準備画面はログアウト中でも開けることを再認識する
里奈は学生寮で寝泊まりしている。今まで意識すらしなかったが、久遠も同じ寮だった。
しかも隣部屋である。これでお互い会話がほとんどなかったのだから驚きだろう。
もっとも時代としてはおかしくも何ともなく、よくあることでもあった。
「ログアウトしていてもメニュー画面は開ける。だから装備変更も可能なのは承知していると思う。ついでにバザーへのアクセスもできるから買い物もできる」
久遠からフレンド申請が届く。里奈はそれを承諾する。
「フレンド登録すると個別でトークができる。あとアイテムやお金の譲渡もね」
久遠から式神が三〇枚送られてくるのを里奈は受領した。
「こんなにもらっていいの?」
「貸しを一つということでいいよ」
久遠は制服から私服に着替えていた。里奈は対照的に制服のまま。
「万倍で返してやるわ」
お金のやりくりは厳しいが、支給されるもので今日まで生きてきた。その代わり、ほぼ贅沢とは無縁な生活であった。
「期待しておくよ」
二人は談話室にいた。二人しかいないので貸し切り状態だ。
どちらかの部屋でもよかったのだが、ベッドのある部屋というのが里奈は嫌だった。
もっとも久遠がいまさら何かをしてくるようには思えなかった。
この少年は#そういうこと__・__#はしないと根拠のない確信めいたものがあったからだ。
「そろそろ行こうか」
久遠が立ちあがると里奈もそれに続く。
夜が迫りつつあった。
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