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由芽は迷っていた。三月の戦士団を抜けるべきか、留まるべきか。

「三月の戦士団に12期生はいるのかい?」


 久遠は由芽に質問を投げかける。


「うん。私が以前から知ってる子を勧誘したんだけど」


 由芽の同郷だという。その子も三月生まれの卒業証書をもらった子供だという。


 三月の戦士団は他にもメンバーはいて、現在は三〇人ほどいるという。


 問題はアクティブプレイヤーが半分ほどしかいないということだ。


「こういう場合って、どうすればいいの?」


 里奈は久遠に訊ねる。


「僕に聞くかね……」


 久遠はクランに所属したことがないのだ。


「いいけどさ。一般論でいくなら、非アクティブの人には脱退させる仕組みを作っておくか、作るしかないね。その規則に合わなければ脱退、もしくはリーダーが脱退させるといい」


 もちろん順調に脱退させても三月の戦士団の場合、人数が半減するという問題がある。


 由芽の現状を聞いてもクランがガタガタであることは疑いようがない。


「このままだと三月の戦士団はどうなるの?」


 久遠はその質問を口ではなく、里奈を睨みつけることで制した。これ以上は由芽の前で言うことではないということだろう。


「園部さん、僕も片岡さんもクランに所属していないんだ。だから僕らも君の身元引受ができるわけじゃない」


「その言い方こそ冷たくない?」


 今度は里奈が久遠を睨む番だった。


「じゃあどう言えっていうんだ。こちらがどれだけ助けになるかくらいは伝えるべきだろ」


「そうかもしれないけど」


 納得はできないと里奈は主張する。


「二人とも私なら大丈夫だよ。話を聞いてもらえただけでも嬉しいから」


 議論が白熱しそうになるところで、由芽が止めに入ってくる。


「……由芽はどうなの?」


 里奈は由芽にこれからの自身の行く末について問うた。


「わからないんだけど。でも、やっぱり里奈ちゃんや翔さんがいたときってよかったんだなって」


 由芽は泣きじゃくりはじめる。「ごめんね」と何度も謝りながら。


 里奈と久遠はそんな由芽を見ていることしかできなかった。

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