■そういえばと真鈴との会話
夏の夜長。里奈は真鈴と話をしていた。
話したのは頼果のことや、それ関わる騒動の話である。
頼果は聞き終えると大笑いをはじめる。
「蔵脇って、何か真鈴に似てるわ」
『背も高くてとびっきりの美少女ってとこだけじゃない?』
真鈴もそうだが、頼果にしろ外見に鼻にかけた様子がないのだ。おそらくあらゆる場面で外見をけなされたことがないのだろう。
里奈なんかはそういうのを何度も相手の態度で見せられていた。だからか、それなりに敏感になっていた。
『私、そこまで気が強くないよ』
――どうだか。
里奈は内心、毒つく。
『でも、里奈ちゃんは楽しそうだよ』
「そうかな?」
『好敵手も悪くないってことじゃないかな』
頼果とは初日から言い争いになったのを思い出す。
たしかにこちらも大人げなかったとは思う。
「蔵脇とはウマが合うとは思えないけど」
『私はそうは思わないけどね』
真鈴はニヤニヤと意地悪そうに笑う。
「お腹の子供は順調なの?」
『先生や親からは不摂生するなって言われてるくらいかな』
それは順調と解釈していいものなのだろうか。
「お腹が大きくなるのはこれから?」
『たぶんそうじゃないかな』
産んだことがないからわからないと真鈴は言う。
「こっちは団員が三人も一気に増えるから、こっちは大変よ」
『規模が大きくなっていくとそうも言ってられないよ』
大変なのはこれからだと真鈴は言う。
「真鈴は運営のほうには参加しなかったの?」
『リーダーとか柄じゃないし。乃々子とは仲良くなかったしね』
それは何となくわかる。
『ところで久遠くんの話を聞かせてよ』
「いいわよ。最近泳ぐのが上達してきたのと。あとね――」
二人の話はまだ続くのであった。
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