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スフィアさまの部屋にお呼ばれしました(※大人の階段は上りません)

 「はじめまして、わたくしはスフィア様の専属執事、セバスチャンと申します。ただいまの時刻は10時をまわったところですが、みなさま朝食をおとりになってないと伺ってますので、おにぎりと野菜スープをそれぞれの部屋にお持ちします。それぞれの個室には小型の時計がありますので11時になったらお迎えにあがりますから時計の位置を確認しておいてくださいね。トイレもそれぞれの個室にありますので、使い方は部屋のドアの前に控えている使用人に伺ってください。侯爵家で提供された衣服は洗濯のためお預かりするのでドア付近の箱に入れていただき、代わりの召し物はそれぞれの部屋のベッドの上に用意してありますのでそちらに着替えておいてくださいませ。12時になりましたら見学をいったん中断し、昼食をとっていただき、食後に改めてみなさまのご希望を伺いますね。長旅でお疲れだと思いますし、本格的な屋敷の案内は明日からでも大丈夫ですよ。ここまでよろしいでしょうか」


 「「「「はい」」」」



 セバスチャンが『おにぎりと野菜スープ』というと非常に違和感を感じるな。エリン界は横長の一大陸で、北側の主食がパンなどの小麦類で、南側の主食は米類だからっていうのもあるんだけど。ゴーマン帝国は地球で例えると中国大陸のやや南側ってところかな。でも、お茶は紅茶(発酵茶)、ウーロン茶(半発酵茶)、緑茶(不発酵茶)の3種類が揃っているというね(後発酵茶のプーアル茶などはなかった)。


 で、公爵家での昼食のスタイルもマルダートの侯爵家滞在時と同様にほぼ和食スタイルでした。箸とご飯とスープが基本でおかず類はすべてテーブルの上に並べられ、ごはんやスープ、気に入ったおかずはお代わりできるスタイルとなっておりました。フレンチスタイルより楽でいいね。そういや、主食って土地の緯度や湿度に大きな影響を受けると思うんだけど、異世界ファンタジーでは米が主食の地域が少なすぎるのでは、と思いました。リアル世界だと芋やバナナを主食にしてる地域もあるんだけどね。ま、基本が中世ヨーロッパ風ファンタージ―っだから、世界観重視で何でもありの世界だからね。ちなみに味噌や豆腐、醤油を広めようと思ったけど、これらは隣の隣のエルフの国でやったほうがいいかな何となく。俺自身は異世界ショッピングで買えるから別に急いでるわけでもないしね。食事中の話の内容は、他愛のない食べ物関連の話で、様々な食材を大自然の中から仕入れてくる俺が気をつかうはめになりました(涙)。


 「さて、昼食が終わったところでみなさまにご提案がございます。フラワーオイルを使った全身マッサージはいかがでしょうか?男女別々の部屋で行うのですが、濃厚な花の薫りが鼻孔をくすぐり、疲れがとれるだけでなく全身の筋肉がほぐれ血の流れがよくなりますので、体内の汚れが一気に抜け落ちた感覚になり、お肌ツヤツヤプルンプルンになることでしょう。途中で冷たいジュースを飲んでいただいても眠っていただいても全然かまいません。特に希望がなければマッサージの準備をしますがいかがでしょうか?」


  「「「「(ぜひ)(それで)お願いします!!!」」」」


 セバスチャンにここまで言われると『ノー』の選択肢なんてないに決まってるじゃないか!ぜひオネシャス!!


 「レイ様は可愛いお顔立ちをされてるのに、かなり身体を鍛えてらっしゃいますね(モミモミ)」


 「レイ様は常に気疲れしてらっしゃるように見えますので、僭越ながら頭部のマッサージはわたくしめが担当します(もみもみもみもみ)」



 あぁ、トロピカルジュースウマー―・・・セバスチャン最高・・・脳ミソが溶けちゃいそう・・・俺が女やったらマジ惚れてしまうわぁ・・・zzz


 レイが深い眠りに落ちたあと、フィーネやマリー、女性の使用人だけでなく公爵夫妻やスフィアまでもがレイの幸せそうな笑顔を浮かべている寝顔を見るために殺到した。



 「レイ殿、よほど疲れが溜まってたのであろうな。調子のほうはいかがかな?」


 「セバスさんらのおかげで頭も身体もかなりスッキリしました。気持ち良すぎて熟睡し、危うく入浴後の夕食に遅れるところでした」


 「それは何より。それでは皆のもの、夕食をいただこうか」



 夕食の食卓へ向かう途中、セバスからスフィア嬢の手紙を受け取った。食後に誰にも見られないよう読んでほしいということで中を開けると、『今夜の22時頃にわたくしの部屋に来てください。鍵は閉めてありますがレイ様なら問題ないですよね』と書かれていた。



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 「夜分遅くに失礼します。レイです。魔道具で『音声遮断』はすでにされているんですね。『気配察知』しましたが外でセバスさんが待機してるだけでした」


 「ようこそレイ様、こんな時間にお呼びしたのはこのわたくし、夜分遅くお越しくださりありがとうございます。まずはそちらのソファにおかけになってください。なにか飲み物はいかがですか?」


 「ストレージボックスにいくらでも入ってますのでお構いなく。それよりも、わたくしのいた元の世界のデザートや飲み物をスキル『遠距離買い物』でおだしすることもできますがいかがですか?あと、セバスさんであればわたくしのことを話していただいてもかまいませんよ?セバスさんがスクエア卿の追及をかわせるのであれば」


 「その点は大丈夫です。『セバス、部屋まで来てください』」


 「ただいま参りました」



 うん、早い。音声遮断してるのに何故わかった???しかも鍵を開けてないし(笑)



 「それじゃあ話が長くなりそうなので、デザートとドリンクをお出ししましょう。今回は、元いた世界の男女それぞれに人気のある組み合わせのものをお出しします」



 そう説明し、スフィアちゃんに出したのはピーチサイダーとチョコレート(発酵乳系のサイダーを出そうと思ったんだけど牛乳を飲む習慣がないので急遽変更)、セバスチャンにはコーラとポテトチップを出してみました。



 「・・・不思議な飲み物ですね。刺激的で爽快感があります。それにこのチョコレートというものは甘さと苦みが一体になっていて病みつきになりそうですわ」


 「このコーラというものはどう表現すればよいのかわかりません。それにくらべポテトチップ、じゃがいもをかなり薄く切って油で揚げただけのものがこんなにおいしいとは・・・これはこの世界でも再現できるものですね。リバーシ―、チェス、ショーギに加えポテトチップ・・・いったいどれほどレイ様の世界は先をいってるのやら・・・」


 「元いた世界でも普通のお茶やフルーツジュースは人気があるんだけど、今回はこの世界にはないタイプのものを出してみました。原理を知っていればこの世界でも一応つくれると思うけど、たくさんの人達で分担しないと難しいと思います。そういえば、セバスさんは僕のこと、どこまでご存じなんですか?」


 「大体全部知ってるわ。精霊王に相談したら『エリン様に尋ねたら、むしろレイくんはスフィアちゃんよりセバスチャンのほうが気に入ってるっぽいから大丈夫だと思うよ~っていってたから問題ないっしょ』っていってたし。ねぇ、上位の存在ってノリで判断してるの?真面目に考えてたのがバカらしくなるんだけど」


 「ぶっちゃけそうだよ。それに加えて俺は、ガイたち3人のプライドを傷つけないようにどう動こうかとか、彼らにかろうじてついていける〈ポーター〉をどう演じようかとか、俺だけお偉いさんに呼ばれると3人のプライドに傷がつくかもしれないし、さらにその間に3人がレベルアップしたら偽装ステータス値をどう操作すればいいのかとか悩みがつきません。今夜はセバスさんが間に入って内密に呼んでくれたくれたんでマジ助かりました(涙)」


 「・・・道理でマッサージの時に泥のように眠ってしまったわけね。レイさんも色々苦労してるわね」


 「苦労といえば金髪のスフィアさまも苦労されてるでしょ?婚約者の第3皇子の件で。巷ではことわざとは別の意味で『オークに金貨』と揶揄されてるみたいですし。どうにかなりそう?」


 「1番の悩みの種よ。もしかしていいアイデアとかある?」


 「ええ。身分を偽装した、オーク好みの女性をあてがい虜にさせ、大勢の貴族が集まるところ、例えば学園の卒業パーティーみたいなところで、オークからスフィアさまに対して『真実の愛に目覚めた!スフィアとは婚約破棄だ!』と告げるよう誘導するというのはいかがでしょうか?」


 「オーク有責での婚約破棄ですか。面白そうね(笑)。精霊王にも相談してみるわ」

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