夜が明けて里奈たちは駅の前を通りかかると小岩の姿を見る
夜が明けると里奈と久遠は学校に行くのはやめた。
代わりに由芽に案内されて他の三月の戦士団のメンバーとファミレスで落ち合うことになっていた。
今後のことを話し合うためである。
「ファミレスへ向かう前に報告することがある。まず昨日の決闘なんだけどさ」
寮を出るやいなや久遠は話をはじめる。時間も惜しいから歩きながら話そうということだった。
「まず昨日に行った決闘自体がなかったことになっている。ログも消失してるし間違いないよ」
久遠は淡々とした口調だが、その実の内容はとんでもないものだった。
これが由芽には久遠がとても落ち着いた人間に見えているそうだが、里奈は果たしてそうかと疑問に思うようになってきていた。
「なかったことにされていたらどうなるの?」
「当然、決闘で得た経験値やお金はなくなる。あと賭けもなくなるからお金は一円も入らなくなるね」
「あれだけの騒ぎを起こして、何も得るものがないとか徒労感がハンパないわね」
「うん。それはそうなんだけど……」
久遠は奥歯にものが挟まったような話し方だ。それに里奈は少しイラッとする。
久遠の頭のよさそうな話し方というか、常に頭を使ってますという感じが鼻につくのだ。
「久遠、あなたのそういうところ――」
里奈が久遠に突っかかろうとしたとき由芽が「あれを見て」と駅のほうを指さす。
駅のホームへ入ろうとしていたのは現在、三月の戦士団のリーダーを務めている小岩倉樹だった。
両肩には重しを乗せたように猫背になって、足取りもおぼつかないようだった。
そんなことはお構いなしに里奈は目つきを鋭くさせながら小岩へ近づいていく。
小岩もこちらに気がついたようで足を止めた。
「やあ、君たちか……」
小岩は昨日とは別人のようやつれていた。里奈は彼の身に何が起こったのか。
小岩は昨日起こったことを里奈たちに語るのであった。
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