里奈は着ていく服について真面目に悩んでしまう
由芽と会うのにいつもの地味なセーラー服だと羞恥心があった。
「アパレルのサブスクに登録したら? 僕が使利用してるところでよければ紹介するし」
「……お金がないわ」
「自分の財布を確認したかい? 昨日、魔物を狩っただろ」
そういえばそうだったと所持金の確認をして里奈は目を疑う。
いつの間にか小金持ちになっていた。
「夜の鵺はリスクはすこぶる高い分、見返りも大きいんだ」
魔物を倒して手に入るのはゲーム内のお金ではなく、日常生活で使える“円”である。
「紹介状を送ったから、あとは身分証明書とひも付けしたら完了だよ」
里奈は久遠に言われたとおりの手順で登録をしていく。あとは自身の顔写真と体型データを送って完了だ。
あとは好みの色や服のタイプなどのヒアリングもあった。
コーディネートの項目には誰と出かけるのかとか、どこへ行くのかとか、目的などを問われる。これを入力することでTPOに合った服を選んでくれる。
ついでに久遠と一緒に行動することまで加味して、服装を選んでくるというのだからたいしたものだろう。
里奈に提案されたのは短めのスカートにワイシャツにベストである。
「服装の悩みがなくなるわね」
「結果として考えなくなるわけだから、探求はなくなる可能性があるよね」
どういう意味だろうかと里奈は首をかしげるが、さらりと聞き流すことにしておいた。
由芽と会う場所は徒歩で行ける距離だ。
「私にできることなんてあると思う?」
「それは話を聞いてみないとね」
久遠は同世代の男の子の中でもそんなに身長は高くないだろう。
里奈もそれは同じだ。それでも久遠の身長は里奈より少し高い。
横を歩いていると久遠が男の子であると認識させられる。
「それもそうね」
二人は例のメガネとマスクをつける。それで外出の準備は整ったことになる。
いまの自分を不思議に思いつつ、里奈は目的地を目指すのであった。
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