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デジタル・リボルト~ディストピアからへの英雄譚~  作者: あかつきp dash
一年目、翌年の四月に至るまでの章―外伝―
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彼女は悔しくて走りだす

 里奈が外へ飛びだすと外は雨が降っていた。時間は夕方近くになっていた。


 当然、今日泊まる宿などまだ押さえていない。あてもなく走っているだけだ。


 どうすればよかったのかは自分でもわからない。


 叫びながらただ時間も忘れて走り続ける。だが、有限の体力がそれをいつまでも許すはずがなかった。


 声は枯れ果て、雨音にかき消される。


 足はもつれて、いつの間にかとぼとぼとした歩美にへと変わっていく。


 ――走るのも疲れたな。


 里奈は近くにあった公園へ吸い寄せられるように向かい、手近にあったブランコに腰かける。


 また、クランを探すのか。そもそも自分を迎え入れてくれるクランが存在するのだろうか。


 考えることが少しずつ面倒になっていく。思ってしまうのだ。自分は誰にも必要とされないのではと。


 雨は一向に止む気配がなかった。このままだと風邪をひいてしまうかもしれない。

 

 それも構わないか。でも、その時は誰か面倒を見てくれるだろうか。

 

 それはないだろう。


 自分はこのまま野垂れ死ぬのだろうか。


 それならいっそ地元に帰ろうか。親にはなんて言えばいいだろうか。


 ああ、つらい。こんな現実を誰が望んだというのか。


 悲しくて。怒りがわいてくる。それでも里奈にはいま感情をぶつけられるものがなかった。


 そして、知らぬ間に夜が更けていく。



お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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