勝者として何を望むべきか、そこは久遠がはっきりと言うだろう
久遠が一息つくと全員ログアウトとなる。ただし賭けの内容について合意さえあれば変更は可能だ。
「さて、どうしますか?」
久遠の言葉には感情はこもっていない。淡々とした口調である。
一方で男たちは歯をガチガチと鳴っている。
「た、頼む。賭け金を減らしてくれ。これじゃあ俺たちレベルが一からになっちまう」
HPがゼロになってからリアルタイムで二四時間が経過するとプレイヤーの選択は無視されて復活する。その際、レベルは強制的に一となる。
レベルをキープするにはレベルに応じた金額をシステムへ支払う必要がある。
これが東京迷宮におけるデスペナルティである。
当然、高レベルほど馬鹿にならない金額が必要になる。なので多くのプレイヤーは死亡したときに備えてレベル分の金額を残して戦いに出る。
では、レベルをキープするためのお金が不足している場合はどうなるのか。
一つはあきらめて所持しているお金の範囲でレベルを維持する。
もう一つは誰かにお金を借りるかだ。二四時間の期限があるのはそれが理由だと言われている。
「これまでのことは謝る。だからレベルだけは許してくれよ」
男たちは懇願してくる。もはや先ほどの勢いなどは微塵もなかった。
レベルダウンするとステータスも一からになる。すると、高レベルの装備もステータスが不足しているということで装備ができなくなる。
彼らの感じだと三年目くらいの中堅級と言うところだろう。この段階でレベルを一に戻されると取り返しのつかないのだろう。
つまり久遠はこれを見越したうえで先ほどの金額を賭けたということだろう。鬼畜だなと里奈は思ってしまうのだ。
「条件があります。まずは僕たちを襲った理由を洗いざらい話してください。それと僕の質問に正直に答えること」
久遠は隠し事は許さないという姿勢だった。無表情なだけにそれが恐ろしかった。
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