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■女三人寄らば

 三人で使うには広すぎる教室の中。里奈、由芽(ゆめ)圭都(けいと)は一つの机を起点に向かい合っていた。


 由芽と圭都はいつも通りだが、そんな中で里奈だけ露骨に顔を引きつらせている。


 いままで比較対象が久遠しかいなかったから気になっていなかった。


 しかし、ここに来て講義を受ける生徒が増えたために里奈は自身を理解してしまった。


「里奈さ。私のこと馬鹿だと思ってたでしょ」


 圭都の指摘に里奈は肩をビクリとさせる。


「な、何のことかなぁ」


 里奈は思わず目をそらす。


「そういうのってクイーンナイツにいたときから向けられたことあるからわかるんだよね」


 他人をどことなく見下している態度のことを言っているのだろう。


「それで負けたって思ったときのダメージ大きいんだよ」


 だから気をつけなよ。圭都はそう忠告した。


「圭都ちゃんは実際に覚えは早いほうだと思うよ」


 優等生な由芽が言うのだから間違いないだろうなと里奈は思ってしまう。


「喜んだほうがいい?」


 由芽は感心しているからこその発言だろうが、圭都はキョトンとするだけだ。


「それは任せるね」


 あははと由芽は白々しく笑う。


「私、もう少し頑張ったほうがいいのかな?」


 里奈はさすがに心配になってきて由芽を見つめる。


「勉強にも向き不向きがあるらしいから。気にしなくてもいいんじゃない?」


 学歴社会というものがかつて存在したようだが、それはとうの昔に崩壊していた。


 それもあってか学力というのはかつてほど重視されなくなっている。


 だから、由芽がこう言うのもおかしいわけではない。


「それじゃあ私の強みってどうなるのよ?」


「小規模でもクランのリーダーやれてるなら立派なものじゃない」


「まだ、できて数ヶ月でしょ」


 里奈は拗ねたように口を尖らせると由芽がチラリと圭都に視線を送ると、何かを察した圭都が口を開く。


「乃々子さん、何の用事だったんだろ?」


 圭都が里奈に訊ねる。


「久遠はどこってことは厄介ごとの持ちこみじゃない?」


 里奈が話題に乗ってくる。話題そらしに成功したと由芽は密かにホッとする。


「そういえば家賃が高いっていつも言ってたね」


 東京で住む少年少女たちを一番悩ませている問題だろう。


「こういう寮に入れたら何かと安くつくんだけどね」


 由芽の発言に里奈は思いついたかのようにぽそりとつぶやく。


「ここの他にも学生寮ってあるのかな?」

 

お読みいただきありがとうございます。

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