彼女は悔しくて走りだす
里奈が外へ飛びだすと外は雨が降っていた。時間は夕方近くになっていた。
当然、今日泊まる宿などまだ押さえていない。あてもなく走っているだけだ。
どうすればよかったのかは自分でもわからない。
叫びながらただ時間も忘れて走り続ける。だが、有限の体力がそれをいつまでも許すはずがなかった。
声は枯れ果て、雨音にかき消される。
足はもつれて、いつの間にかとぼとぼとした歩美にへと変わっていく。
――走るのも疲れたな。
里奈は近くにあった公園へ吸い寄せられるように向かい、手近にあったブランコに腰かける。
また、クランを探すのか。そもそも自分を迎え入れてくれるクランが存在するのだろうか。
考えることが少しずつ面倒になっていく。思ってしまうのだ。自分は誰にも必要とされないのではと。
雨は一向に止む気配がなかった。このままだと風邪をひいてしまうかもしれない。
それも構わないか。でも、その時は誰か面倒を見てくれるだろうか。
それはないだろう。
自分はこのまま野垂れ死ぬのだろうか。
それならいっそ地元に帰ろうか。親にはなんて言えばいいだろうか。
ああ、つらい。こんな現実を誰が望んだというのか。
悲しくて。怒りがわいてくる。それでも里奈にはいま感情をぶつけられるものがなかった。
そして、知らぬ間に夜が更けていく。
お読みいただきありがとうございます。
引き続きよろしくお願いします。
感想、評価、お気に入り登録も今後の励みになりますので、ぜひお願いします。




