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■由芽は寮へ帰る決意をする

 夕方近くになると三人は早々にホテルをとった。


「結構空いてるよね」


 日中は人の多い印象があったが、このホテルで宿泊している人間は一人もいない。


 なんだか寂しいなと由芽は思う。


「このホテル、高いほうだからね」


 聞けば大浴場なんかもあるそうだ。少し楽しみである。


 日中にここまで狩りへ出向いて、夜になる前に拠点へ戻るというのが一般的らしい。


 ここ一〇年の中で周辺ホテルの評価が低いのは単純に高いからであるのは間違いない。


「だからって夜の狩りはおすすめしないけどね」


 魔物は強くなっているし、強制ログインゾーンのこともある。実際、久遠は二人を連れるときは夜の散策を極力避けている。


「久遠くんは夜狩りばっかりだよね」


「しかもソロでね」


 久遠のレベルは正直異次元のものだ。なのでパーティープレイで経験値を稼ぐというのに向いていないと、それは本人が言っていることだ。


 里奈がそれを先月に指摘したものだから、久遠が家出するということが起こった。


 実は本人も気にしているのだと由芽はその時になって初めて気がつかされた。


「久遠くんはどうして帰ってきてくれたの?」


 ふと聞いてしまう。圭都も黙って久遠を見つめている。できれば直接聞いてみたかった。


「僕だってどこにでも居場所があるわけじゃないんだよ」


 好き好んでこの状況になったのではないということだろうか。


「たしかにケンカはするし、たまに嫌になるけどさ」


 そういうときはちょっと距離をおいて冷静になってみるのもいいと久遠は言う。


「それと別の女性を連れこむのは違うと思うけど」


「……それについては否定してないだろ」


 久遠は胃が痛いのかお腹を押さえている。


「おかげで私はここにいるけどね」


 どうして圭都は久遠の肩を持つような発言であるが、やはり事実でもある。


 それで由芽はというと思い返すのだ。寮での生活を。


 四月からいまに至るまで大きく変化があった。それはこれからも続くのだろう。


 それに里奈は憧れで、大好きな友人だ。


 そう思うと一日見ていないだけで、ひどく寂しく感じる。


 そろそろ帰るのも悪くないと由芽は思いはじめていた。

お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

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