■里奈は晴と話していた。
「コーラでいいか?」
晴がペットボトルに入ったコーラを返答も待たずに里奈の空になったコップに入れてくる。
里奈は久遠が明里と葵に絡まれるのを横で眺めつつ、お菓子をポリポリとつまんでいた。
「明里さんにしろ葵さんにしろ悪気はないってのはわかってやってくれ」
どうやら詫びということらしい。しかし、だからといって納得のできるものでもない。
「年下の私に大人をやれっておかしくない?」
「それはお互いさまだろ。だったら、こんなとこにいないで本人に不満を直接ぶつけてくりゃいいじゃねぇか」
それができないというならグッと堪えろと晴は言っている。
「……明里さんとは付き合いは長いの?」
「俺にとっちゃ師匠みたいなもんだな。それと、まあ……なんだ」
晴の声はがどんどん小さく、そして言い淀むようになる。要するに憎からず思っているということを口に出すのが恥ずかしいのだろう。
「二人がここに来たのって光さんを心配してってことでいいのよね?」
「そうだろうよ。人情に厚いところがあるからな」
晴はしみじみとした口調で語る。きっとこの一言では言い尽くせない想いがあるのだろう。
「そういえば一期上だったわよね。敬語に直そうか?」
里奈はいまさらながらこの事実に気がつく。
「タメ口でいいぜ。ついでに呼び捨てにしてくれよ」
「いいの?」
「良いも悪いもあるかよ。俺がそうしてくれって言ってるんだからな」
晴はおもむろに立ちあがる。
「んじゃ、久遠のヤツに助け船をだしてやるかね」
「そう?」
晴はキョトンとした反応の里奈にあからさまなため息をつく。
「お前もくるんだよ。誰が明里さんの相手をすると思ってるんだ」
「ど、どうしてよ?」
「ガツンと言ってやれよ」
晴はニヤニヤと笑みを浮かべている。イヤなヤツと里奈は鼻を鳴らすのだった。
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