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■クランの抗争に東方旅団は巻きこまれるのか

 頼果と久遠は食堂を出るとグラウンドが騒然としていることに気がつく。


「何かあったみたい?」


 頼果は久遠と互いに顔を見合わせる。


「行ったほうがよさそうだね」


 ロクでもないんだろうけどと久遠は小声で付け足す。


 グラウンドの方は日中の日射しにさらされて灼けつくような暑さである。


 当然、日陰もない。


 その中心で暁の団リーダーの秋影克馬を先頭に真っ黒な学ラン姿の集団と対峙するメガネをかけた優男の姿が率いるグレーのブレザー姿をした集団があった。


「有貴士団のリーダー――羅貴水呉(らきすいご)よ」


「お互い暑くないのかな?」


 久遠は真面目に考えこんでいるようだ。


「……ツッコむところそこなの?」


 学ラン姿の集団は見ためからして暑苦しい感じだが、対するブレザー姿の集団は羅貴水呉を中心に涼しい顔をしている。


 熱血と冷静。


「相変わらず暑苦しいな、秋影克馬。この炎天下でその姿を見るには耐えられん」


 クールな雰囲気と切れ長な瞳から発せられる切れ味のある言葉。対して、克馬も負けてはいない。


「てめえこそ気取ってんじゃねえぞ」


 克馬は水呉をにらみ返す。


 「なんの騒ぎ?」


 里奈が汗だくになりながらグラウンドまで出てくる。


 それに続く形で東方旅団の面々もグラウンドに集まってきていた。


「お互い、彼女に出し抜かれた。このことにまだ気づかないとは、やはり脳筋だな」


 水呉はちらりと頼果へ視線を向けてくる。


「うるせえ。蔵脇には指一本触れさせねぇぞ」


 克馬は臨戦態勢だ。それに対して水呉はまだ警戒というレベルに留めている。


「蔵脇くん、君の脱退は許可する。それと同時に君にしてきた仕打ちについては私から深く詫びよう」


 それを伝えたくてねと水呉は言葉で伝える。


「だが、それと暁の団を私たちにけしかけるのは少し道理に合わないと思わないかい?」


 水呉はメガネをくいっとあげる。


「君が脱退を申請するなら、もう少し穏やかなやり方があったように思う。まあ、誰かが阻害していたというなら話は別だが」


 水呉は同じクランメンバーである男へ視線を向ける。それは以前、頼果を置いて逃げようとした男だった。


「克馬、いままでクラン同士で競い合う関係だったが、襲撃してきたとなれば話は別だ。この場合、お互いケジメをつける必要がある」


「いいぜ。ノってやるよ」


 お互いに火花が散る。大規模なクラン同士の衝突がいままさに始まろうとしていた。

お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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