■そして封印は解かれる
国会議事堂の中央塔八階。そこには大きなお社に封印石が奉られている。
「これお宝じゃね?」
誰ともわからない。とあるクランの一党である。
「でかい石だなぁ。手に入れられそうか?」
つやつやしていて、石のかしこに怪しいお札が貼られている。
さぞ、すごい宝物に違いない。
「リーダーがひょっとしたらすごい宝があるかもって言ってたけど本当だったな」
ここ一〇年で国会議事堂には誰も近づいたことがないそうだ。ということは何か眠っていると思って間違いないはずだった。
東京迷宮クラン会議のおかげで出入りは容易だった。
「それにしてもこんな楽な探索業ってある? 場内は魔物一匹いないのよ」
「ラッキーってことだろ」
一人が金欲に目がくらんだ表情で石に両手を伸ばす。
「お宝ゲットじゃね」
石を持ちあげようとしたときである。石には急にひびが入るとガラス細工のように脆く砕け散る。
「俺は何もして――」
言い訳に必死で背後に《《いるモノ》》に気がついていない。
だから、どうして自分以外誰もが恐怖を顔に貼りつかせているのか理解できなかった。
『……死の宣告』
疲れきったような女の声に男は思わず「へ?」と間抜けな声を漏らしてしまう。
背後にいたのは白装束を身に纏い、長い前髪から覗く鋭い眼光の瞳。
爪の剥がれた真っ白い肌の手が男の肩に置かれている。
「ロッ、ログアウトだ!」
誰かがそう叫ぶも、男は動くどころか声を発することもできない。
女の舌がべろりと男の首筋を這いまわる。
それを見せつけられた一同は階下へ繋がる螺旋階段へ転がりこむように向かおうとする。
だが、一同の体は硬直して声も発せなくなる。
ひたひたと裸足の足でヤツはゆっくりと近づいてくる。
ヤツは男を一人押し倒すと覆い被さり、強引に口を開けさせると舌をへ入れて接吻を強行する。
その光景は端から見れば地獄絵図てあり、当人もまた恐怖に涙を流していた。
ヤツは攻撃手段と呼べるものはないようだが、代わりに余りある恐怖を一同へ確実に時間をかけて届けてくるのだ。
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