■里奈たち四人は着実に病院へ近づきつつあった。しかし問題も起こりつつあった。
久遠が討ち漏らした子鬼よりひとまわり大きい鬼に里奈が式神を当てる。
式神の効果は拘束である。封縛の力で相手の動きを抑制する。
それに加えて里奈の封印スキルが発動して、明里が手甲で相手の武器を破壊して、葵が鎚でトドメを刺すという一連のパターンが完成しつつあった。
明里と葵はゾーン内ではステータス諸々減退しているのにも関わらず勝利を順調に納めることができていた。
しかし、これも微妙なバランスの上で成り立っている。里奈が倒された場合の復帰が厳しいためだ。
そのため背後からの奇襲と遠距離からの攻撃には細心の注意を払う必要があった。
久遠はというと背後を気にしつつも縦横無尽の働きを見せていた。
「左と右から三匹ずつよ!」
里奈が久遠に呼びかける。
久遠はステップを刻みながら、左手へ駆けだし刀を横へ一閃させる。
するとたちまちに子鬼の姿は霧散する。それでも久遠は休まず次の攻撃に移る。
さすがの久遠も息があがりつつある。無理もない。後衛の負担がここまで少ないのは久遠が最前線で動きまわってくれているおかげだ。
遠方から子鬼が攻撃力をしかけるような素振りを見せれば、久遠は手裏剣を投擲で反応する。
「大丈夫?」
少し攻撃がやんだところを見計らって里奈は久遠に声をかける。
「さすがにキツいね。こっちは自由にログアウトできないし」
だが、わかったこともあるという。
「攻撃がやんだというより打ち止めなんじゃないかな。ゾーン内にポップされる魔物の数には限りがあるように思えるんだ」
攻撃が緩くなったのはそれが関係しているのではというのが久遠の見解である。
「それと私からもいい?」
久遠を含めた三人が里奈に注目する。何か言いにくそうな素振りを見せたからというのもある。
「式神がもうなくなりそうなの」
衝撃的な発言である。それでも病院まであと少しだった。
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