■急に祝賀会が催される
談話室へ移動した一同は圭都の歓迎会を称して宴会がはじまる。
いい加減慣れるべきなのだろうが、やはり里奈はついていけなかった。
「そうかそうか。久遠もこれで大人の仲間入りってヤツだね!」
明里は楽しそうだ。里奈はそれについてはまったく楽しくない。
「なあなあ久遠くん。そのクイーン・ナイツってクランの店さ、今度は俺も連れて行ってくれよ。男同士いいことは分けあわないと、だろ?」
由芽が凍れる虚ろの刃のごとく視線で晴を射抜く。さすがの里奈も恐怖を覚えた。
これには晴も固まる。
「お前さ、もう少しあの娘らの性格考えて発言したほうがいいんじゃない?」
「はい」
明里の指摘に晴は言うまでもなく縮こまる。
「山入端さん、何か注ごうか?」
里奈はどこかぼーっとしているようにあった圭都に話しかける。
「私のことは圭都でいいよ」
「じゃあ私も里奈でいいわよ」
「ん」
圭都は首をゆるりと縦に振る。話しかけてみたものの何を言えばいいのかわからない。
「あ、もう少し細かく説明したほうがよかった?」
何のことかは敢えて聞くまいと里奈は顔を引きつらせながらも抑える。
「そういうところ姉貴分と一緒ね」
里奈は真鈴とのやりとりを思い出しながら言った。
「そうかも」
圭都はどこか遠くを眺めている。
「あいつの助けになるなんて、どうする気なの?」
里奈は久遠をチラ見する。
「わかんない。でも、朝帰りの件は殴られるだけで収めたよ」
「それってさ……、いや何でもない」
里奈は言いかけて、やっぱり引っこめる。何を言おうとしたかはさておき、言っても仕方ないと思ったのだ。
圭都はふいに大きくあくびをする。
「じゃ」
圭都は立ち上がると久遠の所へ行く。
「ちょっと眠くなったからベッド貸してよ。ここ、君の部屋があるんだよね」
久遠は返答に困って固まっている。
ニヤニヤして傍観する晴と明里。あり得ないという表情を浮かべる由芽。
本来なら自分も怒るべき立場なのかもしれないが、そうも言ってはいられない。
里奈は事態の収拾をしないといけないことに自覚をして、ため息をついた。
何はともあれ仲間が増えたのだ。
これは喜ばしいことなのだろう。
梅雨明けはもう少し先になるとのことだったが、何か変化を予感させる。
間もなく七月に入ろうとしている。本格的な夏が始まろうとしていた。
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