で質問を行った際、正直に答えた場合には宝珠が白く輝き、嘘をついた場合には宝珠が黒ずむ、破壊不可(破壊しようとするとすり抜けてしまう)のアイテムである。エリン教では聖女、または教皇が、他の国では司法の最高位の裁判官がそれを保持しているといわれている。



 「今の段階、ってことはまだ判明していない孤児院もあるってことでしょうか」


 「ええ。まだ全員の調査が終わっていないというのもありますが、『オキーニ商会』が関わっているものは非常に判別しにくい状況になってるんです。まず、『小さな勇者さま』の話は巷では有名な話なので、オキーニ商会所属の商人が直々に孤児院に足を運び、直接取引を提案してきたようなんです。内容は様々で、通常の取引より多くの売却益を得、それを正直に申告している責任者もいれば、それ以上に市場の相場よりかなり低い価格で取引をしていた責任者が多かったんです。そこには暗黙の了解みたいなものがあったようで、オキーニ商会の商人が得た差額の利益のいくらかが孤児院の責任者の上司、そのまた上司とかに渡っていたことが判明したのですが、これがまだ氷山の一角にすぎず、帰国の要請を出した責任者や、彼らに関わったオキーニ商人が暗殺されて、追跡ができなかった孤児院が何件かありました」



 (履歴 (あるあるポイント関連))

   ・腐敗した宗教国家を確認しました(AR10000P/SP10000P)



 ・・・まぁよくある話だよね。ポイントをもらったあとに気づくのもアレなんだけども。しかしレイナちゃん、君は立派だよ。確かに10億ベリカが霞むような横領があったら調査費にまわすよね。俺はモンスターからの経験値や能力値、レアアイテムなどの強奪、乱獲にしか興味がなかったから金銭感覚がマヒしてましたゴメンなさい。それにしてもオキーニ商会、汚い奴はどこにでもいるな日本にもMMORPGの世界にも。最も汚い奴は手の届かない安全なところで地位や立場を利用して暴利を貪る奴らだけど、それが商会のトップ自身なのか、もしくは天才気取りの組織の寄生虫なのかいずれ突き止めてやりますかね。



 「それで今回の商談からオキーニ商会をはずしたわけですね」


 「はい。小さな勇者さまの善意を踏みにじり、目の前で空腹に苦しむ孤児たちを無碍に扱ってきた孤児院の責任者と共謀した商会ですからね。各国のオキーニ商会の支部に連絡し、支店長に証人喚問に応じるよう勧告しましたがすべて拒否されました。しかも国内の商会の支店長は速攻で異動になり、元支店長の国籍はエリン教国ではないからとほざきやがったんですよ!??こんな暴挙、信じられます!??」


 「お、落ち着いてくださいレイナ様!!お気持ちは充分わかりました。陛下も常日頃、オキーニ商会を問題視しておられますので、それを考慮しての今回の勇者パーティーを含む、大規模の護送だったと思います」


 「ごめんなさい、仮にも教国の最高権力者たるわたくしがこんなに取り乱してしまって。せっかくの勇者パーティーのみなさんとの初顔合わせだというのに見苦しいところをお見せしました」


 「気持ちはわかるぜ。オレだったら相手をぶった切ってたかもしれないし」


 「レイナ様、すごすぎます。もしわたしのほうが先に聖女として迎えられてたとしても、そこまで徹底して私腹を肥やしている輩を追い詰めることができなかったかもしれません」



 お、おい、何で国家のトップ陣営同士の会話に勝手に割って入ってるんだよ・・若さゆえ、その若さゆえにってやつかよ勘弁してくれマジで。



 「ガイ殿にフィーナ殿、火急の用でもない限り立場が上の者同士の会話に割り込むのは今回限りにしてくださいね。でないと、君たち4人の立場が非常に悪くなる可能性がありますので注意してくださいね」


 「別にわたくしは気にしてませんよティード様、この国の肩書がなければみなさまと同じ若者同士ですから。同じ目線で共感してくれてうれしく思っています。今は急な体調不良で席を外していますが、剣聖クロッセオは本気でオキーニ商会に殴り込みをかけるところでした。辛気なお話はこれくらいにして皆様を部屋に案内しましょう!夕食は夕方18時頃になりますので、それまでゆっくりくつろいでくださいね!時間になったらシスターやブラザーが迎えに上がりますので」


 

 あ~、あの人ならやりかねないな、基本脳筋っぽかったし。できれば剣聖の彼女と一時的でも敵対して『クッコロ』発言を取れれば御の字だったんだけれどここまできた以上無理だねきっと。案内してくれたヴァルキュリアのひとりに彼女の容態を聞いてみたら、『レイ様が心配されるほどでもないので大丈夫です!むしろ放置して頭を冷やしたほうがいいくらいです。そんなことよりもレイナ様がレイ様の料理で聞きたいことがあるとおっしゃっていましたので、是非ともアドバイスをお願いします』と強めの口調でいわれました。ヴァルキュリア全員にも全員バレてるっぽいわ。で、おそらくレイナ様が聞いてくるのは多分あの植物のことだろうね。エリン教国の国境付近に自生してたのを乱獲して国境警備員に『食べるのをやめといたほうが身のためだ』と注意され、次の日の野宿で腕を振るったあの料理のことも耳に入ってるんだろうね。恐るべしレイナ様の情報収集力(笑)


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