里奈は久々に楽しい夕食をとる
久遠に連れてきてもらったビッフェの店というのは明らかに高そうな雰囲気だった。
少なくともこの地味なセーラー服姿で入るのが気後れするくらいには。
「お店、入らないの?」
久遠の私服はカジュアルながらもアウターはブレザーで決めていたりして、それなりに大人びた印象だった。
「入るわよ」
「この服は僕が決めたんじゃなくて、僕がシチュエーションを入力したら服を持ってきてくれるんだ」
里奈が久遠の服装を気にしていたようなので、察した久遠が答えてえくれたようだった。
店に入ると案内ロボットが席まで案内してくれる。
客は里奈と久遠の二人だけだった。経営はこれで成り立つのかさすがに疑問になる。
それともう一つ気になることがあった。
「普通は机に料理が並んでいて、自分で取りに行くものじゃないの?」
「この店ではタブレットに並んでいる料理を選んで、それを適量持ってきてくれるようになってる」
もちろん量はこちらで調整できるとのことだ。
「じゃあ料理を取り入ったりしないんだ」
店内の通路が思ったより狭いのは立って取りに行くという動作が不要なせいかと里奈は関心してしまう。
「九〇分食べ放題だから」
「わかった」
向かい合わせで座る里奈と久遠。里奈については何から話はじめればいいのかわからなかった。
とりあえず食べようかと里奈は何も考えずに頼みまくってしまう。それこそ久遠が止めてくるくらいに。
加減も何もわからなかった。それでも誰かと過ごす時間がここまで楽しかったのはしばらくぶりのことだった。
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