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■玲美の気持ち

 玲美が久遠を連れてやってきたのは大型のショッピングモールである。


「ここを中心にみんな近くのホテルに泊まってるワケか」


「そういうこと。ちなみに私、これでも稼ぎはいいほうよ。宿泊費は何とかしてあげる」


「それは嬉しいけど、いいの?」


「だって、学生寮って無料で食事も泊まるところも提供されるんでしょ。お金に困ってるんじゃないの?」


「んー。あんまり困ったことはないかなぁ。金銭感覚がおかしいみたいに言われることはあるけど」


 玲美は「あれ?」と首を傾げる。


「それこそいくらくらい持ってるの?」


「ごめん。これは秘密にしてるんだ。誰にも言わないことにしてるから」


 どういうことだ。


「それと東方旅団のみんなもそんなにお金に困ってないはずだよ。その証拠にクランイベントに参加してないわけだし」


 そう言えばそうだ。東方旅団はいつもランク外。つまりイベントに参加していない。


「どうやって稼いでいるの?」


「夜の魔物は強くなる分、ボーナスがあるんだよ。しかもそれが強制ログインゾーンの魔物ならさらにね」


 それが東方旅団の稼ぎ頭だという。


「なるほど。それで宿泊費は実質無料だからお金は貯まるわね」


「まあ、そんなところ」


「それがダサいって風潮はあるわよね」


「過去にやってきたことをいまさら曲げろなんて、それこそ横暴じゃないか。僕はその考えを尊重するよ」


 すると玲美はなんとも言えない表情になる。


「どうしたの?」


「なんかいやーな感じ。自分は何でも知ってることをわかってるから、他人をひたすら見下してる感じ」


「里奈にも似たようなことを言われた気がするなぁ」


 ――気をつけるよ。そう言おうとしたが、玲美がブスッとしている。


「どうしたの?」


「別になんでもない」


 里奈の名前を出された上に同列にされたのが不服であった。だが、それを口には絶対に出せなかった。


 里奈への嫉妬を認めてしまうことになるからだ。玲美は久遠を里奈には絶対に渡さないという覚悟であった。


 面倒くさい女だと思うなら思えばいい。感情ばかりはこればかりはどうしようもないことなのだから。

お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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