表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
145/266

■朝起きて二人

 由芽は目が覚めたものの気怠さが纏わりついていた。


 久遠は和室でまだ寝ているようだった。無理もないかと思ってしまう。


 小さな箱の封は切られている。


「……痛い」


 由芽はベッドに両足をつけると思わずつぶやく。


 里奈と出会ったときをふと思い出す。


 顔にはそばかす。小柄でいまも身長もろもろの成長が遅いと嘆いている。


 特別美人とも、可愛いとかの言葉とは無縁だと本人も口にしていた。


 なのに不思議と周囲の目を惹くし、バイタリティがあってまわり引っ張っていく。


 そんな里奈は由芽にとって憧れであった。


 由芽には妹がいる。


 仲はいいほうだと思っている。


 それでも気にしてしまうときがあるのだ。


 行動的で可愛らしい自分とは対照的な妹を。


 対して自分は地味で目立たなくて端っこで読者していた。人と話しているより勉強している方がやっぱり性に合ってると実感するのだ。


「じきに()()()よ」


 あくびをしながら気怠げに話しかけてきたのは圭都だった。


 ショートのくせっ毛が寝ぐせでさらにひどいことになっている。


 由芽は先ほどの言葉が何を意味するのかと気がついてしまうと赤面してしまう。


「圭都ちゃんはいまの生活に慣れた?」


「どうだろ? 思うのは不快でないって事くらい」


 その意図するところを考察するのは難しい。おそらくボルテージをあげたりしないなりの圭都の価値基準というものがあるのだろう。


「私はいまのほうがいいなって思っていたけど……」


 少しわからなくなってしまっているのかもしれない。


「これからお風呂、入れるけど?」


 話はそこそこに圭都が聞いてくる。


「だったら私も入ろうかな」


「ん」


 圭都はお風呂場へ行ってしまう。


「……おはよ」


 久遠がのっそりと上半身だけ起きあがる。


「おはよ、久遠くん」


 久遠はあたりを見て圭都がいないことに気がつく。


「圭都は?」


「朝風呂の準備に行ったよ」


「朝風呂か。いいね」


「久遠くんも入る」


「うん」


 朝食は何しようか。どこへ行こうか。考えることはたくさんある。由芽はそれが何となく楽しかった。

お読みいただきありがとうございます。

引き続きよろしくお願いします。

感想、評価、お気に入り登録も今後の励みになりますので、ぜひお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ