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寮へ無事に帰れて閑話休題

 三人がゾーンを抜けたあとコンビニでカップ麺やおやつなどを買って寮に戻った。


 いま三人は寮の共有食堂にいる。


「ごめんね。何から何まで」


 由芽は申し訳なさそうに謝る。


「いいのいいの。古輪くんのおごりだから」


 里奈は気にするなと言う。


「片岡さんはもっと気にしてほしいところだけどね」


 久遠はさも当然という里奈の態度に憮然となっている。


「由芽は今日は私の部屋で泊まっていきなさいよ」


「いいの?」


「いいも悪いもないでしょ。外は危険よ。それとも古輪くんの部屋で寝る?」


 里奈は半目になっていて口調がどことなく意地悪く聞こえた。


「もう。古輪くんが困ってるじゃない。それに二人は付き合っているんじゃないの?」


 その言葉に里奈は目を丸くする。


「私と古輪くんが? まともに会話したのはここ数日の話よ。あり得ないわ」


 里奈は言われて嫌な気は不思議としなかった。だが、事実でないことは否定しなくてはならない。


「そうなの? 二人ともたまに私が入りこめないなって思うときがあるけど」


 里奈と久遠の間には阿吽(あうん)の呼吸を感じると言いたいようだ。


 由芽は不思議そうな表情だ。対して里奈はそんな風に言われるのが妙に気恥ずかしかった。


「古輪くんとは由芽の思ってるようなことはないから」


 里奈は思わずそれなりに強い口調で否定する。こんなことをしてしまうのが自分でもわからず戸惑ってしまう。


「里奈ちゃんもそんな表情(かお)するんだね」


 由芽はくすりと笑う。友人の意外な素顔を垣間見たということなのだろう。


「私、焼きそばもらうからね」


 それが里奈のへそを曲げてしまったらしい。カップ焼きそばを手に取るとお湯を注ぐためポットにお湯を入れに行った。


「古輪くん、今日はありがとう」


 由芽が改めて礼をすると、久遠は頬をかいて照れくさそうにしていた。


「え、いや……、気にしないでいいよ」


 最後のほうになるにつれて久遠の声は小さくなっていく。


 こうやって二人になると何を話せばいいのかわからないのかもしれない。由芽は久遠の印象を少し変えた方がいいのかもと思うのだった。

お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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