彼女は義務教育を受けることにした
里奈が早々に選んだのは中学校に通うことだった。
申請はすぐ通り親元を離れた遠方地であっても、寮や通う学校の手配もしてくれた。
食事も寮と学校で三食でる。少なくとも飢え死にするようなことはない。
問題は金銭の支給がないので、お金がなければ趣味を堪能することはできないということくらいか。
あと制服の指定はないので、私服でも構わないということだが、先ほどの通り里奈はお金を稼ぐ手段がない。
そこで配布している服はないのかと調べたところ手配されたのは紺色のセーラー服だった。
この格好は外で歩けば逆に目立つのではと思ってしまう。
そこで外に出るときはマスクを常備。目元を隠すためにレンズ部分が真っ白のサングラスをかけることにした。
登校日。もちろん入学式などあるはずもない。誰も入学を祝う人間がいないから。
教室に行っても自己紹介すらない。そこにいるのはいつぞやすれ違ったときに声をかけた少年だった。
教室に席は二つ。自然と彼の隣に座ることになる。
だが、里奈は少年と目を合わせようともせずにそっぽを向いた。
少年も里奈に干渉する素振りすら見せない。
六月。梅雨の時期。
二人は三月になっても、こんな関係が続く。
その間、二人の間で会話はほとんどなかった。
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