一日中の入院。それから彼女は考える。
病院で診察してもらった結果、軽い脳しんとうという診断だった。
それでも安静にということで、里奈は一日入院となった。
由芽から通知がきていたが、いまは話したい気分にならない。
ここまで送ってくれた少年も里奈を病院に送り届けたあとは早々に去っていった。
親も当然来ないので、病室は里奈一人だった。四人部屋にもかかわらず部屋にいるのは自分だけ。何とも不思議なことである。
「これからどうしよう……」
ぼそりとつぶやく。
まず里奈を入れてくれるクランがあるかだが、正直難しいだろうと思った。
いっそ家に帰ってやろうかとも思うが、それをどこかで何かが拒んでくる。
里奈は深々とため息をついた。
それが不思議とよく響くようだった。それくらい病院は静かで人気がない。
病院に人気を感じないのは当然で、本当に無人だからである。
医師は遠隔で診察だし、看護や介護どころが清掃に至るまでロボットが行っている。
そのうえで入院しているのは里奈以外にいるのかも怪しい。
そんな中で里奈は考えがまとまらずに悶々としている。
そういえば義務教育を受けているであろう少年とすれ違ったことを思い出す。
東京を出ないというなら、それでもやはり生きていく手段は必要になる。
里奈は気がつけば『義務教育』というワードの検索をはじめていた。
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