スキルの使い道を彼らは模索はじめる
「そもそも短刀で戦おうとしたのが間違いってこと?」
接近戦は何だかんだで総合力が重要だ。極振りではどうしようもなかった。
「あとは組むメンバーかも」
久遠は少し考えこむ素振りを見せる。
里奈はようやく紙片を手に取って内容を眺める。
こちらが勝手に塞ぎこんでた間も翔は調べてくれていたのだろう。
最後にどんな気持ちで里奈にこの紙片を渡したのか。
ただ、彼はあくまで善意で行ったということは伝わってくる。最後の一文で。
『君の行く先に幸運が実ることを心より祈る』
(お人好しめ)
里奈は最後まで彼に反発した。だが、何かが自分を繋ぎ止めて東京に留まっている。
「あれこれ考えるより試してみようか」
「どうするの?」
「スキル封印の効果は説明文通りだと強力そうだけど、実際の効果は実戦で試してみないとね」
スキル封印の効果を発動させるには対象の相手に触れることで発動するとある。
防御をされようが触れれば発動するということだ。つまりスキル封印されたくなければ避けるしかない。
「いまからログインするつもり?」
「いや、夜を待とう」
「どうして?」
里奈としては去年に危ない目に遭ったばかりだ。なのですこしばかりの恐怖が残っていた。
「あまり知られていないんだけど、夜の魔物は強い分だけ報酬も高いんだ。どうして僕の羽振りがいいのかわかるかい?」
「――夜の魔物を狩っているから?」
久遠は無言で頷く。
「それじゃあ一九時に寮を出発しよう。夕飯はその後だね」
こうして夜の東京へ繰り出すことが決まった。
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