帝国の公爵令嬢(精霊王の愛し子)にはすべてバレていました
その日の夜、夢の中でリンちゃんがエリンさまモードで現れた。宿泊部屋がガイと相部屋だったので直接対話することができず、『苦肉の策で夢の中に場を設けますね』と寝る直前に告げられた。エリンさまはいつ見てもお美しい。スイーツをたらふく食って仰向けになって膨れ上がったお腹をさすってるリンちゃんと同一人(神)物だとは思えないな。
「レイさん、夢の中では心の声がダダ洩れですので気を付けてくださいね。決してわたしの裸を想像しながらいやらしいことを妄想しないでくださいね(笑)」
絶対にわざと煽ってるだろこの駄女神が!やっぱリンだわこいつ。
「くるりんぱ!ねぇレイさんどうですこの極小Tバックビキニ、似合ってるでしょ?気に入ってくれたら毎日この格好でサポートしてあ・げ・る」
「・・・リンちゃん、明日からデザート禁止ね」
「そう※※※※※のように青筋立てて怒らなくてもいいじゃないですかぁ~仰向けになったときにポロリいっちゃってラッキースケベにエンカウントするかもね~それじゃあ本題にはいりますね~」
「はいはい」
「結論からいうとね、グリード帝国の公爵令嬢、精霊王の愛し子でもあるんだけど、だいぶ前にレイくんのこと、ほとんどバレちゃってるの。それもほとんど的確な分析力で」
「マジか、ってか、公爵令嬢とか精霊王の愛し子とか、気になる情報量が多いんだけど」
「それじゃあ、今から精霊王と一緒に編集した公爵令嬢のスフィアちゃんの動画を上映するから一緒にソファに座って互いに密着しながら鑑賞しましょうね~それでははじまりはじまり~」
「あわわわわわ」
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「ありがとうセバスチャン。編集された資料の出来栄えが素晴らしすぎて毎回驚かされます」
「これくらいのことは執事にとって当たり前のことでございます。必要とあらばいつでも呼びつけてくださいませ。紅茶のおかわりはいかがですか?」
「もう大丈夫です。わたくしは眠りますので、セバスチャンもゆっくり休んでください」
「かしこまりましたお嬢様。それでは失礼します」
なにゆえ異世界転生/転移モノに出てくる超有能な執事の名前が『セバスチャン』ばかりなんだろうね?まぁいいや。『精霊王の愛し子の公爵令嬢』と『超有能執事、その名はセバスチャン』に同時に会えばダブルボーナスゲットできるかな?あとエリン界で公爵令嬢に婚約者がすでにいたら、そいつの身分とクズやろうかどうかもチェックしておかないとね。
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「・・・『小さな勇者』ですか。黒髪黒眼のペールオレンジの肌の少年で、鑑定の儀を終えてはいないであろう年代のはずなのに、大量の肉を孤児院に不定期で差し入れですか。鑑定による少年の看破はすべて失敗。ボア肉とか牛肉、野鳥とかいってるものの、鑑定の結果、半分以上がモンスター肉、しかも解体レベルは市場に出回る肉とくらべても圧倒的な高クオリティーで血抜きも完璧、中にはA級モンスターをはじめとした、孤児院がある町や村の近くでは絶対にみられない肉も混ざっているうえ、戦闘における肉の品質の劣化も見られない。肉以外の買い取り可能な部位の流通の確認はできず、黒髪黒眼のペールオレンジの肌の少年自体が冒険者、商業ギルドに『素材をおろしに』来た形跡なし。出現場所はグリード帝国とエリン教国や隣国のアルバート王国の『運営が厳しい孤児院』が中心。だけど出現パターンに法則性が皆無。大量の肉を届けにくるのはすべてこの少年だが、多人数での匿名の慈善活動なら届ける役は誰でもいいわけだし、解体レベルもバラバラになるはず。移動にしたってそれこそ精霊王様の瞬間移動スキルでも使わない限りほぼ不可能・・・孤児院がある町や村の近くでは絶対に出現しない肉?しかも新鮮?ということは瞬間移動やストレージボックス、またはアイテムボックス持ち?すべての肉が傷んでないということは単独での討伐でしょうか?人物像が見えてきたような気がします。剣聖クラスの実力を持つものがひとり、高レベルの解体を高速で行えるものがひとり、隠蔽特化の窓口の少年がひとり、瞬間移動で複数人を運ぶことができるものがひとりといったところでしょうか。高レベルの解体と隠蔽と大量の肉の収納はアイテムで代用できそうですが。考え抜かれたAランク以上のパーティー構成だったとして、ここまでパーティーを隠蔽する意味がわかりません。なのにこんな非効率な行動パターンを取るのはかなり矛盾してますね。降参です。精霊王さま、教えてくださいませ」
「な,なんですって!???あの少年にエリン様が妖精の姿をとって共に行動してるって!??しかもエリン様に直接確認したら、エリン様をはじめとした他の神々の恩恵が数多く与えられていて、『神眼』で確認したらその少年の体が神々の恩恵で眩しすぎて直視できなかったとかって!??名前はレイでわたしと同い年、他の世界から召喚された魂で、『リバーシ―』の発案者でもあるとかって!?」
「・・・他の世界の存在に複数の神々の存在・・なぜこの世界に数多の神々が関与してるのでしょうか?理解が追い付きません。セバスチャンはおろか、父上や皇帝陛下にも相談できる内容ではないですね・・・」
「『リバーシ―』発案者が新たに考案した『チェス』と『ショーギ』の試作品が実家をお取り寄せしたので見てみましょう・・・うん、これは軍部上層部にも見せておくべき品物だよね」
「やはり予想通りの反応でしたね。ロイヤリティは1つにつきに200ベリカ?低い、低すぎます!『リバーシ―』もそうだけどもったいない。他国の関係者にも渡っているから名を広めるたり普及させるのが目的!?」
「はぁあ!???レイくんが〈複数ジョブ持ちのポーター〉で、〈勇者〉〈聖女〉〈賢者〉も同時に出たって!????でも何で?すでに教国には『ミスリルの聖女』と呼ばれるレイナさまがいらっしゃるし、賢者様は数百年前の魔王討伐が終わったあと、ずっと自分が作った塔の中に籠ってらっしゃるっていってたじゃない!ま、あっちは〈神々の愛し子〉だからいちいち驚いてたらキリがないわ。『仕組まれた寸劇』ってなにそれ???考えるのヤメたぁああ~っと。知らせが入る前に、できることは今のうちにやっておきましょう。ともあれ、実際にお会いするのは楽しみですね。精霊王さま~これが片付いたらお忍びデートしたいよぅ~(涙)」
映像が終わるとエンドロールにスフィアさんの秘蔵スクショ入りでエリンさまの歌が流れた。精霊王さまのスフィアさんに対する愛情が垣間見えるね。小さいときに転んで大泣きしてるフォトとか、クッキーをつまみ食いしてるフォトとかふたりが初めて出会ったときのフォトとかチョイスのセンスがよすぎです。制作担当者はもちろんエリン様とリンちゃん、精霊王の名前で占められていた。
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「お疲れ様ですエリンさま、グッジョブです」
「偉いでしょ~なでなでして!スリスリスリ、わぁレイくん、顔を真っ赤にして超カワイイ~」
「清純な少年の心をもてあそばないでください!」
「はぁ~~~い(無自覚で純粋な乙女心をもてあそんでるくせに・・)。あと、精霊王さんが『彼は生前、ペテン師でもやっていたのか?なぜそのようなものを連れてきた?』といってましたのでそこは訂正しておきました」
「あ、ありがとう。まぁあのブラック企業の営業マンはペテン師の才能がないと務まらないからあながち間違っていないんだけどね(笑)」
それにしても12歳なのに頭がまわるガキんちょだなぁ。敵対する羽目になったら速攻でつぶしにいかなければならないな。でもそこに超有能執事セバスチャンが立ちはだかるムネアツの展開不可避なんだろうな。ポイントは入る可能性が高いけど超有能執事セバスチャンコワイ。おまけに美人度はエリン様や聖女レイナに迫るレベルだし。ガイの反応が心配だ。
2024/2/22 レイが学生時代にAI将棋、歴史モノや宇宙戦争系のシミュレーションゲームをやり込んでた旨を追記しました。




