里奈と由芽は久しぶりに同じ部屋で寝ることになる
由芽はいま共有の浴場に入っている。本来であれば二つある浴槽は現在一つしか使用許可が下りていない。
利用者が現在、里奈と久遠しかいないためだ。今回は特別ということで由芽の宿泊が一晩認められることになった。
里奈は自分のベッドに座って深々とため息をつく。
「あのさ。手伝ってくれとは言わないから、せめてため息はやめてくれないかな」
里奈のベッド横に久遠は布団を敷いていた。もちろん由芽が今晩寝る布団である。
「ふん。わかりました。布団敷き終わったんならさっさと行ってよね」
女の子の部屋なんだからと久遠には気を遣えと伝える。久遠は肩をすくめると「おやすみ」とだけ言い残して部屋を出ようとする。
するとそこにはちょうどお風呂からあがってきた由芽がいて、久遠と鉢合わせたようだった。
「古輪くん、お布団敷いてくれたんだよね。ありがとう」
「いや、いいんだよ……」
久遠の声がぼそりぼそりと聞こえる。顔も妙に赤い。
ああ、そうかと里奈は納得する。里奈の服が合わなくて由芽には久遠が着ている制服のワイシャツを貸していた。
男はこういうのにぐっとくると聞いたことがある。
「里奈ちゃんも私もお風呂は入ったから、古輪くんで最後だよ」
「ありがとう」
久遠は風呂上がりで少しぶかぶかのワイシャツ姿の由芽を見て、目のやり場に困っているようだった。
里奈はため息をつくと久遠に声をかけた。
「古輪くん、お風呂の湯を落とすの忘れないでね」
「わかっているよ。それじゃ園部さん、おやすみ」
「おやすみなさい」と由芽が返すと、久遠はそそくさと立ち去った。
「古輪くん、やけに挙動不振だったね」
ワイシャツ一枚に太ももを露わにして、湯上がりで暑いからと第三ボタンまで外しているのだから、久遠はさぞ困ったことだろう。
里奈はそのことを由芽に伝えると顔を真っ赤にしていた。
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