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スクェア卿の尋問タイム

 その後、スフィアさんとの会話は深夜1時まで及んだ。オーク有責の婚約破棄計画の提案のあと、いったん会話を区切り、お互いに積もる話は山ほどあると思うので、対話をするときには夜の22時から深夜1時までの3時間にしませんかと提案し、スフィアさんがこれを了承。その直後に連絡手段の確立のためにスフィアさんとセバスさんにスキル『異世界言語理解』を付与し、それぞれにスマートフォンを提供し通話方法とメールでのやり取りの方法を教授した。もちろんインターネット機能はオフの状態でね。『魔法を使わずに精密な技術でこんなものをつくれるのか!?それもレイが住んでいた国のほとんどの平民がこれを持っているとは』と驚いてたのは軽くスルー。ついでに数本のボールペンと手帳サイズのメモ帳数冊も渡し、聞きたいことがあれば忘れないうちにそれに記録しておくよう勧めると、当然のことながら『こんな高品質のペンと紙を束ねたものがおにぎり1個の値段で買えるのか!?』という反応も当然スルーしました。最後にふたりに【アイテムバック(上級)容量2500立方㎥ 時間経過なし】を贈呈しさらに驚かせ、この日はこれで解散。



 その日のスケジュールは先送りになっていた館内の案内だったのだが、公爵邸だけあってめちゃくちゃ広いね。家族を持っている使用人も多いため、使用人の家も敷地内にいくつかあるらしいし。昼食後にはスフィアさんが合流し、俺とチェス、ショーギで対戦することになりました。セバスチャンも相当強いということで、俺のゲーマー魂に火がつき、それならばとスフィアさんとセバスチャン2人同時に対戦することになった。結果はすべて俺の圧勝、ちなみに俺の指し手はほぼノータイム。対戦後、スフィアさんとセバスさんは灰になってしてしまい、再起動後、『頼む(頼みます)から軍を率いて帝国に攻め入るのはやめて(おやめになってください)』と懇願されました(笑)。



 その後、セバスさんから『スクェア卿が急遽、レイ様にお話があるそうです』と告げられたのでスクェア卿の執務室に案内された。



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 「よく来たレイ殿、スフィアとセバスとのチェス、ショーギの対戦結果の報告は受けている。瞬時の判断であのふたりを圧倒的な力量で退けるとは・・・そなたはどれほどの才能に恵まれているのだ?一体何を望んでいる?」


 「個人的にいえば『世界を少しでもよくしたい』といったところです。そのためには今後、資金だけでなくコネや多くの情報が必要となってくると思っています。あと、『戦争の指揮官』としての名声は望んではいません。必要であれば人をアヤめる覚悟はありますが、どちらが善でどちらが悪か、それを知らずに前線に立たされる兵士たちの血が無駄に流れるのは可能な限り避けたいとは思っています」


 「フム、殊勝な心掛けだな。長年、この大陸で大規模な戦争は起こっていないが、〈勇者〉、〈聖女〉、〈賢者〉、そしてそなたがひとつの村に同時に現れたのは何らかの兆候かもしれん。それにしても準備がよすぎるのではないか?鑑定の儀でジョブが発覚するまえにすでに莫大な資産を持ち、各国の将校貴族にそなたの名が広まっておる。さらに勇者パーティーの一員の〈複数ジョブ持ちのポーター〉というのも世間一般に広まれば、そなたの知名度は絶大なものとなろう。また、今までの〈複数ジョブ持ちのポーター〉がそうであったように、ジョブに恵まれなかった市井の平民にとっては希望の星となろう」


 「身に余るお言葉でございます。公爵閣下」


 「そう謙遜せんでもよい。それよりもレイ殿ほど機転に富むものであれば、かの『幼き有名人』のように秘密のひとつやふたつはあるのではないか?たとえば昨晩の22時から深夜1時までのおよそ3時間、そなたの部屋からそなたの反応が突然消えたりとかな(笑)。スフィアとふたりきりで話す機会があれば『夜更かしはほどほどに』と伝えてほしい(笑)」



 (げっ、 迂闊だった。そりゃあバレるわ。しかも直接的に聞いてこないところが何ともいやらしい。でも、これはスクェア卿の胸の内に留めておくという意味合いも含まれているから、今回スクェア卿に悟られたのは不幸中の幸いととらえていいかも)



 「御見逸れしました公爵閣下。ただ、少なくとも公爵家、帝国にたいして不利益となるようなことは隠してはおりません。ただ、今後、帝国外で見聞するものでしばらくはわたくしの胸の内に留めておくべきことがあるかもしれません。それに関しては時が来ましたら、包み隠さず公爵様に打ち明けましょう」


 「かなり期待しておるぞ(笑)。今までワシが尋ねてばかりで申し訳なかった。レイ殿は情報を欲しておるといっておったな。ワシの知る範囲であれば応えよう。何が知りたい?」


 「お言葉に甘えて3、4つほど教えていただきたいことがございます。皇帝の人物像を含め、皇帝が我々に何を望んでおられるかということですね。特に西端の魔族の国家やその隣の獣人の国家にたいしてどのように思われているかとか。また、帝国貴族の大まかな派閥とその特徴を。また、スフィア様と第3皇子が婚約に至った背景も参考程度にご教授いただければと思います」


 「いい質問だ。それらに関してはひとまとめにして説明しよう。皇帝陛下は一言でいえばまれに見る『賢帝』といわれておる。派閥は大別して陛下、第1皇子、第2皇子、我々レンタグルス家が『魔族、獣人族との融和派』であるのにたいし、第3皇子を旗本とする、もう1つの公爵家、エリプス家と第3皇子の母の実家の侯爵家が『ヒューマン至上主義派』と評されておる。オークのくせに『ヒューマン至上主義派』とは何のジョークなのかというのは一旦スルーしてほしい。過去に『勇者パーティーによる魔王討伐』という出来事があったが、歴史家の視点で見れば、たまたまその時の魔王が暴君で世界を混沌の渦に巻き込んだだけであり、事実、魔族とヒューマン族は肌の色とツノの有無の外見上の違いだけで中身はほぼ変わらない存在である。陛下らもそのように判断しておられる。それに加え、現在の魔王も『流血を好まない賢き王』として全世界に知れ渡っており、しばらくは平和な世代が続くと世間では思われている。それゆえ、現時点で勇者パーティーに血生臭い勅命が下ることはないとみていい。ここまではいいだろうか?』


 「はい」


 「では続けるぞ。『ヒューマン至上主義派』には色々な種類があり、純粋にヒューマン族がエリン様に選ばれし種族と思い込んでいる貴族もいれば、過去の遺恨から魔族、獣人族を憎んでいる貴族、深掘りをしていくと、ヒューマン族、魔族、獣人族の不仲の状況をよしとし、その環境を利用して貿易の収入を得ている貴族もいる。その橋渡しとなっているのが、世界最大の商会である『オキーニ商会』なのだが、全種族の融和という理念を掲げてはいるが、わが国ではエリプス公爵をはじめとする『ヒューマン至上主義派』に肩入れしているきらいがある。我らにとっては『オキーニ商会』が目の上のたんこぶと感じておる」


 「なるほど、腑に落ちました」


 「それで我が愛娘とオークとの婚約についてなのだが、一言でいうと国内の『他種族融和派』と『ヒューマン至上主義派』の対立を緩和するための政略結婚だ。あのオーク、成長すればいくらかはヒューマンに近づいてくれればと願っていたがますますオークに近づいてきやがった。どっかの通りすがりの転移魔法持ちの正義の味方がサクッとヤッちゃってくれないかなと常日頃そう思っておる(チラッ)」


 「あ、それなら大丈夫です。いや、大丈夫だと思います」


 「そうか。ならよかった。レイ殿、長く引きとめて悪かった。スフィアとこの世界の未来を頼むぞ」


 「閣下のご期待に沿えるよう努力します」



 あ~疲れた。早く自由になりた~い。とりあえず部屋で眠ろ~

2024/2/29

『こんな高品質のペンと紙を束ねたものがパン1個の値段で買えるのか!?』の個所を

『こんな高品質のペンと紙を束ねたものが【おにぎり1個】の値段で買えるのか!?』に変更しました

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